ドライニードルテクニックは、鍼を用いていく治療方法で、アメリカのPT(理学療法士)が行っていく療法になります。理学療法士は現代学的な知識を専門的に学び、現代医学的な考え方をもとに、身体の機能を回復させていく資格です。
1.ドライニードルテクニック
アメリカの理学療法士(PT)が、ドライニードルテクニックという鍼を行えるようにするためには、ドライニードルに対する追加の訓練を受ける必要があるので、必須の学習、テクニックではありません。
もともとは、ペインクリニックで注射針を使っていくものを、注射針だと危険性が高いために、鍼灸で用いられる鍼を使って、痛みを取り除くことで用いられています。現地の情報が入ってくるわけではないので、ネットや書籍だけの情報になりますが、欧米・中東の理学療法士、カイロプラクターが、利用しているようです。
ドライニードルを用いる場合は、神経、筋肉、骨格など現代医学の言葉のみであり、東洋医学の理論は全く利用しないものになります。
2.ドライニードルテクニックと鍼灸師
ドライニードルテクニックは、国によるでしょうが、理学療法士などの現代学的な知識を習得した人達が行う物で、鍼灸師は、伝統的な道具と知識を用いて行う物となっていきます。
はっきりと分かれたことで、現代医学的な処置は理学療法士、伝統医学的な処置は鍼灸師となると、受ける側にとってみれば非常にわかりやすいでしょうね。ただ、やる側に取ってみれば、現代医学的な考え方は、鍼灸師でも用いているでしょうし、やりにくくなる部分も出てくるのではないでしょうか。
3.ドライニードルテクニックは日本に入ってくるか?
ドライニードルテクニックは、現代医学的な考え方を元に組み立てられているので、一つの技術として学びたいという部分もありますが、日本に導入されるのでしょうか。導入という視点だと、アメリカでは理学療法士になるので、日本の理学療法士にできるようになるかという部分も気になりますが、現状としてあり得ないだろうなというのが私の感想です。
理由としては、医師側からしてみれば、理学療法士が治療に積極的に介入してくると、リスク管理、患者の状態の把握をしていくのが大変になりますし、病院以外で行った場合の危険性も考慮すると、医師側、国側としてはやりたくないという気持ちになるのではないですかね。
ましてや、鍼は鍼灸師という資格があるので、医師を主体とする現場であれば注射にした方がより効果があると考えやすいでしょうし、構造に対して正確に処置をするのは、高度な知識と技術を必要とするので、ピンポイントで行うドライニードルを一般化して行わせるのは難しいでしょうね。
ただ、これはあくまで予測になるので、導入される可能性がゼロではないですよね。こういう物も出てくると、ますます鍼灸師が現代医学的な処置だけでは立場が難しくなるので、現代医学的な視点や考え方を理解しつつ、独自性を保てるような状態になっていかないといけないのではないのではないでしょうか。
病院内での医師の監督下のもとでなら、鍼灸師、理学療法士に限定的に行わせることができるでしょうけど、そうなると痛みへの対処になってくるので、製薬メーカーに取ってみれば嬉しくない物になりそうですね。
ということを総合的に考えてみると、ドライニードルテクニックは、テクニックとしては勉強する人が増えたとしても、鍼灸師が学習する程度になるのではないでしょうか。ドライニードルの書籍が少ないですが、一応、こちらがあります。
『ドライニードル入門: 筋・筋膜へのハリ刺激法』
4.まとめ
もし、ドライニードルテクニックが本格的に研究され、鍼灸師を問わずに普及していったら東洋医学的な治療を専門的に行うところ意外は、かなり厳しくなってしまうのではないかなという印象があります。鍼灸は残っても、鍼灸師が残らない未来に近づいてしまうのではないかなと思ってしまいますね。
もちろん、急にどうなるものでもないでしょうし、資格も関わるので、今後の動きを注目しつつ、いい物は自分の中にも取り入れていきたいと思っています。