ローラー鍼の使い方―小児、美容、痒み

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 ローラー鍼は小児鍼とも言われ、小児の治療道具として利用されることが多いですが、成人でも敏感な人は、通常の鍼ではなく、鍼を接触させたり、ローラー鍼を使ったりすることがあるので、治療の幅が広い道具になります。

 ローラー鍼は、肌の上でコロコロと転がす道具になるので、子どもにはコロコロと表現されたりして、子どもの遊び道具になることも多いので、小さいお子さんがいる患者さんには体調管理含めてオススメしている道具の一つです。刺激強度は強と弱がありますが、強は小学校以上がよく、弱は乳幼児によいのではないでしょうか。もちろん、肌の敏感さにもよるので、本来はどちらがいいのか判断する必要があります。

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1.ローラー鍼の使われ方

 ローラー鍼は、成人でも顔面・頭部に行うと気持ちがよく、顔面であれば美容鍼灸の変わりとして家庭でも使えますし、頭部であれば、ストレスが強いとき、不眠のときには気持ちよいですし、すっきり感も出るので、家庭に一つあるといいのではないでしょうか。

 

 肌にコロコロと刺激をしていくので、肌トラブルに用いることができるので、肌トラブルでよくある痒みにも利用していくことができます。私も冬になると乾燥からか、痒みが生じることがあるので、ローラー鍼のお世話になることがあります。

 

 疲れているときには、頭部から後頚部にかけて行うと、頚肩付近がすっきりして楽なので、利用していくことが多いので、家でも手が届きやすいところに置いてあります。

 

2.ローラー鍼の使い方

1)基本の使い方

 ローラー鍼の基本的な使い方は、肌にコロコロと行っていくだけになるのですが、どれぐらいの範囲で、どのぐらいの時間を行えばいいのか分からないことが多いと思いますが、心地いい範囲であれば問題になることは少ないです。

 

 小さい子どもは身体が小さいので、範囲は短く行う必要がありますが、成人であれば、例えば前腕のところであれば、肘から手関節までの範囲では、2~3分割でコロコロと行う方がやりやすいです。一か所を行ったり来たりで10回程度行い、次の場所に移動し、繰り返していくのがいいのですが、反応を診られるようであれば、反応で変化を出たら次に移動したり、終わりを判断したりすることができます。

 

 反応は身体の硬結、圧痛、体調などがあるのですが、肌に行っていくので、一番わかりやすいのは、肌に潤いが出てきたら終わりにしていくのがいいですね。最初のうちは分からないでしょうから、例えば、左前腕と右前腕を掌で撫でてみて、すべり具合を確認し、片側の前腕にコロコロしてみて、すべり具合の変化をみていきます。

 

 すべり具合が滑らかになったら終了になるのですが、最初の段階では、どれぐらいが滑らかなのかというのが分かりにくいでしょうから、その場所は10回往復したら終了というように数で決めていくのがいいでしょうね。

 

 私自身は、触りながらコロコロと行って、肌のすべりが滑らかになってきたなと思ったら、そこから数回コロコロとして終わりにすることが多いです。

 

 肌に発赤が出やすい人であれば発赤が出たら終了と判断していくこともできるのですが、発赤が出にくい人もいるので、色だけの変化では判断していくのは難しいので、すべり具合を確認しておく方がいいと思います。

 

2)痒みに対しての使い方

 痒みがあるときには、痒みがある場所に対して行っていくのですが、その付近に少し痛みとして強く感じやすいところがあるので、その場所に対して回数を行った方が痒みを止める持続効果があるような気がしています。

 

 その場所が知覚神経と大きく関わっていくポイントなのか、皮部・経絡として重要なポイントなのかというのは、確定できる話ではないので、分かりませんが、個人的には、痒みの中心付近を狙うことを重視している状態です。

 

 とりあえず、私自身が肌に痒みが強く出てきてしまったばあいは、痒みの場所とその付近の知覚が少し過敏なところを重視してコロコロと行います。

 

3)美容鍼灸としての使い方

 美容鍼灸としての使い方では、ローラー鍼を顔全体に行っていくのですが、シワがある部位、筋肉、リンパなどを意識していくとよりいいです。ただ、一般の人が出来るかというと、知識がないと難しいので、簡単なやり方は顔では、上下にコロコロと行うのがいいですね。

 

 やる場所は知識が前提であれば、知識をベースとしたやり方がいいでしょうが、知識が足らない状態では、顔全体にしっかりとローラー鍼を行っていくのがいいです。肌の状態を確認するのもいいのですが、顔は普段から見ているところなので、肌の血色、浮腫み具合を鏡で確認していくのも効果の判断にはいいのではないでしょうか。

 

 顔面部の血流は頚部、頭部なども関係していくので、頭の上、側頭部、後頭部も行っていくと、効果も出やすいですし、すっきりしやすいので、顔だけにしない方がいいですね。

 

4)小児の治療としての使い方

 小児に用いていく場合は、刺激強度に注意をしないといけないのですが、心地よいと感じる程度で行うのがいいです。小児は言葉で説明できないので、難しく感じるかもしれませんが、背腰部だと気持ちいいと感じることが多く、心地よさそうな顔をしたり、途中でやめると、もっとと言ってくるので、背腰部で嫌がられるようだと、強い、弱いなどの問題点がある可能性が高いです。

 

 前腕、下腿部も行うことができるのですが前腕前面、下腿後面・内面はくすぐったく感じてしまう場合が多いです。私はローラー鍼を行うときは、手を丸めた状態でローラーの取ってを握り、ローラー自体を母指球付近に置いているので、四指の末節骨部背面は皮膚に触れ続けているので、四指の末節骨部背面で肌の変化していく状態を観察しています。

 

 もともとは、取ってを持って、肌を触れないで行っていくことが多かったのですが、そうなってしまうと、肌の観察は目で行うか、反対の手で触れる、またはローラーを離して、肌を触るしかないので、ローラー鍼をしている最中にも判断できるように、この形になりました。

 

3.まとめ

 ローラー鍼は、皮膚表面だけに行うので、一般的には刺激強度が弱いのですが、ポイントポイントで利用すると、かなり便利な物ですし、変化も生じさせやすいですし、技術的な要素も低いので、利用しやすい道具だと思います。

 

 私自身はいくつか持っているので、両手で同時に行うこともありますし、片手だけで行うこともあります。状況次第で使い分けていますね。広い面を一遍にやりたい場合は両手。狭いところ、小児だと片手だけのことが多いですね。ただ、小児でも5歳ぐらいになってくれば、うつ伏せもできるし、話も通じるようになるので、寝た状態で両手で背中全体を行ったり、立位・座位でも両手で行ったりしています。

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