症状と臓腑の関係

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 東洋医学の治療を行うときには、気血津液の状態、臓腑の状態を把握しておくことが大切になりますが、最初の頃はどうやって繋げていいのか分からないと感じることが多かったのですが、こうやったらイメージから繋げやすいのではないかなと思ったことがあるので、まとめてみます。

 主訴となる症状や、特徴的な症状が気になった場合は、東洋医学で考えていくためには、どこが関係しているのかを確定していく必要がありますが、どうやって繋げるのか疑問に思ってしまうと思いますが、物事はシンプルに考えた方が正解に近いので、症状と五臓を強制的につなげます。

 

 繋げ方としては、木火土金水の関係をまず図として頭に浮かべます。鍼灸学校の学生、卒業生であれば、五芒星の図をイメージしてもらうと、あれかと思えますよね。木火土金水を五芒星の外の円と内側の星の点が交わるところに順番に配置していけば、五行の相生・相克関係の図が関係するので、東洋医学の学習では基本のものです。

 

 この図だけだと、五行(五臓)の相互関係を示すだけになってしまうので、治療に使うのに困りますが、この図の中央に「症状」を入れてみます。例えば、「腹痛」と書いたら、脾である土が関係しやすいのは鍼灸師の方であれば繋がるのではないでしょうか。

 

 さらに知識がある方であれば、木である肝も関係しやすいと思うでしょうから、「腹痛」は肝と脾を中心に治療をしたらいいのではないかと思うのではないでしょうか。

 

 中医学の用語であれば、脾に関係するのは脾気虚、脾胃虚弱、脾陽虚、脾陰虚、脾胃湿熱を探すことが出来るでしょうし、肝に関係するのは肝鬱気滞、肝血虚、肝火上炎、肝陽上亢、肝気横逆を探すことが出来るのではないでしょうか。

 

 後は、ここから他の症状と見比べてみて、どの弁証が近いかを考えていけば、東洋医学である中医学の弁証に対する治療をしていくことができます。

 

 中医学の弁証名が苦手という人は、弁証名を使わなくても、肝と脾に対して治療を行うと考えていけば、シンプルな治療ができるのではないでしょうか。

 

 主訴を「月経」とすれば、生殖器は腎・肝が重要なので、2つ出てくるでしょうし、生成の機能で脾を入れれば、3臓で治療を行うことが可能で、三陰交は治療効果が高そうだし、この3臓と関係するツボを探すと考えていけば、全体の治療のイメージに繋がっていきます。

 

 ここでは臓だけで話しをしていますが、臓の表裏関係には腑があるので、治療穴は腑からも選択していくことができるので、臓が決定することは、治療に広がりを作るために重要になっていきます。もちろん、腑から考えて、臓を決定していくこともできるので、自分のイメージで先に出てきたところを使って広げていくと治療の広がりを持つことができます。

 

 運動器疾患ではイメージしにくい場合があるでしょうが、同じように五芒星の中央に症状を入れてみて、どこと関係しやすいのか考えてみるのがスタートラインではないでしょうか。

 

 ここで分からなければ経絡の走行で治療をすればいいですし、ノートにメモとして分からないことをまとめておくと、何かを読んだときに、聞いたときに、答えが出てくることがあるので、その時に、閃きのようにノートに書き込むと、治療方針のイメージ化を作っていくことができます。

 

 臨床の現場では、見たことが無い疾患を診ることもありますが、同じような症状を診ていくことが多いので、イメージの図がいくつか作ることができれば、それはそのまま自分の経験・知識として身についていきます。

 

 この方法は他にもやっている人がいるかもしれませんが、私自身が東洋医学の治療をイメージして行っていくのは大変だなと思っているときに、5択なのだから5択で強制的に選んでみて、理由や病能は考えてみようと思ったのが始まりです。

 

 やってみたら、まあまあ使えるので、東洋医学の治療で困っている人は、やってみてもいいのではないでしょうか。

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