良性頭位発作性めまい症と鍼灸治療

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 良性頭位発作性めまい症(BPPV)は、「りょうせいとういほっさせいめまいしょう」と言い、身体のバランスを取る三半規管の中にある耳石(じせき)がずれてしまって生じると考えられています。通常は、2週間程度から2か月程度で段々とよくなることが多いようですが、めまいが続くので、気持ちが悪い状態が続いてしまいますね。

 私も何人かの方を診させて頂いたことがありますが、個人差がありますが、施術後に楽になることが多いので、鍼灸も上手く使っていくと、生活含め楽になることが多いのではないかなと思っています。

 

1.良性頭位発作性めまい症

 良性なので、自然治癒する可能性もあり、頭位と関係するので、頭を動かしたときにめまいが生じることが多いです。目を閉じても生じることがあり、歩行するのも辛いという人もいます。

 

 たまに、セカンドオピニオンを求めて他の病院で病名を付けてもらう人もいるので、椎骨脳底動脈循環不全(ついこつのうていどうみゃくじゅんかんふぜん)などの病名がついている人もいました。これは、医療として悪いことではなく、明確にここだと示せない場合にはありえることなので、一人の患者で複数の病名がついてしまうことがあり得ます。

 

 良性頭位発作性めまいは、耳石が三半規管内を流れてしまうと言われ、ストレスや日々に生活で、石のかけらの停滞によって生じてしまいます。頭を動かすとめまいが生じますが、動くことで、石のかけらが動き、めまいが消失していくと考えられているので、自然に治癒することも多いと考えられています。

 

 動かすことで耳石を動かすというエプレイ(エプレー法)というのもあるようなので、耳石の位置が断定されれば、用いられることもあるようです。ただし、この治療法自体が万全という訳ではないので、勝手に真似て行わずに、医療者の指示によって行うことが重要です。

 

2.良性頭位発作性めまいとツボ

 東洋医学ではツボを使って治療していきますが、体質と関係するツボ、症状と関係するツボと分けて施術をしていくことが多いです。私自身も体質や状態に関係するツボ、症状と関係するツボを使うことが多く、多くの鍼灸師が行っているやり方です。

 

 鍼灸師によっては体質や状態に対して施術していくことが重要で、体質や状態が変化すると症状がおのずと変化していくと考えている人もいるので、細かい施術に関しては分かれていくことがあります。

 

 個人的には、良性頭位発作性めまいを生じている人に対しては、耳、耳付近、頚部のツボを使っていくことが多く、患者さんへの指導でも、耳付近のマッサージを勧めて行くことが多いです。

 

 患者さん自身で行ってもらう場合は、耳を母指と示指の側面でつまみこするようにしてもらって、耳に刺激を入れてもらうことが多く、耳をひっぱったり、回したりしてもらったりすることが多いです。

 

 鍼を使っていく場合は、耳尖(じせん)という耳の一番てっぺんを使うことが多いのですが、自分でやってもらうのには刺激がしにくいので、施術と指導する場所は変えています。それいがいには、耳の後ろの付け根、耳の前方を用いていくことが多いですね。

 

 後は耳に関係する経絡も使うことがあるのですが、この場合は、その人の身体の状態によって変わるので、実際に施術をさせてもらった人にはお伝えすることが多いです。

 

 鍼灸の施術をすると、何故、めまいが軽減するのかは、断定することが出来ませんが、現代医学的に考えるのであれば、鍼灸の刺激によって自律神経に働きかけ、血流などに変化が生じることで変化が生じていると考えていきます。

 

 東洋医学的な考え方だと、ツボなどに刺激していくことで、身体に存在する気血水(水は津液(しんえき)と言われる)に変化が生じると考えるので、体質や状態に合わせて、気血水の調整を行っていると言えます。

 

3.良性頭位発作性めまい症と東洋医学

 めまいは、東洋医学では頭暈(ずうん)や眩暈(げんうん)という言葉で表現され、肝や風の影響が強くて生じていると考えていきます。肝は上へ昇る性質がつよく、頭頂部と関係が深いので、肝の働きが障害されると、頭部症状が生じてしまうことがあるので、肝の影響が強いと考えていきます。

 

 風は風邪(ふうじゃ)と呼ばれるもので、一般的には風邪(かぜ)になりますが、身体の状態によっては、風を生み出してしまうことがあり、風は上へ吹き抜ける性質があると考えているので、頭部の症状が生じやすいので、影響が強いと考えていきます。

 

 東洋医学の考え方だと弁証(べんしょう)で表現されることが多く、肝陽上亢(かんようじょうこう)、肝陰虚(かんいんきょ)、心脾両虚(しんぴりょうきょ)、脾気虚(ひききょ)、腎精不足(じんせいぶそく)、痰湿によるめまいがあるとしています。

 

1)肝陽上亢

 中年で生じて行きやすい弁証で、日々の生活による体力の低下、加齢によって身体に必要な陰分(いんぶん)や陰液(いんえき)が不足した状態になります。身体は冷やす力と温める力の、陽と陰によって成り立っているので、陰が不足してしまうと、陽が強くなってしまい、陽である熱は上に向ってしまうために、頭部の症状が発生しやすいと考えていきます。

 

 症状としては、イライラ、手足のほてり、寝汗などが生じやすいです。漢方薬だと、天麻鈎藤飲(てんまこうとういん)や竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)が使われることもあります。

 

2)肝陰虚

 肝陰虚は肝陽上亢と似ている状態ですが、肝陽上亢と比べると症状が少し落ち着いていると考えることができます。肝陰虚が酷くなると、肝陽上亢になることがあります。症状が似てくるので、肝陽上亢と鑑別が難しいところになります。頭痛、めまいなどの頭部の症状が酷い場合は、肝陽上亢と考えておくといいのではないでしょうか。

 

3)心脾両虚

 心脾両虚は気血両虚とも言われ、イメージとしては、過度に疲れきってしまっている、悩み過ぎ、考え過ぎ、手術後、出産後が該当しやすいです。疲れやすさや不眠、お腹の調子が悪いなどが生じやすいです。帰脾湯(きひとう)、四物湯(しもつとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)が使われることがあります。

 

4)腎精不足

 腎精不足は、生命力が低下した状態と近いので、高齢な方、虚弱体質でも発生しやすいです。セミの鳴くような耳鳴りがしたり、腰や膝のだるさを生じやすいです。冷えやのぼせが生じることがあるので、冷えの状態を伴う時には、八味丸(はちみがん)、のぼせの状態を伴う時には六味丸(ろくみがん)が使われることがあります。

 

5)痰湿

 痰湿は、飲食と関係しやすいので、飲食の状態がよくない、前日の食事の後から生じたと言う場合には、痰湿を疑うことになります。臓腑・気血の働きが低下したことで生じることもあるので、単純な病能、複雑な病能があります。

 

4.まとめ

 良性頭位発作性めまい症の方は何人か診させて頂きましたが、症状が強いときには、歩くのも大変で、少しよくなってきても、歩くのも大変だし、目をつぶると倒れそうになってしまうということで、日常生活が辛いという話しを伺うことが多かったですね。

 

 頭がぐるぐると回る感覚も生じやすいので、気持ちが悪くなるという人も多いので、出来るだけ早くよくなってもらいたいなと思うことが多いですね。症状が落ち着いても、何となく身体が本調子じゃないと感じる人も多いので、大分改善したし、異常はないけど、体調が今一つの場合は、東洋医学で考えると身体の状態に異常が発生しているというのを考えていくことができるので、信頼できる鍼灸師に相談してもらうか、近くの鍼灸院に尋ねてみるのもいいのではないでしょうか。

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