身体の中の水分―津液の話し

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 身体の中には水分が多く含まれていて、成人男性では身体の60%が水分と言われています。水分が2%失われると喉が渇き、5%程度失われると脱水症状が生じ始めて、10%以上になると生命の危機が生じてしまうほど重要な水は東洋医学では津液(しんえき)と言われます。

 身体の中の水は血液・リンパを想像するかもしれませんが、細胞も水が必要なものであり、液体として流れていないものも多いです。この水分は現代医学では身体の循環と身体を冷やす働きがあるとしています。

 

 身体の水分は新生児が80%、成人は60%、高齢者は50%とも言われ、年とともに減っていくとも言われます。それだけ生命にとって大切なものであり、水がないと人は生きていくことが出来ないので、東洋医学でも重要な役割が与えられています。

 

 津液は、身体の中で水の状態になっているものを津、身体の中でオイルのような状態のものを液と考えていますが、意味が分かりづらいですよね。

 

 例えば、身体の潤いがあるかないかというのを考える場合は津と考え、関節などの動きを滑らかにしたりするものを液といいます。例えば、自転車のチェーンを考えたときに、普通の水だとすぐに乾燥してさびてしまうので、オイルをつけるのと同じイメージです。

 

 この津と液は分けて考える場合は、関節の動きの障害なら液に対して治療、潤いがないのであれば津に対しての治療と考えることが出来るのですが、通常は津液の治療で分けて考えることは非常に少ないです。

 

 この津液は潤いを与える働きがあるのですが、身体を冷やす働きがあります。現代医学と同じじゃないかと思いましたか?

 現代医学よりは歴史があるので、その考えを使ったか、科学進化のもとに解明をしたかというのが正解です。

 

 歳を取っていくと、この津液が不足するので、身体は潤いを失ってしまうことになります。ただの水分という意味ではなく、身体の中にある液体なので、水を取っても出てしまえば意味がなくなってしまうので、水を津液に変える力が弱っているとも言えます。

 

 この水を津液に変える力は、単純に言ってしまえば、生命力なので、歳とともに低下するのは仕方がないことなので、水分不足が強く生じないように、水分をこまめに摂取することが必要になります。

 

 津液は水なので、水を汲んで置いておくとどうなるかと言えば腐ります。自然の中で循環している水は腐らないということで、水の流れが悪くなってしまうと、イメージとしては腐ったものが出来上がってしまいます。

 

 普段の生活で考えれば、水回り(トイレ、洗面台、台所)は水アカが出やすいですが、身体も水が循環しているので、水アカが生じやすいと考えます。この水の流れの停滞、つまりは津液の停滞がむくみになり、津液の流れが悪い状態とも言えます。

 

 水アカもちょっとの場合からカビが生じて異臭を放ってしまう状態があるので、東洋医学でも津液の停滞に順番をつけています。津液が停滞すると湿(しつ)→水(みず)→飲(いん)→痰(たん)という表現を使っていきます。

 

 症状としては、むくみが分かりやすいところになるのですが、水が多く停滞してしまうと、声に痰が詰まったような状態が続いてしまいます。長期間、流れが悪くなってしまうと、腐るということで、そこに熱が生じることもあり、東洋医学の病でも津液の問題についてはよく書かれています。

 

 腐るのが熱というのは、熱がないところでは、乾燥することもないですが、熱と湿度があると腐ることがあるので、腐るものには熱があると考えるのが基本です。

 

 このような考えがあるので、東洋医学の治療説明では気血の循環をよくするというのが一般的に言われます。病気も原因、治療が分からないものは、血行がよくなれば治るのではないかとも言われますが、その感覚と近いものではないかと思います。

 

 水が不足してしまえば、身体を冷やすことが出来ないので、身体は熱くなってしまうことが多いと言われるので、身体が熱いかは津液の状態を確認する方法にもなります。

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