東洋医学における体調不良の考え方―虚実

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 東洋医学における身体の状態の確認の仕方として大切なものが、虚実(きょじつ)の判定になります。身体の持っている力不足した状態を虚と呼び、環境によって体調が悪くなった状態を実と捉えることがあります。

1.実の状態

 実の状態で分かりやすいのが、冷たいものを食べすぎて、お腹が痛くなったのであれば、冷たい物を「多く食べた」(身体が抵抗できる力を超えた)場合を実として考えていきます。

 

 この状態以外でも食べ物に関係することで言えば、最近は多く食べることが続いて、お腹の調子の悪化や身体がだるいというのであれば、これも実として考えていきます。

 

 寒いところに長く居たので、風邪をひいたのであれば、寒いというのを長く受け過ぎたということで、これも実となるので、環境の影響が強くて、体調が悪化したのであれば、実として考えることが出来ます。

 

2.虚の状態

 虚の状態は「うつろ」であるとも考えられるので、体力が低下した状態を虚として考えることが出来ます。体力が落ちてきて調子が悪くなった場合は、虚の場合があります。

 

 気の話で出てきた、気が不足して推動作用が働けなくなれば、血流の低下や体力低下が生じることもあるし、気の温煦作用が低下してしまえば、身体を温める働きが不足してしまうので、冷えが生じることもあります。

 

 声の大きさが小さくなり、元気がなさそうな状態は宗気の不足が生じているので、発声が不十分になってしまっていると考えることができます。虚の状態を起こしてしまうのは、疲労や加齢、出産などが考えることができます。

 

3.虚実挾雑(きょじつきょうざつ)

 体調不良は実か虚だけではなく、虚実が両方生じている場合があり、これを虚実挾雑と表現します。

 

 例えば、疲労が強くてお腹の調子が悪くなっていたのならば虚を考えられますが、お腹の調子が悪いけど、暴飲暴食をしてしまい、腹痛と下痢が生じたのであれば、虚の状態に実が加わってしまったので、虚実挾雑だと考えることができます。

 

 日々の生活の中では体調の変化があり、虚が生じることも多々あるのですが、環境や飲食によっても体調変化が生じるので、身体の虚実を見定める上では、人の体質の把握と、最近の動向をしっかりと尋ねていくことが大切になります。

 

 虚の状態が続いてしまったことでも、実が発生することがありますが、例えば、気の不足が発生してしまい、身体の水(津液)の流れをスムーズにすることが出来なければ、水の流れが悪くなり、貯まっていってしまい、むくみとして現れます。この状態は、虚実挾雑として考えることができます。

 

 疲れていたところに風邪をひいたとしたら虚実挾雑として考えられるので、泣きっ面にハチと言えるかもしれないですね。そうならないために、日々の体調を整えておくというのが大切になります。

 

4.虚実を判定する

 虚実を判定するのは、簡単に言えば、疲れているのか、急に調子が悪くなったのかという体調によって決定することができます。人は自然の中で生活しているので、環境による影響というのも大切になるのですが、虚実の判定で大切になってくるのが、身体の中にある気血津液精陰陽になります。

 

 以前のブログでも書いているように東洋医学では身体の中に気血津液精陰陽があると考えているのですが、それぞれがどうなっているのかを考えるのがこの虚実という概念でもあります。

 

 気血津液精陰陽の虚実は、

  • 気の虚実
  • 血の虚実
  • 津液の虚実
  • 精の虚実
  • 陰の虚実
  • 陽の虚実

と考えることができ、身体の状態を詳細に把握する方法でもあります。虚実ということで分けているので、これも陰陽論を使った病態の把握ということになります。陰陽だけで説明すると訳が分からなくなるので、具体的な用語を用いているということですね。気血津液精陰陽の虚実は気血津液弁証と呼ばれますが、詳細はこちらのブログを参考にしてみてください。

気血津液弁証

 

5.虚実を考える

 理論的に言えば、上記まで書いたことを中心として考えていくのですが、まずは見た目で弱そうだなと思えば、虚証を疑って、症状が強かったり、最近体調が悪くなったりしていれば、虚実挾雑として考える方が楽だとは思います。

 

 詳細に見ていくには、それぞれに関連する症状などを覚えて四診によって確認していくことが大切になります。虚実の決定には八綱弁証や補瀉の概念が重要になってくるので、こういった内容はこちらのブログで書いているので参考にしてみてください。

東洋医学の治療で大切なこと-補寫は必要か

八綱弁証とは何か

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