東洋医学の診察法は四診と言われ、望聞問切の4つがあり、望診では舌診がよく用いられていますが、舌に身体の状態が反映すると言われます。
舌は身体の中にあるので、身体の中の状態が診やすいと考えられています。舌の運動は心と関係をするので、舌の運動障害は心と関係すると考えられるので、言語・味覚障害は心の問題として考えます。
この他では舌には心・腎・脾の経絡が関係するので、舌の運動や機能の障害は、心以外では、腎と脾の問題を考えることがあります。味覚の消失だと、脾と考えることが多いのは、脾は食に関係するためです。
舌は筋との関係が深い場所でもあるので、身体の筋の状態を反映すると考えることが出来ます。血と関わるのは心・肝になるのですが、舌は五行で心と関係するので、心血の状態を判断することができると言えます。
ここまでが舌に関する基本的な知識になるのですが、もう一つ重要なことがあります。舌の部位には臓腑が対応するということで、舌の五臓六腑の配当も頭に入れておくことが大切です。
- 舌尖:心肺
- 舌辺:肝胆
- 舌中:脾胃
- 舌根:腎
例えば、舌尖にできものが出来ているのであれば、心肺の問題が生じているのではないかと考えられます。できものは熱(火)によって発症しやすく、熱は五臓では火に属する心に影響しやすいので、内熱が心に影響してしまったときに舌尖部に問題が生じていると考えることができます。
舌の周辺に口内炎が出来る人がいますが、この場合は肝胆の病証として考えることが出来るので、ストレスが強くなかったのかを考えることができます。舌にできた口内炎がなかなか治らないと言われますが、東洋医学で考えた場合、臓腑の問題が強く生じているので出ないようにしていくのが重要ではないかと思います。
私は若い頃は口内炎に度々なっていましたが、鍼灸の学校に入学してから、これまで1回もなっていないので、継続していくことによって身体は変わってくると思います。
舌の状態を診ていくのに、舌診を行うのですが、先ほどの臓腑の配当以外に重要になるのが、舌の色が形、苔の厚さと色を見るものです。
※舌診
- 舌の色
- 舌の形
- 舌の苔→厚さと色
舌の色は淡紅色が正常と言われるので、淡白な色になっているようだと、気血津液の問題が生じていることが分かります。赤色が強くなっているようであれば、熱があることが分かるので、舌の色で分かるのは熱があるかないかということになります。
舌の形は大小・硬軟と分けて考えることによって、気血が不足しているのか何かが停滞しているかを鑑別することが出来ます。見やすいものとして出てくるのが、大きくて歯型が残っているもので、この場合は痰湿が停滞していることが分かります。
舌が大きくなっていないのに、歯型がついているようであれば、気虚になっていると考えられるので、身体が疲労しているのではないかと考えることができます。他に見やすいものは裂紋と言われる、舌にヒビのような線が入っている状態です。
このような裂け目が入っていたら、舌を栄養する働きは血にあるので、血の不足か、血は陰液と言えるので、陰気の不足が生じていると考えられます。裂け目は舌の中央や根本に見られることが多いので、根本に見られていれば腎陰の不足、中央は脾胃の陰虚を考えることができます。
身体の状態が極限まで悪い人は、病院にいるか寝たきりの人が多くなってくるので、見たことがない、こんなのがあるの?というのを見た場合は状態がかなり悪いと思えばいいと思います。
その時に大切なのは、最初に書いたように舌に関係する臓や血という基本的な知識になります。
苔に関しても見るのですが、苔は一般的には口臭の原因ということも言われますが、東洋医学では、口臭は胃腸の問題なので、苔は関係ないと考えます。正常な苔は薄く全体に白色であるのがいいと言われます。
苔で診断するのは、痰湿という水の阻滞・停滞になります。苔が多ければ、身体の中に痰湿が停滞していると考え、部位によって違うときは、部位と五臓配当によって考えていきます。
舌を身体として捉えれば、内臓と考えられるので、舌尖が上焦、舌中が中焦、舌根が下焦と考えるといいと思います。
苔が厚ければ厚いほど痰湿の阻滞があると考えた方がいいので、苔の厚さは注意をしてみるといいです。苔の色は舌の色と同様で、熱を分類するものなので、色がついていたら(黄色が多い)熱があると考えます。
食事でも色が付くことがあるので、事前に飲食をしていないかを考える必要があります。お菓子などを食べていたりすると、紫色になったりもしますが、その場合は明らかにおかしいので聞いて下さい。
舌で特徴になるのが、紫暗・暗紅という暗い色をしていれば瘀血が体内に停滞しているのが分かるので、そのまま舌裏静脈を確認することが必要です。瘀血が停滞している人は舌裏静脈の怒張や紫色が濃いように見えるのでその場合は瘀血と判断をします。
見れるようになっていくのには、書籍などは印刷で色が分からないものも多いので、多くの人を見るのが一番の方法だと思います。数人見て紅いと思った舌も、100人みたら、本当に紅い人もいて、最初に思った紅いという感覚が違うというのが段々と理解できると思います。