陽維脈と陰維脈

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 陰経をまとめるのが陰維脈、陽経をまとめるのが陽維脈ということで、陰維脈は諸陰や一身の裏と言われ、陽維脈は諸陽や一身の表と言われます。

 この2経は陽経・陰経を束ねるという意味で同じなので、対比をさせ説明されることが多いです。陽維脈は陽を束ねてくるので、陽は身体の外と考えることができ、身体の外側に関係します。陰維脈は陰を束ねてくるので、陰は身体の中と考えることが出来るので、身体の内側と関係します。

 

 病の特徴としては、陽維脈は外と関係をするので、身体の外側は皮毛があり、皮毛は外邪から守る働きがあるバリヤー機能になるので、環境変化による体調不良に効果があるとしています。一般的に分かりやすいのが、寒くて風邪を引いたというのは陽維脈の病と考えることが出来ます。

 

 そのため、陽維脈の病は「寒熱に苦しむ」ということで、悪寒や発熱に効果があるところになります。陽維脈の八脈交会穴は外関になるので、風邪の治療では外関を用いていくことができます。

 

 外関を刺激していけば、陽維脈が強くなるので、身体の外側が強くなることと同じなので、風邪の予防に外関を使うこともできます。

 

 陰維脈の病は「胸痛」になりますが、陰は身体の内側で大切なところということで、心がある部位への関係が言われます。胸の痛みのときに内関を使うことが出来るので、胸痛や不整脈に使われることがありますが、作用も強いので、症状が強い人は刺激量によっては悪化することがあります。

 

 胸に関係をするだけではなく、心包経の経穴になるので、胸苦しさや息苦しさという胸部の不快感にも使うことができます。忙しかったりして、憂鬱感が出ているときや、呼吸が浅くなったときに使うと効果を体感できるのでお勧めの経穴になります。

 

 内関は他には乗り物酔いにも使われることがあるので、乗り物酔いをしやすい人は、内関に円皮鍼を貼っておくと酔いづらくなります。吐き気止めとしても使われることがあるのですが、これは陰維脈の走行が身体の内部と関係をして、胸だけではなく腹部まで流注していることから使われます。

 

 陰維脈は応用範囲が広い経穴になりますが、不整脈や胸痛が酷い場合があるので悪化しないように注意が必要なところですね。

 

 外関は刺入をしていっても1㎝程度であれば強い響きが出ることは少ないのですが、内関は腱の間に刺入をしていくのですが、腱に触れてしまうことも多く、皮下静脈や正中神経が走行しているところなので刺鍼には注意が必要になります。

 

 腱や静脈に触れていなければ、内関は1㎝程度は刺入していくことができますが、それ以上の刺鍼になってくると、正中神経に触れていくことも多く、指先に電撃様のしびれと、手指の躍動が生じてしまうことがあります。

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