上星

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 上星は督脈のツボの一つで、鼻疾患に効果的なツボになるので花粉症の治療にもよく使われています。

1.上星(じょうせい)

 上星は背部正中線にある督脈(とくみゃく)という経脈に所属をしているツボになります。督脈は肛門の前から背骨を昇り、頭部から頭をめぐって上の歯まで走行しています。督脈が鼻を通過していくので、上星を使用すると、鼻の気血の流れがよくなるので、結果的に鼻疾患にも用いられることになります。

 

 上星は正中線上で、前髪の生え際から1寸(約3cm)のところにあるので、場所としては身体の上部にあるので、空にある星という意味があるので、「上の星」で上星になります。上星は頭部にあり、督脈と関係をしているので、鼻以外では頭痛や目の治療で使われることがあります。

 

2.上星の使い方

 上星のところを蒸しタオルで温めていくと、鼻だけではなく、眼精疲労も軽減することがあります。蒸しタオルであれば、広い範囲におけるので、鼻や目のところから上星までおくようにすると、督脈の気血の流れがよくなりやすいので、上星のツボの効果を得られるだけではなく、局所の循環改善を図ることができますね。ただし、のぼせ易い人は温めるとのぼせが酷くなってしまうので注意が必要になります。

 

 星は空にあり輝いているものなので、人と照らし合わせると生命力と関係すると考えられるので、生命力と関係をする精(せい)に対しての治療効果を発揮すると考えられるので、精の不足による腰痛に対しても使うことができます。

 

 何となく腰がだるい、手を当てていると落ち着く、腰が疲れやすいというのは精の不足と関係をする腰痛になります。

 

 風邪(かぜ)をひいて熱が出ている時にも用いることが出来るので鍼灸治療では使いやすい場所になります。風邪(かぜ)のときの鼻水は水様性と黄色の鼻汁が出やすいですが、水様性は冷えと関係することが多く、黄色の鼻汁は熱と関係することが多いです。

 

 風邪(かぜ)をひいた後に生じる美疾患や副鼻腔炎に対しても用いることが出来るのですが、実体験からすると鍼よりもお灸の方が、効果が高いのではないかと思います。

 

 なぜなら、鼻水という水が停滞しているときには、陰陽で言えば陰が停滞している状態になるのですが、陰を動かすためには、陽である熱を加えた方が動かしやすいと言えるので、火を使うお灸の方が鼻汁には作用をしやすいと思います。

 

3.上星と鍼灸治療

 上星にはお灸という方が多いのですが、透熱灸(とうねつきゅう)という皮膚に直接、艾(もぐさ)をのせるやり方だと、その部位の髪がなくなってしまいます。頭髪が長い人は隠れますが、短い人だと、目立つところなので、お灸をすると痕が目立ってしまいます。

 

 その場合は、灸点紙というシール状の物を使用して透熱灸をすれば火傷と髪を守ることができるので便利なのですが、上星から灸点紙が浮いてしまうので、熱感がない状態になってしまいます。

 

 その場合は、大き目の艾炷を作成して、線香で艾炷に点火をしたら、灸点紙と頭部に押し付けるようにすると、熱感を感じてもらうことができます。指で灸点紙を押すと熱さが強いので、自分の指はかなり熱くなります。

 

 指が熱くならないようにするためには、使っていない線香でおしつけるようにすると自分が熱さを感じずにお灸が出来るので頭部で灸点紙を使って、お灸をする場合はお勧めのやり方になります。

 

 または棒灸を使っていけば指が熱くなくて感じさせやすいのですが、棒灸も火がついている物なので、上星に近づけていくと髪が焦げてしまうので、注意が必要ですね。棒灸については過去のブログで書いていますので参考にしてみてください。

棒灸の使い方と効果

 

 鍼を刺入する場合は、上星から鼻の方向に向けて刺入するのが効果的だと言われるので、水平刺を用いていくことが多いです。切皮がしにくいのであれば、皮膚をつまんだ状態から刺入をしていくとやりやすいですね。

 

 鼻疾患だけではなく、熱病にも効果があるとされているので、風邪(かぜ)をひいて汗を出すときに用いるのもいいですね。発汗は、身体に侵入した外邪と身体に停滞した熱が外に出すと考えているので、風邪(かぜ)の後の発汗は体調が戻るサインになります。

 

 鼻疾患には用いやすいところになるので、鼻血(衄血:じくけつ)がでたときの処置のツボとして知っておくのもいいと思いますよ。

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