肝虚は血虚

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 肝虚証という言葉は鍼灸の話しの中でよく出てきていますが、肝虚証は血虚証のことが非常に多いです。

 肝は疏泄と蔵血という働きがあるのですが、疏泄は気機の調節ということで、気に対する働きと考えることができます。蔵血は血の調節ということで、血に対する働きと考えることができます。

 

 肝は五行では木に関係をするので曲直と関わり、曲直は成長や発育と関係をするので、広がったり、昇ったりする傾向が強いものなので、もともとの性質が広がる働きになるので、気が充実しやすいところとして考えられるので、気の虚証が出にくいという特徴があります。

 

 

 そんな気の働きが強い肝ですが、血に対しては、受け入れて貯めておくという受動的な働きになり、血が生成不足になってしまった状態でも不足に繋がってしまうし、入ってくる量が少なくなってしまったり、出し過ぎてしまったりしても不足が生じやすいので、肝血の不足は生じやすい傾向にあります。

 

 陰陽では気は陽であり、血は陰になるので、肝という臓は、気虚になりにくいので、陽虚になりやすく、血虚になりやすいので、陰虚になりやすいという傾向があります。肝の病証を考えるときには、気の病証は、気の余分な状態と、肝血不足・肝陰不足が生じやすいという傾向があります。

 

 肝気がうっ滞してしまうと、全身に気が巡らない状態になってしまうので、体幹の気が集まってしまい、通常以上に気が存在してしまっているので、例えるならば、体幹という部屋に大量の人が押し寄せてくることになります。症状として出てくるのは、胸脇苦満や腹部の慢性的な脹痛になります。感覚的には、食べ過ぎればお腹が痛くなりますが、その感じが慢性的に腹部に生じるのと、胸脇部に発生している状態です。

 

 血の不足の症状を考えるときには、血が関係するところが頭に入っていないといけないので、血と関係するところの復習をすると、血は精神、筋、目を栄養する働きがあります。血が不足をすると、精神の働きが低下をしやすいので、健忘や不眠が生じてしまうことがあり、精神がしっかりしない状態になってしまいます。

 

 筋の栄養が低下をしてしまうと、ケイレンやしびれなどが生じてしまい、眼瞼痙攣や下肢がつるという症状が発生をしてしまいます。筋の動くことによって目が見えるようになると言われているので、視力を使いすぎると血を損傷し、血が不足をすると眼精疲労などが発生してしまいます。

 

 血の不足は精が補うとされているので、血の不足が多大になると血だけではなく、精も不足をしてしまうので、精血不足という状態になってしまい、精を蔵している腎の機能障害が発生をしてしまうので、精血不足は肝腎不足の状態になってしまいます。

 

過去のブログで血と精に対して書いていますので、基礎を見る参考にしてください。

東洋医学の血と現代医学の血液の違いは?

精と精気の違いとは

 

 血が不足をしてしまうと、内風を生み出してしまうとされているので、血虚が進行したことによって、風が生じてしまいます。内風に障害をされてしまった状態で分かりやすいのは、倒れてしまう直前の症状と似てくるので、ふるえが強く出てしまって、身体を制御できない状態があげられます。

 

風などの外邪については過去のブログで書いています。

気候変化と身体の関係

 

 内風が生じてしまう状態には、血虚生風、熱極生風、陰虚生風があり、血虚か熱があるときに風が生じてしまいやすいと言われています。

 

 肝は血虚をきたしやすいので、血虚生風を発生しやすい傾向がありますが、それ以外にも肝は陰虚や気の停滞(気滞)から生じる熱にもなりやすいので、陰虚生風、熱極生風も発生しやすい傾向があります。

 

 肝の虚実を考えていくときには、いろいろなことを知っていると虚実を出しやすい傾向があるので、気や血に対する知識だけではなく、そこから派生する症状も知っておくと非常に便利になります。

 

 肝実は、気の停滞である気滞と気滞から生じる肝火があり、熱に偏りやすい傾向があります。

 

 肝虚は、気の虚証は発生しにくいので、血虚が生じやすく、血虚から進行しやすい陰虚も発生するので、肝虚は血虚か陰虚として考えることができます。

 

 肝陽の不足は、気の不足が生じにくいので発生しにくいと考えておくと、肝の臓腑弁証がイメージしやすいと思います。

 

肝陽と肝火の違いに関しては以下を参考にしてください。

肝陽と肝火の違い

 

肝の働きについては以下を参考にしてください。

肝の働き

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