変形性膝関節症に対する鍼灸治療

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 腰と膝は立ったり、歩いたりしているときには重要な働きをするところであり、体重を支え続けているところなので、加齢によって変化や痛みが出やすいところになります。

 特に、膝は立ったり、座ったりということで、曲げ伸ばしも多いところなので、日々の生活から影響を受けやすいところになります。加齢とともに、運動をするのも少なくなるので、筋力低下も生じてしまうので、膝を支えていくことが出来ないので、変形性膝関節症になってしまいやすいです。

 

 人の成長がピークを過ぎれば、後は、ある物を使っていくしかないので、使用頻度が高いところは痛みやすいのは、どんな物でも同じですよね。洋服や靴のように毎日、変えられたらいいのですが、そんな簡単な物ではないので、これは仕方がないと言えます。

 

 現代医学で診察をすれば、変形が出てしまったら、後は構造を手術によって治すか、筋力をつけて、膝の動きをサポートするしかないので、どこかで痛みが取れないかということで鍼灸院に来院される人も多いです。

 

 変形性膝関節症に対して鍼灸治療を行うと、変形が改善する訳ではないのですが、血流もよくなって、動かしていなかった筋肉に刺激が入るので、治療すると数日は楽になることが多いです。

 

 変形性膝関節症がある方は、大腿四頭筋の萎縮が強い人も多いので、大腿四頭筋に対して鍼灸刺激を行うと軽減することが多いです。筋力をつけていくことも大切なのでスクワットを指導することが大切なのですが、スクワットは本気でやろうとすると、膝の痛みがある方には難しいので、高い椅子に少し腰かけるように座るようにすると簡単なスクワットができます。

 

 回数としては、初めは1日10回程度にしておいて、段々と出来るようになったら回数やセット数を増やしていく方がいいです。最初に頑張って多くやってしまうと、痛みや炎症が酷くなってしまい、治療効果も半減してしまいます。

 

 他には、椅子に腰かけた状態で足首に少し重りを載せるか、輪っか状にしたゴムバンドを椅子の足と足首にかけて動かすと、ゴムの抵抗がかかるので、大腿四頭筋に効率よく刺激をすることができます。

 

 関節の痛みに対しては、お灸が非常に効果的なのですが、透熱灸は火傷をしてしまうこともあるので、患者さんと相談をした上で、どういったお灸を使うのかを決める方がいいと思います。

 

 下肢の血流障害が発生している人だと、火傷をしたところが壊死をしてしまうことがあるので、患者さんの既往歴をしっかりと尋ねてからお灸療法を行う方がいいですよ。火傷をさせない方法もありますが100%ではないのでしっかりと練習をしておくことが大切です。

お灸で火傷をさせない方法

 

 変形性膝関節症の方は膝が腫れていることが多く、熱を持っていることが多いのですが、東洋医学の治療では熱が強くなり過ぎたところには、熱をさらに加えることによって、転化をさせて熱感を取るという考え方があります。

 

 現代医学的には、熱があるところに熱を加えるのは駄目なことですし、全体を温めると痛みが増強してしまうことがありますが、透熱灸などのピンポイントでの熱を加える治療は改善することが多いですね。

 

 痛みが存在しているときには、気血の流れが阻滞しているので、不通則痛・不栄則痛になっていますが、熱を加えると、水が沸騰するときのようにブクブクと流れがよくなるので、気血の阻滞が改善することが多いです。

 

 お灸を行う場所は、痛みが強いところに行うのが効果的なので、圧痛点か患者さんが痛くて気になるところに行うのが効果的です。

 

 変形性膝関節症の方は、膝に痛みがあるだけではなく、何かの膜が張っているような感覚を持っている人がいるのですが、お灸治療を加えると、この膜がなくなる感じもすることが多いので、痛みだけではなく不快感も軽減しやすいです。

 

 もちろん、変形が奇麗に治るという訳ではないので、治療効果の持続も数日ということが多いので、下肢の筋力トレーニングも行っていくと、効果が持続しやすくなります。たまに、膝の裏の方が痛いという方がいますが、大腿四頭筋が非常に硬くなっていることがあるので、大腿四頭筋を緩めていくと、膝裏の痛みが軽減することが多いです。

 

 火傷が大丈夫であれば透熱灸を使うことが出来ますが、膝関節付近に灸頭鍼を使うのも、痛みの軽減がしやすいので、いい方法だと思いますし、棒灸も使いやすいので、効果的ですね。

灸頭鍼の効果と使い方

棒灸の使い方と効果

 

 痛みが完全に消える訳ではないので、痛みが残っているところに円皮鍼を使うのも効果的ですし、足背部の圧痛に対して円皮鍼を添付するだけでも治療効果の持続を狙うことがあるので、治療の中に円皮鍼も上手く取り入れていくといいですね。

 

 お灸に関する他のブログはこちらにありますので、参考にしてください。

お灸が上手になるコツーお灸はリズム

お灸の熱さを感じない

お灸は火傷をさせた方がいいのか

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