過去のブログでは、治療効果の確認が出来るようになっていくためも含めて、治療の中で関節の緩みを診ていく方法について書きましたが、今回は筋肉を緩めるのに関節を使う方法について書いてみたいと思います。過去のブログはこちらです。
「治療で関節が緩んでいくことが大切です―年を取ると身体が硬くなる理由」
関節は骨と骨をつなぐだけではなく、靭帯やクションも含まれています。関節が動かないと身体を動かすことが出来ないので、関節には筋肉と筋肉が骨に付くための腱が存在しています。
関節を動かすということは、関節にある骨以外の構造にも刺激をすることになるので、関節運動を他動的に行えば、筋肉にも刺激をすることになります。
関節へのアプローチとしては、ストレッチを考えることが多いかもしれないですが、ストレッチは筋肉を伸ばすために行っているものなので、関節部への刺激はしていないことになります。
関節部への刺激として考えるのであれば、関節を少しだけ動かす方法が必要になります。
例えば、肩こりがあって、肩周りの筋肉が硬い場合には、肩甲上腕関節付近に付着する筋肉が硬くなっているということなので、肩甲上腕関節に対してアプローチをしていくと、肩周りの筋肉が緩んでいきます。
やり方は非常に簡単で効果が高いので、なかなか緩まないと感じた時には、関節を緩ませると、治療がしていきやすくなります。鍼灸で考えるのであれば、関節部へ刺鍼を行った後に、筋肉や経絡に刺鍼を行うといいですね。
理論はいいからやり方はどうやるのだということになると思いますよね。
肩関節を例としてあげると、仰向けやうつ伏せの状態で、肩関節を90度の位置にして、上腕骨の肩関節の根元を両手で包むようにつかみます。
肘から先が不安定になる場合は治療者の両足で挟んでおいてもいいのですが、広めのベッドであれば、肘から先のことは無視していいですね。
両手で掴んだ状態で関節を動かすのをイメージしながら、上腕骨の骨頭を上下左右や回すようにします。
この時の動きは例えば左右に動かすときでも左に5ミリ程度、左右で1センチ程度にします。
そんなに少ししか動かさないでいいのかと思うかもしれませんが、それ以上の動きをしようとした場合には、他の関節の動きも入ってしまうので、MAXで左右1センチ程度です。
細かく素早く動かしても関節と筋肉は緩むのですが、ゆっくりと行う方が緩みやすくなるので、とにかくゆっくりと行うことが大切になります。
急激な動きを加えてしまえば、筋肉が切れたり、関節が壊れたりしないようにと身体が緊張をしてきてしまうので、ゆっくり行うことが重要になっていきます。
左右の動きを例にしてみると、左に3秒、右に3秒というぐらいで行います。より具体的には、左に5ミリ動かすのに1秒かけて、1秒止めて、1秒で戻すということです。
これぐらい時間をかけて、3セット行うと、関節の動きが広がるだけではなく、付近の筋肉もかなり緩みます。
硬い筋肉に対してすぐに治療を加える人も多いですが、やられた感じは残っても効果が持続しないことが多いです。
例えば、硬くなっているところを風船でパンパンに膨らんだ状態で考えてもらうと、膨らみが取れたら硬結がなくなったと考えます。
風船の膨らみを取るには、縮めていけばいいので、割ってしまうか空気を抜いていくかの治療があるとイメージをして下さい。
硬いところを一気にいくというのは、風船を割るということなので、インパクトはありますが、風船が無くなってしまいます。硬結がなくなったとのであればいいと考えるかもしれませんが、人の身体は使い捨てではないので、風船を割ってしまうようにしてしまうと、元に戻らないですよね?
関節からアプローチを加えるのは、膨らんだ風船の空気を少し抜いていくことになるので、インパクトはないですが、膨らみが小さくなります。
小さくなった後に、空気の抜け道を作っているので、その後に硬結があるところに直接刺激を加えると、風船を押して、空気を抜くことになるので、インパクトはなくても硬結が一気に改善していきます。
さらに割った訳ではないので、構造を壊していないので、予後がいい傾向があり、硬結が出来にくい身体を作っていくことにもなります。
他の関節でも使っていけるので、その関節構造と刺激の入れ方は随時考えていかなければいけないのですが、関節を緩めていくことで、筋肉を大きく緩めることが可能です。
関節が緩くて脱臼癖があるような人では、関節の固定力がより低下をしてしまうので、治療をするときには、既往歴と関節構造の緩さを確認しておくことが大切なので注意して下さい。
運動をする直前の人も、関節のゆるみが大きくなってしまうと動きが広がることになっても、関節の不安定性を感じて怪我をしてしまうことがあるので、注意が必要ですね。一般の人や疲労回復に対して関節のゆるみをつけるのは効果的ですが、効果も高いので使い方には注意が必要ですね。
関節の構造は立体的に理解をしておくのがいいのですが、書籍だと立体感が分からないので、アプリを使って確認していくとイメージがつきやすいのでお勧めです。