前頚部は治療として使うのは鍼治療、灸治療、手技治療などのいずれの治療においても注意が必要なところでもあり、危険性も高いところなのですが、自分で練習をしていたら思ったより効果があったので書いてみたいと思います。
何故、前頚部に透熱灸をしようと思ったのかという経緯ですが、前胸部にお灸をしたら、普段、呼吸が苦しいという意識もしたことがなかったのですが、非常に呼吸がしやすい状態になり、身体が楽になる感覚があったので、前側のお灸も効果が高いなと感じていました。
自分の身体を見て行ったときに、あまり鍼灸を行ったことがないところはどこかと考えたときに、頚部には鍼はよくするけど、透熱灸はしていなかったなと思ったので、やってみたらどうなるのかなと思ってやってみました。
頚部はどんな洋服をきていても見えてしまいやすいところですし、襟が触れる部分なので、火傷をさせてしまうと、火傷の痕が目立つし、襟でこすれてしまって、治りが遅くなることが多いので、透熱灸をしようという選択肢にはならないですね。
私も患者さんにはやったことがないのですが、禁灸穴でもないし、どんな効果が出るのか楽しみで鏡を見ながら自分の前頚部にやってみました。
前頚部に透熱灸をしてみた結果として、他の部位よりも断然、熱さを感じやすかったので、半分程度燃えたときには消してしまいました。私は実験台としてやっているので、火傷をしてしまっても構わないのですが、出来れば火傷をしたくないというのも本音なので、熱さは感じるけど火傷をしないように注意をしました。
お灸で火傷をさせないようにするのには、艾炷が燃えきる前に消してしまえば、火傷になることは少ないですが、火傷をさせない方法には軟膏を使う方法もあるので、過去のブログを参考にしてみて下さい。
前頚部にお灸をしてみた感想としては、お灸をしているときから顔面や頭部、側頭部に温かさを感じることが多かったです。試した部位は、経穴ではなく、喉頭隆起の両側、欠盆、胸鎖乳突筋、斜角筋などの辺りを何箇所もやってみました。
胸鎖乳突筋のトリガーポイントは顔、頭部にも関係をしているので、もしかしたら、前頚部のトリガーポイント刺激によって温かさを感じたのかもしれないですね。トリガーポイントに関してはこちらのブログを参考にしてください。
前頚部に透熱灸をして、しばらくして頚部の触診をしてみたのですが、頚部に鍼をするよりも緩みの度合いが大きく、後頚部の緩みもかなり出ました。鏡を見ながら行っていたので、前頚部のお灸を何カ所か行った後に、顔のチェックをしたのですが、目の開きがよく寝たときのように大きくなっていました。
その後、頚部を触ってみたのですが、頚部の硬さはかなり緩みました。一日だけでは分からないので、次の日も頚部の触診をしてみて、数日後に前頚部の透熱灸を継続してみたのですが、やはり頚部の緩みは持続する傾向にあるのが分かりました。
鍼でも効果があるのですが、透熱灸を使ったほうが持ちはいいなという感想ですね。台座灸も行ってみたのですが、心地よさは台座灸の方があるのですが、治療効果は透熱灸には敵わなかったですね。
他には効果がないのかなと確認をしていたところ、肩というか肩甲骨を回すとゴリゴリとひっかかるような音がしていたのが、消えていました。
この肩甲骨がゴリゴリと音がなるのは数年ぐらい続いていたので、なかなか改善しないと思っていたのですが、1回の透熱灸で消えたので、本当かよという気持ちになりましたね。一応、次の日にも確認をしたのですが、ゴリゴリという音は消えたままでした。
1回目ではゴリゴリは消えても、動かしにくい感覚は残っていたのですが、数日行ったら、ほとんど音がしなくなり、肩甲骨が動かしやすい感じに変わりました。
どんな人でも同じ効果が出るのかと言われると難しいですね。かなり年をいった方だと、顎が前に突き出すような姿勢になって固定をされてしまっている人がいると思いますが、構造的に顎が出過ぎる状態になってしまった場合は、大きな効果を目指すのは難しいのかもしれないですね。
大椎の両側にも辛さが出ることがあったのですが、前頚部のお灸をすると、しばらく辛さを感じることがなくなりました。最初の方に書いたように、一般の患者さんに行うのには、狭い場所なので線香の扱いも注意をしないといけないところですし、火傷のリスクも高いところなので、自分の治療として使うことをお勧めします。