三陽絡

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 手少陽三焦経に三陽絡という経穴がありますが、使うことはあるでしょうか。

 私は以前から使用する経穴で、効果も面白いところではないかと思っています。三陽絡という名前の由来は、手の三陽経が交わるという意味だと考えられているので、下肢の三陰交と対応する経穴ではないかと思います。

 

 三陽絡の別名は通間・通門とも言われていたそうなのですが、これは手三陽経が通る場所という意味から名づけられたと考えられています。ただ、三焦は気や津液を通すと考えられるので、三焦の働きからも付けられたのではないかと思いますが、そういう説はないので、私の妄想なのでしょうね。

 

 一応、そう考えた理由としては、三陰交は名前が三の陰が交わると言う意味ですし、同じような名前と働きは三陽絡なので、似ているなと思ったのもあるのですが、上下という陰陽で考えたときにも下という陰の場所で交わるものと、上という陽の場所で交わるものという意味にしたら、上下に交わることが出来るので、陰陽治療を考えるときには、三陰交と三陽絡を使うのも面白いかと思ったのです。

 

 三陽絡は陽に関係するのもあるのですが、三焦経の経穴にもなるので、外関と似たような働きとして外感病に対する治療穴と考えていくことができます。

 

 外邪の問題が生じたときは、陽維脈の病として外感病に苦しむというのがあり、陽維脈の八脈交会穴が外関なので、外邪の病は外関ですね。ただ、三陽絡は陽経が交叉をする場所であることから、身体の外側とも関係をしやすいので、外邪の病に対処をすることが出来ます。外関だけでは効果が足らないというときには、三陽絡も足すと効果があがるのではないかと思っています。

 

 外感病はそれほど多くの患者さんが来ないので、試していないので、自分用という状態になっています。風邪が辛いときに、鍼灸をすると楽にはなるのですが、フラフラのまま来るのも危険が高いので、風邪を引いているという方は、家で寝ていたらと勧めてしまうことがあるのですよね。

 

 手少陽経と手太陽経は経絡の流注として、耳に走行をしているので、耳の疾患の時にも使っていくことができるので、耳鳴り・難聴のときにも使用をすることができます。肩こりが酷くなってしまったことから生じているような耳閉塞感にも使えますね。

 

 三焦は水の通り道という意味があるので、決瀆(けっとく)と表現をされるので、浮腫みや湿が停滞してしまったときにも効果があります。陽経とつながっていくので、陽気を高めることが出来ると考えると、陽気の高まりは活動性が高くなり、活動性が低い陰分に力を与えて、活動性を高めていくことが出来ます。

 

 三焦に関係するところであれば、同じような効果があると言えるのでしょうが、三陽絡は三つの陽経に関与をするので、他の経穴よりも効果が高いと考えられます。

 

 三陽絡は三つの陽経と関係をするという名前があるので、学生時代から気になっていて、たまに使っていますが、外関同様に効果が高い場所だと思っています。ただ、劇的に改善というのは、もう少し経験が必要なのかなと思っています。

 

 前腕の三焦経で注意をしないといけないのは、姿勢によって三焦経の走行が分からなくなってしまうので、取穴をしたときに三陽絡・外関と思っても間違えてしまうことがあるので、取穴をする前に前腕の位置をしっかりと固定した方がいいです。

 

 一番よい方法は、解剖学的姿位の前面・後面の状態で取穴をした方がずれにくいです。ずれを理解するためには、解剖学的姿位で一度、腕に三焦経の経脈の線を引いてみてから、前腕の回内・回外をしてみると、位置がかなり変わるというのが実感で分かると思います。

 

 ただ、治療で使おうとすると、患者さんの姿勢を綺麗に整えられないこともあるので、天井と陽池を結んだ線の間に三陽絡がくるように考えるとずれが少なくなります。

 

 三陽絡を取穴する際には、橈骨と尺骨の骨間に指を入れて、微妙に左右にずらすと触れるのですが、綺麗な正中線よりは若干、橈骨よりの方がゴロっとしたのが触れることが多いのではないかと思います。

 

 そのゴロっとした硬結を目標として刺入をすると効果が高いことが多いです。刺入深度としては5mm程度で届くはずだと思います。私は三陽絡を使うときは、これ以上は刺入しないことが多いです。

 

 お灸も効果的なので使うことがありますが、火傷の痕が残ってしまうと、見えやすいところなので、気になってしまうことが多いと思うので、あまりやらないですね。もし、お灸をしたいと思ったときは、灸頭鍼を行ってしまうことが多いです。灸頭鍼については、こちらのブログを参考にしてください。

「灸頭鍼の効果と使い方」

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