懸鍾は足少陽胆経の経穴で、外果尖の上方3寸にある経穴ですが、八会穴の一つであり、髄会と呼ばれています。
懸鍾の懸という感じはつりさげるという意味があり、鍾は漢代に用いられていた酒壺のことだと言われています。かけるということは、踊り子が鈴を付けていた場所という解釈をしている人もいますし、酒壺をかける場所や取っ手が合った場所とも考えることができますね。酒壺は独特な形をしているので、内果・外果の上下は補足なっていて、懸鍾から上は太くなっているので、確かに酒壺のような形にも見えますね。
懸鍾は学生~資格を取得してしばらくはよく分からない経穴の一つだったのですが、最近はお気に入りの経穴の一つですね。
懸鍾は絶骨という別名があり、髄会と言われています。絶骨では骨が絶えると書かれていますが、どういう意味なのかなと考えてみたのですが、腓骨が体表で触れるところなので、骨との関係があるのは分かるのですが、絶はどういう意味なのかなと思いました。
骨が絶えるということで、懸鍾から上は骨に触れにくくなってくるので、懸鍾から上は骨が触れにくくなるという意味で絶骨と付けたのかなと思いました。
髄会は内容のイメージがつかないので、どういうことなのかなとずっと考えていたのですが、髄の症状に対して使うということで考えるようになって、理解と納得をすることができました。
髄は骨を栄養する働きがあり、髄が不足をしてしまうと、成長障害、骨格のもろさ、すねや身体のだるさが生じると言われていますが、懸鍾を使うと、足のだるさが大きく改善をしやすいので、髄の病証を大きく改善させる治療穴だから髄会なのだというのが分かりました。
ずっと懸鍾は効果があるはずだけど、なかなか満足する結果が出ないので、何度も取穴を確認し直したりしていたのですが、数年前までは分からない経穴でした。それがあるときに、すっと分かるようになったから不思議ですね。
理解をできたのは、自分が歩き過ぎて足がだるくて疲れがなかなか抜けないのが数日続いていたので、下腿に適当に鍼をしていたのですが、それまで数日抜けていなかった下腿のだるさが片足だけ楽になっていく感じがあり、場所を確認したら懸鍾でした。
このときに、鍼を刺入した懸鍾の場所と刺入方向を確認をして反対側の懸鍾に鍼をしてみたのですが、効果があったときの方と比べると、効果は少なかったですが、それでも足がかなりすっきりしました。
そこから懸鍾の確認を日々するようになり、髄会だから髄の症状である、足のだるさに効果があるのだというのが、知識だけではなく、体感として理解出来るようになりました。
経穴に関しては、腓骨の前方に胆経が走行をしているので、今までも場所としては合っていたのですが、大きく違ったのは皮膚面に対してしっかりと直刺をするというのが違っていました。
皮膚面に対して直刺をするのは、鍼の刺入では基本になるのですが、見ている方向は一方向からだけになるので、直刺が出来ているかどうかの確認が甘かったから、今まで大きな効果を感じることが出来なかったというのが分かりました。
刺入深度は、1cmもいらないところなので、深く刺入する必要がないですし、鍼が苦手な方にも使いやすいので、現在では、治療で使う重要な経穴の一つになりました。
灸頭鍼をすると、温まるだけではなく、よりすっきりすることがあるので、冷えを伴う方には懸鍾に灸頭鍼を使っていくことがあります。お灸も効果的なのですが、懸鍾とほぼ同じ高さの三陰交と一緒にお灸を使うと、足の冷えが改善をしやすいので、冷えがあまりにも強い方には、懸鍾と三陰交の灸頭鍼かお灸をすることもあります。
手技でも効果を発揮しやすい場所の一つなので、手技で治療をする場合は、必ず触る場所にもなっています。手技で行う場合は、腓骨から筋肉をはがすように使っていくと効果が高いと感じているのですが、あまりにも大きく筋肉を切るような方向で動かすと痛みが残ってしまうので、治療で使い過ぎには注意が必要ですね。