鍼灸や手技を行っている人達は、治療技術が上達して、患者さんをよくしていきたいと思っている人が多いと思いますが、治療技術を向上させるのには重要なポイントがあります。
治療が上達するための方法は、インプットを増やすと自分の否定という2点が重要になっていくので、この2点を意識しているか、意識していないかで治療技術の向上が大きく変わってくると思います。
1.インプットの必要性
治療をしようとしたときに、患者さんの状態は一人一人違うので、何が違うのかを理解しないといけないですし、病気を理解して治療をしていくためには、インプットが少ないと、どうしていいのか分からなくなってしまうので、とにかくインプットの量は大切になります。
インプットの質と量はいろいろなところでも言われる話しになるでしょうが、もちろん、質が良い物を沢山仕入れるのが一番いいのでしょうけど、何が、質がいいのかということは後になってみないと分からないことになるので、最初は量を入れることが大切になってくると思います。
治療に関する情報だけではなく、身体のメカニズム、考え方など、とにかく手当り次第に情報を仕入れてみることがいいと思います。今はネットで情報を仕入れることもできますが、情報が細切れになってしまっていることも多いので、まとめて知識を入れたいのであれば、書籍の方がまとまって入ってくると思います。
講習会もインプットに役立つのですが、その方の治療に対する考え方などのエッセンスだけになってしまうこともあるので、その人と同じような状態までいくためには、その方と同じぐらいインプットを増やさないといけないので、とにかく情報を入れることが大切になります。
インプットが少ないと、今までの治療で考えないといけないですし、知識は入れていかないと抜けていってしまうために、インプットを意識していくことが重要になります。
2.自分を否定する
自分を否定して生きていきたいという人は少ないですし、自分が今までやってきたことがあるからこそ自信にもつながっていくのですが、治療を考えていくときには、自己否定が重要になっていきます。
例えば、治療をしようと考えて、病能を把握して、治療方針を決定したら、治療に向っていくことができますが、治療効果をもっと上げたいというときには、病能把握・治療方針を否定する必要があるので、自己否定をしていると言えます。
自分のやっていることに疑問を持つことになるので、自分の客観化にもなるので、非常に大切なことなのですが、自分を否定するということはこれまでを否定することも含まれてくるので、精神的に大変な作業になります。
治療においては、完全な正解はないですし、知識や経験が積み重なることで新しい治療に変わっていくことがあるので、それまでの自分の治療を否定して、新しいことをする必要も出てくることが治療の上達に取って重要になっていきます。
一つのやり方を極めて治療を上達させていく方法は自分を否定しなくていいのではないかと思うでしょうが、自分のやり方、手の置き方、反応の診方という細かい部分では自分を否定して、よりよい状態になっていこうとするので、結果的には自分を否定することが重要になっていきます。
3.まとめ
インプットを増やすということと、自己否定はともに共存をしないといけないので、どちらかだけが欠けてしまうと、治療の上達に取っては不足をきたしてしまいます。
インプットを増やすことによって、自分が今までやっていたことが正しかったのかという疑問を持つことが出来るでしょうし、インプットしたことをやってみるというのは今までの自分と違うことをするので、自己否定をしやすい状態を作ることになります。
どちらか、一方だけでは治療の上達していくスピードが遅くなってしまうので、二つをバランスよく行っていくことが大切になるのですが、バランスを取ってやっていくのを目標にすると難しくなるので、2つを絶えず意識しておくことが重要だと思います。
全て自分が正しいと思っているのであれば、それでも構わないのですが、治療という結果、患者さんから選ばれるという結果が出ていないのであれば、それは本当に正しいことなのでしょうか。
何が正解かというのは難しいところでもあるのですが、最近、私はインプットと自己否定をしていくことが重要だと思っています。もちろん、これが絶対的な正解という訳ではないでしょうし、考え方も変わっていくと思うので、自分の経過と経緯を観察してみたいと思っています。