目の痒みと東洋医学

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 花粉症の時期だと目の痒みが辛いと感じる人も多いと思いますが、目の痒みは東洋医学では、風・熱・血虚と関係することが多いと言われています。

1.目の痒みの原因

 目の痒みの原因としては、ヒスタミンが影響をしていると考えられています。ヒスタミンは異物が目に付着をすると、身体の免疫機能によって出される物質ですが、神経を刺激して痒みを起こしてしまいます。

 

 ヒスタミンは痒みの原因とされていますが、ヒスタミンは血管を拡張し、平滑筋の収縮を行います。血管が拡張した状態で筋肉が収縮をすると、血管を圧迫することになり、細胞内に血液成分を送る働きがあるので、組織修復にも役立つものです。痒みということでは悪者ですが、身体に取っては必要な働きでもあります。

 

目は涙によって潤っている状態が正常で、異物が入ってきても、涙によって流されていくのですが、目の乾燥が生じていると、異物を押し流すことができないので、異物が目に取り残されてしまい、ヒスタミンが分泌をされてしまうことがあります。

 

2.目の痒みを起こす疾患

 目の痒みを起こす疾患はいろいろありますが、代表的な物は花粉症、細菌性・ウイルス性結膜炎、麦粒腫(ばくりゅうしゅ:ものもらい)、霰粒腫(さんりゅうしゅ:まぶたの内側がつまる)があります。

 

 目の痒みが長い長期間続く場合や腫れ、視力の低下、鼻水、喉の痛み、発熱などの目以外の症状があるときには、医療機関を受診しておくのがいいですよ。

 

 ハウスダストなどのアレルギーによっても引き起こされることがあるので、特定の場所や環境で目の痒みが生じるようであれば、アレルギーを疑うことも必要になります。

 

3.目をこするのは逆効果になります

 痒みは我慢するのが辛いもので、ついつい目をこすってしまいますが、目をこすってしまうことで、角膜に傷をつけてしまったり、化粧が目に入ってしまったりすることで、感染の原因となりやすくなります。

 

 目を強くこすると、水膨れのような結膜浮腫を起こしてしまうことがあるので、痒みがあるときでも目をこすらないようにしないといけません。

 

4.目の痒みの対処

①目を冷やす

 痒みがあるところは熱を持っていることも多く、冷やすことで症状が一時的に改善をすることがあります。ただし、不潔な物を使ってしまうと感染を起こしてしまうことがあるので、清潔な物をしようするようにした方がいいです。

 

 冷やして痒みが落ち着くからといって、冷蔵庫の氷を使ってしまうと危険なので、氷を使う場合は、一度、水にぬらしてから、タオルなどに包んで使用するといいですよ。長い時間冷やすのもよくないので、5分程度行って様子をみるのがいいですね。

 

②目薬

 目を洗うこともいいのですが、目は涙で傷つかないように守っているので、頻繁に目を洗ってしまうと、涙によるバリア機能を壊してしまうことがあります。水道水は塩素も含まれているので、目の表面を傷つけてしまう可能性があるので、市販の人口涙液を使用する方がいいです。

 

 病院の目薬を使用する場合は、医師の診察を受ける必要がありますし、市販の目薬を使用するのであれば、薬剤師・登録販売者に相談をして購入するのがいいですよ。

 

③食事

 目の痒みはヒスタミンが原因とも言われているので、ヒスタミンを多く含む食品は目の痒みを起こすことがあるので、食べ過ぎには注意が必要です。簡単に言ってしまえば、食事で偏らずに、食べ過ぎに注意するということですね。

 

 ヒスタミンを多く含む食品は、チョコレート、ココア、コーヒー、もち、ほうれん草、なす、サバ、マグロ、いわし、さけ、タラ、さんま、アサリ、カニ、エビ、タコ、豚肉、サラミ、そば、さといも、タケノコ、トマト、ワイン、卵白、イカなどがあります。

 

5.目の痒みと東洋医学

 目に限らず痒みは、風・熱・血虚(けっきょ)が関係することが多いと言われています。風は、東洋医学では外邪と言って、環境の影響ということになるので、風邪(かぜ)を引いたというのは、風邪(ふうじゃ)の病として考えていくことができます。

 

①風による目の痒みと東洋医学

 風邪を引きやすいのは、東洋医学の臓腑概念では肺と関係をしていくので、肺の機能を改善することで、風に対する抵抗力を強めていきます。肺に問題が生じると、風邪(かぜ)をひき易くなってしまったり、咳などが出やすくなったりするので、身体の体質を考えることが必要になります。

 

 肺の問題が生じている場合は、太淵(たいえん)という手首で親指側の動脈が触れるツボを使うことができます。自分で揉んでいくか、シール状になっている円皮鍼(えんぴしん)というのを貼付していくこともいいですね。

 

②熱による目の痒みと東洋医学

 熱の場合は、目のところに赤みを帯びているときに考えることができるので、熱がある場合は、冷やすのも一つの方法ですし、太陽(たいよう)というコメカミにあるツボにお灸をしていくこともあります。眉毛の内側の攅竹(さんちく)というツボも目の疾患にはよく使用するところです。

 

③血虚による目の痒みと東洋医学

 血(けつ)は身体を栄養する働きがあると考えていき、血が体表を栄養できなくなると、痒みが生じやすくなります。血が不足をしている場合は、まぶたの裏側が白くなっていることが多いです。痒みがあるときは充血をしていると思いますが、痒みがないときに白くなっているようであれば、血虚による痒みを考えていくこともあります。

 

 血が不足をしてしまった状態では、風が生じやすいという血虚生風(けっきょせいふう)という言葉があるので、血虚の状態が続いてしまうと血虚・風と二つの理由によって痒みが生じてしまいます。

 

 血虚に対しては、太衝(たいしょう)という足背の足の親指と人差し指の間で足関節寄りのところか、三陰交(さんいんこう)という内くるぶしから約10㎝程度で骨の後ろ側がよく使用されます。両方とも自分で行う場合は、お灸か円皮鍼を使っていくのが簡単だと思います。

 

④麦粒腫と東洋医学

 麦粒腫は二間(じかん)という人差し指の親指側の側面で、末端から2つ目の関節部のツボにお灸がいいと言われています。本来の時間は指の関節の前にあるのですが、澤田健先生(澤田流太極療法)という人がこの場所が効果的だと言い始め、多くの鍼灸師が知っているツボになります。

 

6.まとめ

 東洋医学は体質から治療をする物と言われていますが、症状に合わせてツボを使ったり、治療を変えたりすることもあります。痒みは我慢できなくて辛い症状なので、出来るだけ痒みが出ない状態を作っていくことが大切なので、日々の生活習慣を見直してみるのもいいですし、鍼灸師に相談をしてみるのもいいですね。円皮鍼については専門的になりますが、「円皮鍼と皮内鍼(ひないしん)の使い方」というブログも書いています。

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