鍼灸学校の学生になると、勉強も大変なのですが、勉強は教科書もあるし、過去問もあるので、学びやすいですが、実技の方が大変な思いをしますね。今まで触ったことがないような小さい物を扱っていくので、手汗はかくし、手は震えるし辛いと感じる人もいるのではないでしょうか。
お灸は透熱灸を練習していくことになるのですが、ただでさえバラバラになりやすく柔らかい艾(もぐさ)を扱うので、手汗をかくと、ボロボロと崩れていってしまいます。手汗は緊張によってかくことが多いので、最初の段階は余計な力も入りやすいのでどうしても汗をかいてしまいます。
1.手汗
手汗は緊張によってかくことが多いので、慣れないうちはお灸を扱おうとすると、指先が緊張していってしまうので、仕方がないと言えてしまいます。手汗が出ないようにするには、慣れるのが一番の治療になります。
持っている時間を短くすると休憩を挟むことができるので、大量に艾を持たないようにした方がいいですね。大きなこよりを持ってしまわないようにした方がいいですね。ベビーパウダーを使用する人もいますが、パウダーを使うのが当たり前になってしまうと臨床の場では使いにくいので、パウダーの使用はなれるまでにした方がいいです。
臨床の場で少しパウダーが欲しいと思ったら、線香の灰を灰皿に落とすのではなく、手のひらに落とすと、指先に灰をつけることができるのでパウダー代わりになりますよ。手汗については体調とも関係をしやすいので、詳細は過去のブログも参考にしてみてください。
2.一回で持つ艾は少なくする
学校で習うときは、最初はこよりを作ってから艾炷(がいしゅ)を作成すると習うのかもしれませんが、こよりを作らずに出来るようになっていくことが大切ですね。治療でこよりを作ってからという人もいるかもしれませんが、治療の中では無駄な時間になってしまうので、こよりを作らずに、艾を取ったら捻れるようになっていった方がいいですね。
お灸に慣れていないうちは大量に扱うことが出来ないので、出来るだけ少なく持つことが大切になります。どれぐらいの量がいいかというと、3mm四方ぐらいの大きさで取るようにした方がいいと思います。
3mm四方ぐらいの大きさで作れる量は10壮以上を目安にするといいと思うのですが、最初に持ってみると出来ないと感じるのではないかと思います。出来ないのはやってみないから出来ないので、10壮作ると決めれば小さくしないといけないので、意外とできますよ。
小さく艾を取ってみると分るでしょうが、少なすぎるので慎重に扱わないといけないですし、力を入れると潰れてなくなってしまうので、無駄な力入らないです。
例えば、包丁を始めて扱う人がキャベツ一玉を丸ごとで切ることが出来ないですよね。最初は何枚か向いて切っていくと思いますが、艾も同様に多いと出来なくなってしまいます。
もちろん、料理人だから一玉で練習していくのは当然という考え方もできるのですが、それは一玉でもすぐになくなってしまうので、量ができた方がいいので、一玉を扱えるように合わせていくのは当然とも言えます。
鍼灸師が行うお灸ではそんなに大量に扱うというのは少ないので、小まめに取って出来るようになってから、艾を多く持つやり方を出来るようになればいいと思います。
お灸の練習で何が大切かと言えば、艾炷を作れるようになることですし、艾の感覚を理解することなので、出来れば自分が扱えて集中できる量にした方がいいです。
慣れないうちは上手く作れないので、多く持って失敗したものを捨てていくという人がいるかもしれませんが、多く持っているから失敗する環境を作っていることになるので、自分の力量に合った量を持つことが必要だと思います。
私の力量で扱いやすいのは、5~6mm四方の大きさなので、当たり前ですが、初心者よりは上手いですよ。この大きさより多くもってしまうと、示指と母指で捻っているときに、端がこぼれて落ちてしまうので、これ以上を持つことはないです。
例外として、足底などで多く壮数を行う場合は、掌に艾を大量に載せて、母指・示指の艾が無くなったら、送りこむようにして使用します。もし、多く取ってしまった場合は、掌の艾を置いているところに落ちるので、継続して使用することになります。
3.線香の扱い方
①線香を持つ長さ
線香の扱い方は、慣れていない人の手をみると火から指までが距離が長いことがあるので、火から指までの距離は、筆記具の書くところと指の距離と同じぐらいが扱いやすいです。
ペンも長く持ってしまうと書きにくいですし、近すぎても書きにくいですよね。道具を扱う適切な距離は既に習得出来ているので、利用した方がいいと思います。
②点火をする場所
線香で点火をしていく際に、点火をしていく場所は一定にした方がいいですね。例えば、線香の先端で点火をしている人は線香の先端の状態に詳しくなった方が、線香について理解しやすいので、同一点で点火をするように意識をした方がいいです。
どの場所がいいのかは人によって違うかもしれないので、自分はどこを使うのか、どこを使うと習ったのかは大切にしていいのではないかと思います。私は、線香の先端ではなく、火が燃える根本を使っています。
いつから使うようになったのか、教わったのかはすっかり忘れてしまったのでいいのかどうかは分かりませんが、先端だと灰が溜まりやすいので根本の方がいいのではないかなと思っています。
4.リズム
一人でお灸の練習をしているときには時間を気にすることもないので、ゆっくり行ってしまうことがあるかもしれませんが、お灸は熱刺激をリズミカルに入れていく方法でもあるので、リズムを考慮して練習をしていくことが大切です。
お灸の動きを分析すると、作成したこよりから艾炷を取る、艾炷を置く、点火をするという3つの動作に分けられるので、艾炷を取るが1秒、艾炷を置くが1秒、点火は2秒以内というリズムがいいですね。
練習するのに秒を見るのは難しいので、一つの動作を2秒として、2秒毎で行うのもいいでしょうね。リズムで行うのも最初は大変ですが、やってみれば意外と出来るようになるので、やってみることが大切ですよ。メトロノームのアプリを使えば、リズムが強制的に刻まれるので、鳴らしながら合わせるように練習をするのがリズムを身につける近道になります。
5.まとめ
お灸だけではなく、鍼も気持ちよく出来るようになるためには、訓練が必要ですが、お灸は鍼みたく入りやすい材質がある訳ではないので、自分の力量が求められます。上手く出来るようになるとお灸は気持ちがいいので、自分にもやりたくなるでしょうし、患者さんも気持ちがいいと感じる治療法なので、多くの人が気持ちいいお灸ができるようになってもらいたいと思います。
お灸は他には緩和という方法もあるのですが、緩和はタイミングが非常に大切になるので、自分で心地よい緩和のタイミングを身に付け、他の人でも同じように感じられるようなタイミングを身に付けていくことが大切ですね。