鍼灸師の手汗の止め方―発汗の治療

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 学校に入学して、鍼灸の実技練習をしていると、クラスの中で数名は手汗が気になるという話がでることがあります。私が学生の頃も、クラスの数名は手汗がひどくて練習できないという話があり、私自身も手汗が気になりました。

1.発汗を管理する

(1)緊張を管理する

 学校に入学してから手汗が気になるという話をするのですが、卒業した後に話を聞くと手汗を気にならないということも多いので、緊張性発汗の可能性が高いと思っています。

 

 鍼は髪の毛ほどの太さで3~4cmで、もぐさは消しゴムのカスみたいな大きさなので、扱うのに慎重になるので、緊張しながら触っているので発汗が多くなりやすいのだと思います。卒業してから発汗を気にならなくなるのは、慣れたというのが一番の理由だと思います。

 

 学校の実技試験では手元を見られるので、不慣れと緊張で発汗が止まらずに、苦労をしていた同級生がいましたね。私自身は試験で時間がかかると発汗が強くなるというので、出来るだけ早く出来るように練習をしました。

 

 他には発汗しそうになってくると緊張していると考えて、交感神経も過緊張しているので、深呼吸を長くゆっくりするようにしていました。発汗を管理できるようにするためには、授業中で緊張して発汗しそうなときや発汗したら深呼吸をするというのを普段から気をつけていると、自分の緊張に気付くことが出来るので緊張管理ができます。

 

 気の働きを管理して発汗をさせないようにするという話もあるのですが、この緊張管理と近い作用もあるので、難しいことをせずに、まずは呼吸を整えるのがいいと思います。

 

(2)慣れが大切

 生理学的に考えられるのは、手をよく使うことによって筋肉が動き発熱し、筋肉を使っているので血流が増加し、手の温度があがるので、発汗によって冷やしているのではないかと思います。こういった状態は交感神経過緊張と表現されますね。

 

 改善するためには、温度が急激に上げないとも言えるので、強い力の発揮や必要以上に早く動かさないというのが重要になります。初心者からすると、上手な人は早く動かしていると見えるのですが、慣れているので、早く動いているように見えるだけです。

 

 車の免許を取るときも最初は手汗をかくけど、免許を取得して何度も車に乗っていると慣れて発汗しなくなりますよね?

 

 慣れていないことをすると緊張するので、とにかく慣れるというのが大切なのですが、過緊張は技術の習得で問題になるので、緊張管理が出来たほうがいいですね。

 

2.体調を管理する

 手足の発汗は、脾胃の働きと大きく関係すると考えられます。これは、土は肌肉と関係するのですが、肌肉は身体の太さやサイズと考えることもでき、手足の働きと関係をすると言われるので、手足に力が入らない、手足に汗をかきやすいというのは、脾胃の症状として考えます。

 

 普段から食生活に気をつけ、足三里や腹部に鍼・灸を行って自分の体調を整えておくというのも効果的だと思います。体調がよくなってくると、手足の冷えも改善してくることも多いので、発汗も自然に改善していきます。

 

 手足の発汗で治療を頼まれることがありますが、基本的には脾胃の働きを高めていくというのが治療方針になります。お灸に関してはこちらも参考にしてください。

お灸が上手になるコツーお灸はリズム

お灸で火傷をさせない方法

 

3.手汗を治療する

 手足の発汗ということで治療をする場合に、脾胃が大切になるのですが、ツボで言われるのは、脾胃に関係するものと、合谷、復溜、労宮があげられます。

 

 合谷は手陽明経で陽つまり外と関係しやすく、の表裏になるので、体表の疾患に用いられやすいので、皮膚疾患にも使われますが、汗も体表の腠理(汗腺)と関係するので用いることができます。

 

 復溜は腎経の経穴であり、は主水と言われ、水分調節に関与しやすく、腎と膀胱は表裏で水に関係しやすいので、腎を補うことによって水を固摂し、排出しないようにしています。

 

 合谷・復溜では補寫を考えて使うというのもあり、使うのもいいのですが、そこまで拘らなくてもいいのではないかと思っています。虚実・補瀉に関してはこちらのブログを参考にしてください。

東洋医学における体調不良の考え方―虚実

東洋医学の治療で大切なこと-補寫は必要か

 

 労宮は局所治療と考えることもできるのですが、緊張で発汗ならば、神志の調節をはかるということで労宮を使うことができます。労宮は鍼もいいのですが、切皮痛も出やすいのでお灸を用いるのが多いです。同級生でお灸をしている人がいましたね。

 

4.反射を使う

 半側発汗というのがあり、人体の左右上下のどこかを圧迫すると、半側は発汗、半側は発汗抑制になるという方法です。

 

 例えば、上半身の発汗を抑えたいのであれば、芸者が使う方法として、胸付近を圧迫することによって、上半身の特に顔面の発汗を抑える方法です。

 

 この考え方を応用すれば、大包を用いれば、帯の芸者の高帯のような働きを期待することが出来るのと、脾の大絡でもあるので脾胃の働きを向上し、発汗を抑えるという考え方です。

 

5.まとめ

 治療で行う場合は、その方の状態と使えるツボを考えることが必要になるのですが、学校の練習で手汗が止まらないという方は、緊張管理も考えておくといいと思います。

 

 私も学生時代は苦労しましたが、何とかなっていくものだと思います。

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