難病と鍼灸治療

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 鍼灸治療をしていると難病の治療は効果があるのかという質問を受けることがあり、治療を行うこともありますが、難病に鍼灸治療が効果的なのでしょうか。

1.難病とは

 難病は原因不明で治療法がなく完治しない病気であり、患者さんの数も少ないですが、苦しんでいる方は多いです。特定疾患になると研究も行われるようになるので、特定疾患に入ることを願う人もいるでしょうが、予算は無限にある物ではないので、一つ一つ解明されていくのを待つしかない現状です。

 

 現代医学も進んできているので、様々なことが分かるようになってきていますが、人間の生命や病気は100%解明されている訳ではないので、今後も難病と呼ばれる疾患は発生してくると思います。

 

 鍼灸治療をしている人からも、潰瘍性大腸炎、クローン病、筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病、シェーグレン症候群、ベーチェット病などの治療をしていると聞くことがあり、私自身もいくつかの難病治療をさせて頂いています。

 

 難病の方は、日常生活は通常通り生活できる人から、日常生活がままならない人までいるので、難病という診断を受けたら、受けられるサービスを確認しておくことが大切ですね。

 

 多くの人は、難病という診断を受けてショックを受け、段々と受け入れていく人も多いですが、どうにかしてよくならないかと、日々、模索を続けている人もいます。

 

2.難病と東洋医学

 難病の人が現代医学だけではなく、東洋医学を受けようと考えるのは当然の理由があります。

 

 難病という定義は現代医学的に分からない物は難病になるのですが、東洋医学では現代医学とは違い、身体の不調や状態によって治療を加えていくので、どのような状態でも治療をすることは可能です。

※ここでの治療は身体に何かをするということです

 

 もちろん、「治る」という結果を伴わないことがありますが、現代医学が無い時代から東洋医学で病気の治療をしてきているので、症状の緩和、ADL(日常生活動作)、QOL(生活の質)が生じる場合があります。

 

 例えば、潰瘍性大腸炎であれば大腸の粘膜にびらんや潰瘍が生じますが、東洋医学で治療をしていたら、びらんや潰瘍がよくなった訳ではないけど、腹部不快感や下痢が減ったということが生じることがあります。

 

 数値や画像では「治った」訳ではないですが、腹部の不快感や腹部症状が発生する頻度が少しでも低下すると、日常生活を過ごしやすくなり、気分が少しでも晴れれば、気持ちよく生活することが出来ますよね。

 

 現代医学は今後も益々発展していくので、難病が解明され治療法が見つかる可能性がありますが、人間の命の時間は限られているので、解明されるまで待てないですよね。そういった場合には、違う考え方を聞いてみることもありだと思います。

 

 例えば、知らない人がいて、日本語で話しかけても通じない場合は、英語で話してみたら通じるのではないか、中国語なら通じるかもしれないのではないか、筆談なら分かるのではないかと違う物を考えますよね。

 

 今の先進諸国の医療では現代医学が主であり、主が通じなければ、それで終わりではなく、身体に対する違う考え方をする東洋医学ならば少しは身体に変化を起こせる可能性もあるのではないでしょうか。

 

 私は難病ではないですが、もし、自分が難病を発症したのであれば、東洋医学も利用しながら、少しでも楽な状態にならないかと模索をすると思います。

 

 ということで、難病の方が東洋医学を利用するのは、当然とも言えますね。ただし、東洋医学で「治った」という話しが出てくることもありますが、現代医学で難病と言われる物は、東洋医学でも非常に難しい物が多いので、「治す」というよりは「少しでも緩和」という気持ちを持つといいのではないかと思います。

 

3.現代医学以外の医療

 現代医学で難病であれば、現代医学以外で考えたら治療ができるというのは先程に書いた通りですが、注意をした方がいいことがあります。

 

 東洋医学以外にも現代医学と違う考え方をする物は他にもありますが、どこまで効果があるのか、副作用がないのかは分からないので、治療を受けてみようという前には調べて、話しを聞いてみてからにした方がいいと思います。

 

 東洋医学は、鍼灸や漢方が有名ですが、それ以外にも按摩(あんま:一般に行われるようなマッサージ)が東洋医学であり、中国伝統医学の治療方法になります。鍼灸・按摩は国家試験ですし、漢方は医師・薬剤師の管理下にあるので、身体のことを最低限知っているので、難病に対しても知識があります。

 

 もちろん、難病を中心として治療をしていないと詳細に理解していないことも多いでしょうけど、病名を伝えれば、どういった状況かを調べて理解することは可能だと思います。

 

 東洋医学である鍼灸・漢方・按摩は、中国で行われるようになったのは、約2000年ぐらいですし、日本でも1500年は経っているので、歴史のテストを受けている物になります。

 

 歴史のテストとは、ダメなものであれば、自然消滅していっているでしょうが、昔は日本や中国では主の医療であり、現代医学が主となっても残っているので、利用する価値があるから残っているのだと思っています。

 

4.東洋医学を受ける注意

 東洋医学を受ける場合は、症状が変わってしまたり、身体の状態が分かりにくくなったりするので、嫌がる医師もいるでしょうから、担当医がいる場合は相談をしてみるといいと思います。

 

 東洋医学を行う側の人に対しては、まずは自分が難病である旨、病名を伝えて、何が辛くて変えたいのかを伝えていくと、回答をしやすいでしょうし、診られない場合は診られないと言うでしょうし、様子を見ながらやってみましょうという提案があるかもしれないですね。

 

 どこのどのような治療が合うのかということは分からないので、まずは相談をし、様子を見ながら受ける方がいいのではないかと思います。

 

5.まとめ

 難病の方を治療させて頂いて思うのは、よくなるのは本当に難しいなという思いがありますね。ただ、治療に対する反応は意外にいいので、治療直後に少しは楽になることがあるので、もっとよくするためには勉強や練習が必要なのかなと思っているところです。

 

 辛い状態から少しでも楽になる、以前よりは少しでもいい状態になる、気分よく過ごせるようなお手伝いはしていけるようになりたいですね。

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