三焦とは―2つの三焦

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 三焦は腑の一つでもありますが、身体の部位とも関係している用語として出てくるので、慣れるまでは理解しにくいのではないでしょうか。三焦は現代医学の用語にはなく、東洋医学のみで使用されるので余計にイメージもしにくいですね。

1.腑としての三焦

 身体には臓の肝・心・心包・脾・肺・腎という6臓と胆・小腸・三焦・胃・大腸・膀胱という6腑があると考えていきますが、六腑の一つである三焦は構造として認識できる物がないので、「名前はあるけど形がない」と言われています。臓腑の組合せでは心包と表裏関係になるのですが、心包は後から成立した概念になるので、五臓六腑の考え方では心包がないので、三焦とセットになるものがないために、「孤腑(こふ)」とも言われています。

 

 三焦以外の六腑は構造として認識できるものなので、形に対して機能が割り当てられていますが、三焦は形がないことから機能のみあります。

 

 何故、機能のみが三焦にあるのかと考えていくと、三焦を除く五臓六腑で全身の機能を割り当てたときに、全体をつなぐ機能・通路が存在しないことに気付き、三焦という表現を使い、腑の一つとして考え方のではないかと思います。

 

 身体の中に気血津液が循環しているというのが東洋医学の重要な概念になりますが、血は脈内を走行しているので、特別な物を作る必要がなかったのでしょうが、気と津液が循環するところがないので、三焦という言葉を利用しているのだろうと思います。

 

 水である津液の循環では、尿に関する構造を考えていくこともできるでしょうが、それだと一部にしか水が循環しないことになってしまうので、都合が悪いので、形がないけど機能として循環を行っているという説明になっているのではないでしょうか。

 

 新教科書を見てみると、三焦は「身体の中にある間隙全て」としているので、全身全ての部位に関係をしているので、気・津液を循環させるということに繋がるのではないでしょうか。

 

 三焦はリンパという考え方をすることもでき、そうなると全身の水の循環に関与できますが、リンパは血管に関係する組織なので、古代の中国で解剖をしていたという事実から考えると、脈との繋がりがあるのは見たでしょうから、リンパは脈であると考えることも出来るのではないでしょうか。もちろん、その当時の人々に聞かなければ分からないことなので、リンパが三焦だったという可能性は否定できないですね。

 

2.部位分けとしての三焦

 身体の構造は体幹と手足であり、体幹をパーツで分けて考えると胸とお腹の二つになります。お腹は大きいので、さらに分ければ、上腹部と下腹部で分けて考えることが出来るので、3つに分けた場合は、上焦・中焦・下焦といい、体幹のことを三焦と表現することが出来ます。

 

 部位分けとしての三焦は、臓腑ではなく、身体の構造から話しをするために産まれたものではないでしょうか。例えば、現代医学でも「胸部は肋骨に守られ、心臓と肺臓があり、循環と呼吸に関係する」と説明ができるので、東洋医学でも同様に「上焦は心と肺があり、気血の循環に関係する」と説明をしていたのでしょうね。身体の構造として腹部は消化・排泄・生殖に関係するので、身体部位で考えると中焦が消化、排泄・生殖が下焦と考え、解剖学的知見と働きから臓腑を割り当てていったのではないでしょうか。

 

 漢字は意味を省略して説明できる物なので、上焦は「霧(きり)」、中焦は「漚(おう)」、下焦は「瀆(とく)」と表現しています。「霧」は漢字の通り、「きり」になるので、全身に散布するという機能とも言えます。「漚」は長時間水に浸して変質させるという意味があるので、消化と関係しいていると言えます。「瀆」は溝という意味があるので、排泄・生殖に関係する管や機能と関係していると言えます。

 

 こうやって考えてみると、部位分けとしての三焦で言われる上焦・中焦・下焦は解剖学的用語ではないかと思うのですが、解剖学的用語であれば胸・大腹・少腹・小腹という用語があるので、解剖学的用語が胸・大腹・少腹・小腹であり、機能としての用語で上焦・中焦・下焦があり、機能と関係するので病の状態や移行、症状と関連して使われているのではないかと思います。

 

3.腑としての三焦の病と治療

 腑としての三焦は、気・津液の流れに関係していることになるのですが、三焦と関係しやすい症状(汗の異常、浮腫など)から見てみると、津液の問題と関係していることが多いですね。

 

 気の問題とも関係するのではないかと思いますが、気の問題は元気の不足であり、元気の問題になります。元気は先天の精から生成され、精は生命力と関係する物なので、不足することがあっても余分になることがないので、元気の異常は虚と考えることができるので、先天の精である腎の治療と先天の精を補う後天の精を生成する脾を治療することが必要になります。

 

 三焦に関係する気は元気であるという点から考えてみると、三焦は道だけであると考えていくことができるので、気の問題は発生しないと言えますね。三焦は全身と関わり、気・水の通り道になるので、発汗は三焦から出ていくことなので、三焦の気化と表現されますが、気化をするということは、気の働きが必要なので、発汗の異常でも気について考えていくことも大切になるのではないかと思います。

 

 発汗は元気よりは、衛気によって管理・調整され、衛気は肺の機能によって調整されているので、発汗障害は衛気の問題であり、肺の異常として捉えていくのがいいのかもしれないですね。

 

 「澤田流太極療法」では、身体を強めていく治療としては、精と関わる腎・脾だけではなく、三焦が治療として大切だと考えていますが、通り道が奇麗でないと、上手く循環しないと考えれば、三焦は治療において重要だと考えられますね。

 

4.部位分けとしての三焦の病と治療

 部位分けとしての三焦で考えていくと、上焦の病は心・肺の問題と関係しやすく、中焦の病は脾胃と関係しやすく、下焦の病は肝腎と関係しやすいので、上焦の症状は呼吸・循環器系の症状と言え、中焦の症状は消化器系の症状と言え、下焦の症状は泌尿・生殖器系の症状と言えますね。

 

 上焦・中焦・下焦をまとめて三焦というので、部位分けとしての三焦の病は、体幹・臓腑に関する病が全て入るので、頭部・四肢以外の症状全てと言えます。しかし、頭部・四肢の病は、臓腑から発生することもあるので、病は全て三焦から生じると考えてみることも可能ですね。

 

 部位分けとしての三焦では症状も幅広く、治療する対象も多くなるので、ここで治療をすればいいというのを出すのは、その人の身体の状態を理解しないと難しいですね。

 

5.三焦と三焦弁証

 三焦弁証は温病(うんびょう)がどのように身体に進行していきているのかを診断していく方法です。温病である風熱の病は口・鼻・体表から侵入し、口・鼻から侵入した風熱の外邪が、上焦、中焦、下焦と進行していくと考えていきます。

 

 三焦弁証とっても、腑としての三焦の話ではないので、何のことなのかと思う前に三焦には2つの意味があるのを理解しておくことが必要ですね。

 

6.まとめ

 三焦は現代医学の構造では見られない物なので、イメージをしていかなければいけないのですが、実体がないのでイメージがしにくいのですよね。私も勉強を始めたときに、三焦って何なのだよという気持ちがありましたが、学習するにつれて2つの意味があるというのを理解してからは、三焦弁証もスムーズに理解していくことができました。

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