治療で大切なことは沢山ありますが、患者さんと治療者の信頼関係は非常に大切なことの一つだと思います。
治療をしていくということは、自分が思った「仮説」に対し「治療」を行い、「結果」を見て、「仮説」があっていたかを確認する作業になるので、最初の段階で100%の「結果」を保障するのは難しいです。
もちろん、経験や知識、治療しながら身体の状態を確認し、治療を変えることによって、「結果」を出すように努力をするのが当然なので、100%の結果が出なくても、60%程度の結果を出せるようにしていることが多いと思いですし、当たり前のことだと思いますが、「仮説」から「結果」を出すというのであれば、一つの実験と同じですよね。
実験や研究は、こうなるのではないかという「仮説」を立て、実際にそうなるのか「検証」し、「検証」の結果、再現性があれば、「仮説」が証明されるので、治療は実験でもあると言えると思います。
いくら経験を積んでも、知識を習熟しても、人は完全になることは出来ないですし、人の身体は違いがあるので、治療は一回一回集中して行うことが大切です。
人は未来を予見することが出来ないので、治療の効果についても断言することは難しいので、患者さんが身体を任せるという信頼関係がないと治療を行うことは難しくなります。
一般の人が信頼している現代医学でも検証を重ね、科学的データを集積しているから完璧かと言えば、そうではなく、それでも予測不能なのが人の身体なので、治療によって副作用が出たり、調子が悪くなったりした場合は、知らせてくださいと未知に対して警戒していますよね。
東洋医学は昔から行われていて、文献として残っていますし、歴史の中でも残っているので、検証が続けられていますが、それでも人は予測不能な物なので、何が起きるかを100%予測することはできないので、患者さんから信頼してもらうことで、治療に全力を尽くせますよね。
ただ、患者さんに信頼をしてもらうと言っても、初めて会った人をいきなり信用しきるのは難しいですし、時には、予想と変わることもあるので、お互いに警戒をするのが初診なので、初診時には、患者さんの不安に目を向けて、何を解決した方がいいのかに注目することが大切です。
何を不安に思っているかは、治療してよくなるのか?という疑問があるでしょうが、鍼灸を受けた人がない人に取っては、治療をしたら、どうなるのかというのも心配なので、治療後はだるくなることがあるという話をしても、「だるい」を悪い意味で捉えてしまう場合があります。
不安が強い人が思う「だるい」は、病気になってしまって身体がだるくなってしまって動けないという状況をイメージしてしまうでしょうから、その場合は、お風呂上がりのような「だるさ」という表現をした方が、その後、眠くなってすっきりするかなというイメージにつなげやすいと思いますよ。
初めて鍼灸を受ける人は、怖がっていても、終わってみれば、何でもなかったし、すっきりしたような気がする、だるい感じになったような気がするというという程度のことが多いので、少し休んでもらうとすっきりさが出やすいですよと伝えておくと、身体を養生しようかなと思ってもらえるでしょうね。
食事や生活について難しいことを注意しても記憶には残りにくいので、1~3つまでの注意点にした方がいいと思います。一つだけだったら記憶に残りやすいですが、繋がりのない3つのこととなると、覚え続けておくことは困難なので、予後指導の一言をいくつか考えておいて、必要に応じて使用すると相手に伝わりやすくていいと思います。
最初の治療でいろいろ注意をしても分かりにくくなってしまうので、最初は一つ、2回目は1回目の継続、3回目も継続、4回目で違う注意点・知識を伝えていくと、忘れにくく、実行に移してくれることもあるので、時間をかけていくという気持ちも大切だと思います。
信頼は腕が大切というはもちろんですが、眼を見てにこやかに話をすることが対人関係では基本なので、患者と治療者という対立した概念ではなく、対等な状況で接することが必要ですね。治療者というスタンスを取ると、ついつい相手を評価していくという立場になり、偉そうになってしまうことがあるので、注意しなければいけませんね。
こうやって自分で文章を書いてみて思ったのは、日々を振り返ってみて反省しないといけないなというところですね。分かりやすく簡潔に笑顔で臨床の場に臨まなければいけないと思いました。