鍼が入っていく感覚を身に付ける

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 鍼治療では微妙な刺激を行うことも多いので、鍼が入っていく感覚をいかに早く身に付けるかも重要な要素だと思います。

 鍼が入っていく感覚が分かれば、止まる感覚も分かりやすくなるので、身体の抵抗感を理解しやすいですし、抵抗の深さや硬さの傾向を手で覚えてしまえば、どんな鍼を用いているときでも応用できるので、大切な技術の一つだと思います。

 

 私が鍼の感覚を身に付けるのにいいと思うのは、太い鍼や長い鍼を利用することだと思っています。両方が一緒になった太くて長い鍼は練習としても使いやすいですし、感覚を理解しやすいのでお勧めですね。

 

 鍼管を利用する鍼は簡便でいいのですが、太い鍼、長い鍼は切皮をするときに注意をしないと痛みが生じることが多いので、「切る」ということに意識を集中するし、切れたときの感覚がはっきりとしているので、手に感覚として伝わりやすいです。

 

 細い鍼だと、気を付ければ分かりますが、徐々に入っていくことも多いので、どこで切れたのかを判定するのは、刺入しやすくなったら切皮が出来たという結果で理解することになってしまいやすいですね。

 

 刺入していくときにも、太い・長い鍼は身体をかきわけて入っていくので、抵抗感を感じやすく、入りにくいというのも分かりますし、まっすぐに押すというのも理解できると思います。

 

 細い鍼だと真っすぐに押しているつもりでも、少しの方向の違いでクネクネと曲がっていってしまうので、真っすぐという感覚が身に付くまで時間がかかると思います。真っすぐに押すという感覚が分かれば細い鍼でも芯を取られて鍼を刺入するという考え方が身体に染みつきますね。

 

 ただ、鍼を触り始めの頃は、太くて長い鍼は利用するのが難しいでしょうから、単純に太目の鍼で練習する方がいいのではないかと思います。

 

 学校だと、細くて扱いにくい鍼を扱うことで鍼を扱う技術を練習するのが多いみたいですが、やりやすい方からやりにくい方を練習していく方がいいのではないのですかね。

 

 スポーツの世界でも、何かの技術を習得しようとする場合には簡単な動作や動きを理解して身体に基礎として入れ、そこから複雑だったり、細かかったりすることを練習するので、簡単なところから段々と難しくしていくのが技術の上達として大切なのではないでしょうか。

 

 小学生にいきなり、プロ野球やプロサッカーの技術を求めるのは無理ですし、まずは触れて慣れるところから始まり、段々と細かいことを行うので鍼の練習も扱いやすい物からでいいのではないでしょうか。

 

 もちろん、入りやすい鍼だと、どんどんと鍼を刺入してしまって、障害を起こす可能性があるので、入りにくい鍼を練習することで、リスクヘッジしているとも考えることができますね。

 

 何が正解なのかというのは現実世界にはないですが、私が刺入感覚や入っていくというのを理解できるようになったのは、太い鍼・長い鍼を利用してからなので、一考もありなのではないかと思いました。

 

 一つに慣れれば特化でき、そのうち応用できると考えるのであれば、学校では限られた鍼のみを使うも一つの方法でしょうけど、卒業してから知らないことだらけになってしまいそうなので、やはり教育の中でこれがいいと決定するのは難しそうですね。

 

 スポーツの道具に入門用とプロモデルがあり、プロモデルは技術がないと扱いにくい物になりますが、鍼の入門用って何なのでしょうかね。

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