鍼治療は痛い?―鍼は本当に痛くないの?

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 美容鍼灸も鍼治療も身体に鍼を刺していくので、見るのも怖いし、身体に鍼が入っていくので、「痛いのではないか?」と不安に感じてしまう人も多いでしょうが、鍼治療では痛みを感じることはほとんどありません。

 鍼治療では痛みをほとんど感じることがありませんが、それでも痛みとして感じることがあるので、今までの治療経験も踏まえ、痛みを感じない理由、痛みを感じてしまう場合はどれぐらいの痛みなのかについてまとめてみます。

 

1.鍼の太さ

 身体に鍼を刺すということは、病院の注射を連想して痛みが出るのではないかと思う人もいるでしょうが、鍼治療で用いる鍼と、病院で用いる鍼は太さが大きく違います。

 

 一般的に病院で注射をするバイは、血液検査や点滴でしょうが、血液検査で用いる注射針の太さは21~23G(ゲージ)で太さは約0.64~0.83㎜になります。最も細い注射針は約0.22㎜ですが、これはインスリンなど自分で注射をしなければいけない人達が用いるものになります。

 

 鍼灸で用いる鍼はいろいろな物があるのですが、一般的に利用されるのは0.18~0.22㎜程度ですね。注射針と比べると4分の1程度の太さになるので、病院の注射針と比べると痛みが少なくなります。顔は敏感なところですし、血管を傷つけて内出血をしないようにということで、美容鍼灸ではもっと細いのを利用することが多いです。

 

 鍼治療の説明では、鍼の太さは髪の毛程という表現がありますが、日本人の髪の毛の太さは0.05~0.15㎜とも言われているので、鍼灸の鍼は太い髪の毛ぐらいの太さになります。こうやって考えると非常に細いというのはわかると思いますが、何かが身体に刺さるので、やっぱり痛いのではないかという不安もありますよね。

 

 刺すということは痛みを感じやすいものなので、鍼治療では痛みを感じなくさせる工夫があります。

 

2.痛みを感じなくさせるテクニック

1)管を使う

 日本の鍼治療では、鍼管(しんかん)と呼ばれる管を利用することが多く、管で皮膚面を圧迫している状態で鍼を皮膚に刺していくので、押されている感覚もあるので痛みを感じにくくしています。

 

 皮膚表面は神経の働きも活発なので痛みを感じやすいので、鍼管で皮膚を圧迫することで、痛みを感じにくくさせるだけではなく、痛みを感じやすい皮膚の部位を一気に抜くためにも利用されています。

 

 例えば、紙をハサミやカッターで切るときに紙がずれないように紙を抑えますよね。しっかりと紙を抑えておくと、一気に切ることができるので、鍼管も同じような役割があります。

 

 昔は、鍼管は消毒をして使っていたのですが、現在は鍼と同様に使い捨てになっているので、感染の心配はありませんよ。

 

2)技術で感じなくさせる

 鍼管を利用する鍼灸師が多いですが、鍼管を使わない鍼灸師もいます。鍼を身体に刺すと言うことは共通しているので、鍼管を使う鍼灸師と鍼管を使わない鍼灸師は刺すというところでは注意しているところがあり、上手になると、鍼管がなくても痛みを感じにくく刺すことができます。

 

 皮膚面は神経が豊富で痛みを感じやすいので、皮膚面の痛みを感じやすいところを一気に通過してしまうと痛みを感じにくくなります。そのため、鍼を皮膚面に刺す時にはリズミカルでスピードを付けて鍼を刺すようにしていきます。

 

 さらに、鍼を刺すのは片手で操作するので、反対の手で皮膚面を圧迫することで痛みを感じにくくさせています。

 

 尖った物を身体に押し当てると痛みを感じやすいですが、皮膚面に尖端を寝かせた状態で軽く触れ、その状態から尖った物を皮膚面に直立させると何も感じなくなります。ちょっとしたことなのですが、圧加減が一定でないと、痛みや尖端の感覚を感じてしまうので、鍼の当て方にも工夫と慣れがあります。

 

3.痛みを感じる理由

 鍼治療では、昔からいろいろな工夫がされているので、痛みをほとんど感じることなく行えますが、それでも痛みを感じてしまう場合があります。痛みはどれぐらいの物なのかということについて書いていきますが、一般の方が表現される痛みは二つあるので、分けていきます。

 

1)チクッと痛い

 身体には痛みを感じる神経があり、尖った物が触れた時、何かが刺さったときに痛みを感じてしまいます。痛みがあることで、危険な物が分かるので、痛みは非常に重要な物です。

 

 鍼治療では痛みを感じにくく刺せるテクニックを多く利用することで痛みを感じにくくさせていますが、まれに強い痛みが生じてしまうことがあります。強い痛みと言っても、注射針で痛かったなという程度のことが多いですね。

 

 身体には痛点や毛穴があり、そういった場所では痛みを感じやすいと言われていますが、痛点は見えないので、100%避けて鍼をすることができないので、痛みを感じてしまうことがあるのです。

 

 痛みを感じる場合でも、感じにくくさせるテクニックも利用しているので、強い痛みとして感じることはまれですね。

 

 大体の感覚、経験でしかないのですが、100本の鍼を刺したとしたら80本ぐらいは、ほとんど感じなくて、数か所がチクッとしたかな、数か所がチクッとちょっと痛かったかなという程度ですね。1本ぐらい強い痛みだなと感じることがある程度なので、鍼灸を始めて受けた人の表現は、思っていたよりは痛くないし、感じないということですね。

 

2)鍼を刺していくと痛い

 鍼灸師は皮を切るときの痛みと、身体の中に入った感覚を分けて考えているので、切皮痛と響きという単語で分けているのですが一般の方からしてみたら、今は、皮を切っているのか、身体の中に入っているのか分からないので痛みと表現されている方もいます。

 

 身体の中に鍼が入ると、ズーンと感じることがあり、表現でも利用されやすいのですが、「だるい」「はれぼったい」「重い」「しびれる」「ツーン」という分類があります。

 

 鍼灸師からしてみたら、「痛い」と言われたときに、鍼が入っていると「響き」のことだなと思うので、「どのような感じか」と尋ねることが多いでしょうね。

 

 鍼治療では、この響きが生じることも多いので、鍼が苦手と言う人は、響きが苦手の場合も多いです。鍼灸師でも響きが苦手という人がいるので、響きの感覚が苦手なようだったら、苦手ですと伝えておくといいですよ。

 

 響きがないと治療効果がないと考える人もいますが、響きがなくても治療効果に関係がないという考える人がいるので、治療院を選ぶときに、電話で響きについて尋ねてみてもいいのではないでしょうか。

 

4.まとめ

 身体に鍼をしていくので痛いのが当たり前と考えていくのが普通だと思いますし、私もそう思っていますが、道具と技術によって痛みはかなり軽減することができるので、鍼灸の治療では痛みをほとんど感じることがないことが多いです。

 

 こういったことを理解できるのは、学生の頃、初めて鍼を刺したり、刺されたりしたのは痛かったからですね。最初の頃は、鍼を受けるのが辛かったですし、刺すのは嫌でしたが、気付けば鍼をしてもらうと楽だなと思っていますし、自分でもよくやっています。

 

 学生の頃は痛くて鍼を刺すのは嫌なツボも、今ではよく利用するツボになっています。美容鍼灸や鍼治療で、多く鍼を扱うところだと痛いと感じることも多いでしょうが、もともと使う鍼も多いので、感じる頻度も高くなるのは仕方ないですね。

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