シール鍼の効果と使い方―置き鍼の効果と使い方

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 鍼治療では継続した効果を狙って顔や肩、痛みがある場所にシール状態の鍼を利用することがあります。一般的にはシール鍼や置き鍼と呼ばれていますが、正式には、円皮鍼(えんぴしん)という名前になります。円皮鍼はどのようなときに使って、どれぐらいの時間付けておくのがいいのでしょうか。

1.シール鍼(置き鍼)の効果

 シール鍼・置き鍼の効果は、鍼と同様なので、皮膚に貼付していくことで、ツボを持続的に刺激していくものになります。鍼灸師によって使い方が変わりますが、身体の状態を改善するために必要なツボに刺激し続けるために利用されたり、痛みや気になるところの持続効果を狙ったりして用いられていきます。

 

 シール鍼は非常に短い鍼がシールによって包まれているので、そのまま皮膚に貼ることで、鍼が刺激し続けられることになります。痛みを感じそうだと思うかもしれませんが、非常に短い鍼になっているので、貼付したとしても痛みを感じることは、ほぼありません。

 

 円皮鍼は鍼の長さもいくつかあるので、場所によって使い分けたりしていきますが、短いタイプがよく利用されています。一般の人が利用する場合は、鍼が出ていないタイプもあるので、患者さんへの紹介や販売では鍼が出ていないこちらのタイプを勧めることも多いですね。

 

 鍼灸の治療効果についてはこちらのブログに詳細を書いてあるので参考にしてみて下さい。

「鍼灸治療は何に効くのか?―鍼灸の治療効果」

 

2.シール鍼(置き鍼)が痛い

 シール鍼(置き鍼)が痛い場合ですが、貼付してすぐの場合は、鍼が皮膚に入っていない可能性があります。貼付したときに、鍼が皮膚の中に入っていれば痛みを感じないですよ。皮膚の中に入っていないと、皮膚上を鍼がチクチクと刺している状態になってしまっているので、痛みを感じやすくなります。

 

 貼付してから時間が経ってから痛みが出ている場合は、シールが剥がれ始めてしまって、鍼が皮膚内から抜けてしまっている場合があるので、その時は、早く剥がした方がいいですね。

 

3.シール鍼(置き鍼)を貼り続ける期間

 シールが剥がれにくい人は1週間ぐらいそのままの場合がありますが、通常は数日で痛みを感じてしまったり、剥がれてしまったりすることが多いので、痛みがなく、剥がれていない、痒くなっていないのであれば、剥がれるまで貼付し続けることができます。ただ、顔面部や耳などでは、貼付した後が、凹みとしてしばらく残ってしまいやすいです。

 

 そのため、顔に貼付する場合は、就寝時につけて起床したら剥がして、凹みが取れるまでの時間を確保しておいた方がいいですね。痕が残ると言っても、枕に顔を押し当てて、線が残ってしまったような状態なのですが、あまりはっきりした痕が残ったまま、仕事や学校に行くのは恥ずかしいでしょうから、起床後すぐにはがすか、帰宅してから寝るまでにしておくといいでしょうね。

 

 私は衣服で当らないところだと、剥がれにくい体質なのか、たまに1週間以上経過している場合があります。

 

4.シール鍼(置き鍼)の使い方

 ツボに対して用いる場合は、体質や症状に合わせたツボを使って行っていくことになります。顔のシワに対して用いていく場合は、シワの所に貼付して並べていきますね。膝などで痛みが強い場合は、痛みの強いところに貼っておくと痛みが軽減することが多いので、利用目的に合わせて、鍼の長さや枚数を考えていきます。

 

 長い物は動きが大きい関節や皮膚のところでは用いにくいので、関節や皮膚が薄いところでは、短い物を利用していくことになります。

 

 通常は、貼付しただけでも鍼が皮膚内に入ることが多いのですが、皮膚まで入らないことがあるので、しっかりと皮膚に入れていくために、鍼の部分を貼付するときに、デコピンして鍼を皮膚まで入れることが多いですね。上手く入ったことを確認するためには、貼付したところを少し指で押して皮膚を動かして見たり、身体を動かしたりしてみて痛みが出なければ上手くいっています。

 

 シール鍼と呼ばれる円皮鍼と同じような物に皮内鍼(ひないしん)というのがあるのですが、こちらは、近年は利用している人が少ないですね。短い鍼を刺してからテープで留めるので、刺すのにも技術が必要になります。円皮鍼と皮内鍼については過去のブログにも書いてありますが、こちらは専門的です。

「円皮鍼と皮内鍼の使い方」

 

5.シール鍼(置き鍼)を用いる場所

 鍼と同様の使い方をしていくので、ツボに対して、症状に対して、その場所に対して、痛みに対して使っていくので、円皮鍼は全身くまなく利用していくことができます。ただし、手のひら、足の裏など、衣服や他の物に接触しやすいところは、すぐに剥がれてしまうので利用していかないです。

 

 肩こりであれば、痛みを強く感じるところ、押すのではなく、触れたときに硬い、張っているところに貼付していくと、少し軽減することも多いですね。経絡の走行を考えて貼付していくとより効果的なのですが、一般の方だと症状が強い場所と関係する経絡を探し出すのが大変なので、痛みの強いところに貼付するのが利用しやすいやり方でしょうね。

 

 督脈と言われる背骨の所は治療として効果が高いところなので、どこか一点として分かりにくければ、督脈と言える背骨の上にいくつか貼付していくと、持続的な効果が得られやすいのではないでしょうか。

 

 顔のシワに用いて行く場合は、シワに沿って貼付していくので、気になるところに用いていきます。噛むと筋肉が膨らむところは疲労もたまりやすいので、そういったところに貼付して日頃から疲れを軽減させ、浮腫みにくい状態にしていくのもいいですね。顔のシワに対するやり方については過去のブログでも書いているので参考にしてみて下さい。

「顔のしわに円皮鍼をよく使います―自分で出来る美容鍼」

 

6.まとめ

 シール鍼(置き鍼)と言われる円皮鍼(皮内鍼)は利用しやすい物ですし、持続的な刺激を狙っていけるので非常に便利な道具の一つですね。近年は鍼が出ていないタイプもあるので、一般の方でも手軽に利用できるので、日常的なケアとしてもお勧めですね。

 

 私自身も、ちょっと関節に痛みがあるとき、疲れがたまっているときは、円皮鍼を利用することが多いので、カバンにもいくつか入っていますよ。一般の方からしたら、専門的に扱うのは難しいでしょうが、信頼できる鍼灸師に相談しながら利用していくと、日々の管理をしやすくなるのではないでしょうか。

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