鍼灸治療は、鍼や灸を用いて身体に変化を出す治療方法のことで、鍼は痛い、お灸は熱いというイメージで心配に感じるかもしれません。しかし、一般的には、鍼は痛みをほとんど感じずに、お灸は温かいと感じる程度のことが多いです。
鍼灸での治療は東洋医学を使って治療することも多いですし、もしかしたら悪化をしてしまうのではないかと心配に感じている人もいるのではないでしょうか。鍼灸に通うと癖になるという話しも聞くこともあるのではないでしょうか。鍼灸での治療や効果はどのようなものなのかをまとめてみます。
1.鍼灸治療とは?
鍼灸治療は日本では東洋医学と呼ばれていますが、中国伝統医学の治療になります。中国伝統医学は2000年前には完成していたのではないかと考えられ、鍼灸だけではなく、漢方も含まれています。日本では、西暦500年中盤には伝わって、701年の大宝律令から資格制度が存在しています。
鍼は髪の毛よりも細い物を利用することが多く、刺すときに痛みを感じにくくさせるために、鍼を管に入れて用いることが多いです。中国では管を使わずに行うことが多いのですが、管という支えがないために、日本よりも太い物を利用することが多いです。鍼は現在では世界各地の資格制度があり、多くの国で行われています。
お灸は、ヨモギから作られた艾(もぐさ)を利用していく治療で、米粒の半分程度の大きさを皮膚面に置き、線香で点火させることによって、皮膚に温熱刺激、火傷を作り、身体の免疫機能を高める働きがあります。現在では、肌に火傷をさせるのは嫌だという人も多いので、ツボを温める程度の刺激で行うことが多いです。海外では、火傷はさせてはいけないので、お灸は日本で発達した治療とも言えます。
お灸に関しては、松尾芭蕉の俳句の中にも書かれていますし、江戸時代は自分で行う健康法として利用されていたので、お灸をしている浮世絵もあります。
2.鍼灸治療で効果が生じるメカニズム
鍼灸治療は、適当に行うのではなく、患者さんの身体の状態や症状によって、使う場所を決定し、適切な刺激を行うことで治療効果を狙っていくもので根拠もあります。身体は神経により全身が繋がっていて、どこかに刺激が加わると、生体に刺激として伝わり、変化を出していきます。
例えば、痛みがあったら、すぐに手を引いたりしますが、これも刺激を受け、それに対する反応になります。
動きが出れば分かりやすいのですが、身体はいろいろな刺激を絶えず受けているので、自分では意識しない内に刺激として伝わり、反応が出ている場合があります。鍼灸治療も同じように、身体に刺激を加えていくので、自律神経に働き、効果が発揮されていきます。
自律神経は、身体のメカニズムの根本とも言え、内臓の働きだけではなく、全身の機能に大きく関与しています。この自律神経に作用させるのが鍼灸治療の効果になるので、多くの疾患に対応していくことができるので、鍼灸師にとっては全ての疾患の治療をすることができるのが当たり前ですが、一般の方からしてみれば、何に効くのか分かりにくいところですね。
鍼灸治療の効果についてはこちらのブログにも書いてあるので参考にしてみて下さい。
3.鍼灸治療の効果が得られる回数
鍼灸治療を行うと、身体が変化をして効果を感じることになりますが、直後効果と累積効果があるので、分けて説明していきます。
1)鍼灸治療の直後効果
鍼灸は自律神経に作用させる治療方法と言えるので、直後効果が低いのではないかというイメージが生じるのではないでしょうか。ただ、一般的には、鍼灸は痛みに対して利用されることがあるので、多くの方のイメージは痛みがあるから鍼灸は効果がありそうと考えるのは直後効果になります。
痛みがあるところに鍼灸刺激を行っていくと、その場所の血流が増加することで症状が軽減していきます。
体質改善で治療をしていく場合は、直後効果だけだと分かりにくいことがありますが、身体の変化を感じるものとして、治療者にとっても直後の状態がどのように変化したかも重視していきます。
分かりやすい変化として、鍼灸治療を受けたあとに、全身への変化としては、以下の物が生じることがあります。
- お腹が空いた
- 眠くなる
- 排泄したくなる
- 良く眠れた
- 身体がだるくなった
- 身体がすっきりした
身体が重くなったり、すっきりしたりしますが、身体の緊張が緩むと一回重く感じて、休むとすっきりすることが多いですね。すぐにすっきりする場合もありますが、身体の疲労状態や身体の感受性によって違いが出ることがあります。
2)鍼灸治療の累積効果
鍼灸治療の累積効果を望まれるのは、体質改善を狙った場合に意識していくことが多いですね。例えば、月経不順、不眠症、花粉症、慢性的な腰痛、慢性的な頭痛、慢性的な肩こり、自律神経失調症、高血圧、胃腸炎、更年期障害などでは、累積効果によって効果が得られることがあります。
鍼灸治療では自律神経に働きかけ、身体の状態を変化させていくのですが、日々の生活で元に戻ってしまうのを継続した治療によって、戻らない身体にしていくと言えます。身体の不調は、加齢や日々の生活によって生じている物が多いので、少しずつ、身体を変えていくことになります。
一気に身体を変えたいという人もいるかもしれませんが、身体は車などの機械ではないので、部品を交換してよくなるという物ではありませんから、身体が変わっていくことで症状や体質が変化していきます。
累積効果では、一番気になっている症状や病気に変化も出てきていることが多いですが、体調の変化したのを強く感じる人も多いです。例えば、慢性的で強い腰痛があったのが、疲れたときや、ある一定の姿勢・運動をした後に生じる程度になったとすると、お腹の調子がよくて、よく眠れているので、精神的に落ち着いてきたということも多いです。
もちろん、効果には個人差があるので、どの程度の状態になっていくのかは文章で断定することはできないので、信頼する鍼灸師の人に相談して、状態を確認しながら累積の治療効果を感じてもらうのが一番だと思います。
累積効果が生じるまでの回数は、数回で感じる人もいれば、数か月継続することで身体が変わってきたと感じる場合もあります。例えば、冬に症状でたり、体調が悪くなったりするのであれば、冬にならないと確認できないので、その時まで続け、継続した方が累積効果を発揮できることが多いです。
私自身もメンテナンスとして継続して治療していくことで、状態の維持を図っていますし、一時期、腰痛に苦しんでいましたが、継続した治療をしていくことで、腰痛が出ないだけではなく、お腹の調子も安定するようになりました。
何回で効果が発揮されるのかは、はっきりとした回数は言えないので、鍼灸師に相談して、どれぐらいで変化していくのかを尋ねていくと、二人三脚として治療が行えるのではないでしょうか。
4.まとめ
鍼灸の効果は何回目から出るのか不思議に思う人がいますが、1回でも効果もありますし、継続することで、累積効果も得られることが多いです。目的とする変化や体質によって治療回数が変わるので、様子を診ながら治療することも多いですね。
継続した治療を受けると、身体の軽い状態を理解することになるので、日々の疲れを実感するようになり、治療を受けると楽になるのが分かるので、「鍼灸は癖になるし、止められなくなる」という噂話は確かに分かるなと思います。実際に私は、日々自分に鍼をしていい状態を維持しようとしていますしね。