足のだるさの原因と鍼灸治療

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生理前や立ち仕事、むくみがあると足のだるさが強くなることが多いですよね。自分でマッサージをしたりしても、朝にだるさが残っていると、朝からでかけるのが憂鬱になってしまいますよね。そんな足のだるさは鍼灸治療でも対応することが多いです。

 足のだるさは東洋医学的に考えると生活と密着していることも多いので、足のだるさと東洋医学、対処、鍼灸での治療についてまとめていきます。

 

1.足のだるさの原因

 疲れたし、明日のために寝ているのに、寝ておきたら足がだるいというのはかなり辛い状況でしょうね。疲れて寝ているのに、足のだるさが消えないのは、身体の疲労がかなりたまっている証拠とも言えますね。

 

 足の疲労が回復しないということは、血流が低下しているのが原因とも言えるので、血流を回復させていくことが必要になります。

 

 日常的なケアとしては、運動、ストレッチ、過食をやめるというのがありますが、生活を気にしているにも関わらず改善しない場合には、自律神経の働きがよくなくなっているか、病気の場合もあるので、酷い場合には自己判断せずに、病院で検査をしてもらった方がいいですよ。その場合は、まずは整形外科に行って、運動器の疾患がないか確認するのが最初ですかね。

 

 他には、内科疾患から生じている場合があるので、内科でもいいですね。小さいクリニックだと、整形外科内科もあるので、そういったところで診察を受けるのもいいと思います。

 

 下肢の血管が大きく浮き出ている場合は、静脈瘤の可能性も考えられるので、一度、自分の足をよく見てみるのもいいですね。

 

 大きな問題がない場合は、自律神経の乱れによって、血流が低下している可能性があるので、生活リズムを一定にして、自律神経が整うのを待っていくことになるでしょうね。

 

2.足のだるさと東洋医学

 足がだるいというのは東洋医学では腎か脾、痰湿で考えていきます。一般の人でもイメージしやすいのは痰湿ではないでしょうか。痰湿は、身体の中にある水分の停滞と関係しやすいので、水の流れが悪く停滞した状態になります。痰湿で生じやすい症状として、むくみもあるので、むくみが強い場合は痰湿が停滞してしまっている可能性があります。

 

 痰湿は飲食の問題によっても発生すると考えられているので、甘い物、油っこい物、濃い味を多く食べる習慣があると、痰湿として停滞してしまい、水の流れが悪くなり、足のだるさにつながることがあります。

 

 腎は東洋医学独特の概念で現代医学の腎臓と同じではありません。昔は、現在のような解剖の知識やどのように機能しているのかというメカニズムの知識がなかったので、症状が生じて、亡くなった人を観察して行った結果、腎はこういう機能と関係していたのではないかと考え、治療を繋げていって作られた知識になります。

 

 腎は生命力である精(せい)と関わり、身体を支える機能の骨と関係していくので、腎の機能や腎精が不足していくと、骨を支える機能が弱くなり、骨のもろさが生じ、骨が弱くなると骨の中にある髄が弱くなるので、髄の弱さとして下肢にだるさが生じやすくなります。

 

 腎が弱い状態は「腰膝酸軟(ようしつさんなん)」という、「腰・膝がだるいし力が入らない」が生じてしまうので、足のだるさは腎の機能低下と関係していくことが多いです。腎の働きを低下させやすい行動は立ち仕事があるので、立ち仕事をしていて、足のだるさが取れない場合は、腎の機能が低下してしまっていると考えることができます。

 

 脾も東洋医学独特の概念で、脾の働きが低下すると手足のだるさが生じやすくなると考えていきます。脾は肌肉(きにく)といって、手足と関係しやすい傾向があるので、手足のだるさ、手足の汗、手足に力が入らないのは、脾の機能が低下してしまっていると考えることができます。

 

 足のだるさと言っても東洋医学的には、いくつかの原因があるので、どういった症状が生じているのかで分けていきます。

 

 例えば、痰湿の状態であれば、飲食の問題でも発生することがあるので、飲食の様子を聞くことが多いですし、脾の働きが低下してしまった場合のも痰湿が生じてしまうことがあるので、脾の状態の確認も必要になります。

 

 脾で生じやすい症状は、食欲の低下、腹痛、下痢や軟便が生じやすく、子宮脱や脱肛も脾の症状として考えていきます。

 

 腎で生じやすい症状は、腰膝のだるさということで、足腰が弱いと言われるような状態、耳鳴、健忘、生殖器と関係していきやすいです。

 

 足がだるくて、上がほてるような場合は、上実下虚と呼ばれる状態と考えていくことも多く、下をしっかりと温めていくこともありますね。

 

 生理のときに足のだるさが出やすい人の場合は、生殖器の活動には、腎と脾の働きが重要なので、腎と脾の機能が低下している可能性があります。

 

3.足のだるさと鍼灸治療

 鍼灸治療の場合は、原因を考え、治療をしていくので、痰湿の場合、腎の場合、脾の場合、脾と痰湿の場合で治療を考えていくことができます。痰湿は脾と関係しやすく、痰湿を取り除くのに脾の治療をしていかないといけないので、痰湿の場合と脾と痰湿の場合は治療が似てきます。

 

 痰湿や脾の問題で生じている場合は、太白(たいはく)、公孫(こうそん)、三陰交(さんいんこう)、陰陵泉(いんりょうせん)も利用されやすいです。

 

 腎から生じている場合は、照海、太渓が利用されやすいでしょうが、然谷も腎の調整には効果的なところですね。失眠にお灸をしていくと、下腿のだるさが軽減することがあるので、だるさに冷えを伴うようだと使っていくことがありますね。

 

 東洋医学の考え方ではなく、道具としての使い方であれば、吸角や低周波鍼通電療法もいいですね。吸角は狭いところだと使いにくいですし、体毛があると、せっかくつけても取れてしまいやすいので、ちょっと難しいですね。下腿は浮腫みもあって、皮膚がピーンと張っている人が多いので、吸角で表面の張りを取ると、すっきり感が生じやすいです。

「吸角の効果」

「低周波鍼通電療法の使い方と効果」

 

 足のだるさは生理のときに発生しやすいですが、生理前であれば肝経を少し加えて、整理中から生理後は脾経、腎経を中心にしておく方がいいですね。月経のメカニズムと治療に関しては過去のブログでまとめてあります。

「月経のメカニズム―東洋医学で考える月経」

「経早(けいそう)―月経異常と東洋医学」

「経遅(けいち)―月経異常と東洋医学」

「経乱(けいらん)―月経異常と東洋医学」

 

4.まとめ

 足のだるさは日々の疲労によって生じることもあれば、気候変化に耐えられなくて発生する場合もあるので、その時の状況に合わせた施術を行っていくことが重要ですね。私自身は、自分でいろいろやっているので、だるさが強くなることはないですし、運動を少しはするようになってからは生じにくくなっていますね。

 

 原因を考えることで対策していくことができますが、日々の生活の積み重ねだと、何が原因だが分かりにくくなってしまうので、生活と身体の状態を整理して考えていくことが大切ですね。

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