鍼灸師として働くようになると、経験を積んできて、そろそろ開業に向けて動くという人もいるでしょうし、自分のやりたいように出来ないから、自分がやりたい形を作るために開業するという話しをきくことがあります。
ただ、開業して成功している、開業して食べていけるという話しを聞くことも多いですが、開業してダメになってしまったという話しも聞くので、「開業とは?」という視点も大切だと思うので、書いてみます。
開業は起業と考えていくのと同じなので、会社を作ることと同じなので、何となく会社を作ったら失敗しそうだというのは理解できると思いますが、治療院となると、小規模な事業所なので、自分は当てはまらないと考えてしまうのではないでしょうか。
自分がやりたいことが本当に社会の役に立つと考えて起業するのであれば、資金計画などを真剣に考え、どれぐらいで経営が成り立つのかを考えるのが多いはずですが、治療院の開業となると、皮算用も多いのかなという印象ですね。
もちろん、一般の起業でも、取引をしてくれるはずという見込みから独立する人もいるでしょうから、決して誤りではないですが、やっていけるというのは、しっかりと道筋を立てないといけないと思います。
治療院の開業でも、資金計画、物件、内装、物品、消耗品、メニュー、オペレーション、ホームページ、電話、インターネット回線、光熱費、ポスター、チラシ、POPなどやることが沢山ですし、治療だけを考えていた状態であれば、全てがゼロからのスタートなので、勉強することが非常に多いです。
開業する前から物件、資金計画を考え、スタートする日付をしっかりと考えている人がいますが、この場合は、起業(開業)と言うスタート地点に合わせて、しっかりと準備しているので、やや安心感があります。
話しを聞いていて怖いのは、なんとなく、地元でそろそろ店でも開けようかなと言っている場合ですね。
鍼灸、整骨院、整体などは飲食店と比較的似ているので、何となく修行したから、何となく同じような店を開けるというのは、飲食店になると危険ではと感じる人もいるでしょうが、治療院となると、その考え方が薄くなるような気がしています。
例えば、地元は、高齢者が多いから高齢者向けの治療院にしつつ、そこから紹介などを辿っていこうというのであれば、少しは戦略的な考えがありますが、どうやってとなるとチラシとなってしまう人も多いような気がしています。
チラシだと集客率で言えば、1%未満と言われ、1000枚配って10人も来ないでしょうし、通行量が多いところであれば時間がそれほどかからないでしょうが、ポスティングにするのであれば、すごい時間がかかります。さらに、最近ではポスティングを近視しているマンションなどもあるので、チラシの効果はさらに低い上に、クレームが来るリスクもあるので、もし、開業したらポスティングとチラシかなと思っている場合は、起業の勉強がかなり弱いので、この先が不安だなと思ってしまいます。
もちろん、関連深い施設や健康に関わるところと手を組み、相互に紹介するという形を取れば、いい関係性を作れるので、全体に撒くよりは、ポイントをしっかりと絞った方がいいですね。こういった考えは、起業をされている人が詳しいですし、治療院業界から外れて話しを聞く方が、よりリアルな考えをしていることが多いです。
治療院も起業なので一つの会社ですが、社会のニーズがなければ必要なくなってしまうので、自分のやりたいことが社会のニーズと合っているのかも重要ですよね。もちろん、普及教育含めて行っていくというのは大切なことですが、それであればまずは治療院を経営として成り立たせて、それから緩やかにシフトチェンジしていく方がいいと思います。
これがやりたいから起業(開業)しかないのであれば、それも一つの手ですが、その場合は、普及教育が必要になるので、そのためのツールをしっかりと考える必要があるのではないでしょうか。
最近ではホームページを上手く活用されるところもあるので、ホームページが上位に表示されるようにしっかりと作り込むことで、普及を狙っていくのもいいですね。ただ、その場合は、アクセスがしっかりとできる物を作るというスキルが必要なので、治療の勉強も大切ですが、その他の勉強もしておかないといけないですね。
いい物を作れば、いい物を提供すれば人は来ると言うのはもちろんですが、それは、日本で、世界でトップレベルだから来るのですし、もし、そこまでの腕でれば、勤務しているときに、患者さん、お客さんで溢れかえっているはずですよね。
そこまでの状態になったのだから開業(起業)は成功する確率も高く、いいと思うのですが、そういった状態で開業(起業)する人は限られているはずなので、開業(起業)がスタートという目標を持っている方は、開業(起業)のための勉強を積極的にした方がいいと思います。
治療院に勤務しているときに、新規院の立ち上げもしているから大丈夫という人もいますが、そういった場合も、資金管理など含め、全部自分でやっている訳ではないですし、会社として自分の方針を強く打ち出している訳ではないので、会社での独立と個人での独立はまた難易度が変わります。
しかも、個人でやる場合は、立ち上げだけではなく、維持・管理が今後ずっとで、日々見ているので、内装などの劣化についても感じにくくなるので、奇麗に使っていても、周囲の人からしてみれば劣化が激しく感じられてしまうことがあるので、第3者の目を持ち続けるというのは大切だと思います。
この業界では開業が一つの節目となることも多く、目指す人も多いですが、そこはゴールではなく、スタートラインというのをしっかりと認識しておくのが大切だと思います。もちろん、自分を含めての戒めでもあるので、絶えず、アンテナを張り、継続的な学習をし、変わらないこと変わることを見極めていかないといけないと思っています。