京骨は足太陽膀胱経の経穴の一つで、原穴になります。足太陽膀胱経の経穴になるので、足部だと外側にあるというのは意識できますが、どの場所と言われると、第5中足骨の前後だったなという記憶になってしまうのではないでしょうか。ちなみに、私はよく間違えて、第5中足骨の後ろにある金門を取穴しているときがありました。
1.京骨の名前の由来
京骨の「京」という漢字は、「みやこ」という意味がありますが、もともとは、丘の上に家を作り、それが集まって都市になっていったので、「高い、大きい」という意味も含まれています。「骨」は名前の通り、骨になるので、京骨という名前で、「大きな骨のところ」という意味になります。
骨の字がどのように出来たかの図を見ていたら、ペンギンやコミカルな人のように見えてきて面白くなってしまいました。始皇帝によって統一されたとされる小篆(しょうてん)の骨はなかなかよかったです。すっかりと話しがそれてしまいました。
骨は、もともとは今で言う骨ではなく、関節や身体という意味があったので、物としての名前だけではなく、動きの意味も含まれているのかもしれませんね。
そう考えていくと、京骨は「大きな骨」ではなく、「大きく動く場所」「大きな関節」という意味としても考えられるので、解剖学的な意味として名付けられたのではないでしょうか。
2.京骨の位置
京骨は、足の外側で、第5中足骨粗面の遠位にあり、赤白肉際の部分になります。第5中足骨は、足の外側で少し出っ張っているところなので、テーピングを強く貼ってしまうと痛みも生じやすい場所ですし、分かりやすい場所ですね。
骨端と関係しやすい場所になるので、この部位での骨端での異常による障害はイズリン病といいます。シューズも合わないとぶつかってしまう場所になるので、痛みが出やすいところなのかもしれませんね。
3.京骨の穴性
京骨は足太陽膀胱経の原穴になるので、膀胱経の走行に関する症状に対して使っていくことが出来るので、頭顔面部、腰背部、大腿・下腿後面、足の第5指の症状に対して使っていくことができます。
『傷寒論』の考え方では、病は太陽経から始まるということで、風寒の外邪が入ってくるところとされているので、寒熱の問題の時にも利用することができますね。
穴性をいろいろ調べてみて、自分では思いつかなかったところとしては、鼻疾患、膝の動き低下ですね。確かに、膀胱経は睛明・攅竹が両眼の内側にあるので、見方としては鼻の付け根にも作用すると言えば、経絡の走行から考えると当然になりますね。
4.京骨の使い方
京骨は靴などをはけば必ずぶつかる場所になってくるので、火傷の痕が出来てしまったら大変ですし、鍼の違和感も強く出てしまうと、後々辛くなってしまうことになります。足底に近い場所なので、手やお腹などと比べると皮が厚く、火傷にもなりにくい場所ですが、よくよく注意して行った方がいい場所と言えます。
鍼を行っていく場合も同様ですが、火傷のような痕が残らないので、鍼か灸かで考えるのであれば、鍼の方がいいのではないでしょうか。
場所的には、直刺で行うときもありますが、指先の方に向けて水平刺で使っていくことがあります。ちなみに、私は鍼の刺入方向で補瀉を考える迎随は使っていかないので、鍼の刺入方向は入れやすい方向になります。足底の症状も出ているときには、足底に向けて刺入することもあります。
まだまだ使いこなせていない経穴の一つなので、症状との関連性は、まだ自分の中では確立できていない状態ですね。位置的に、仰向け、うつ伏せでもベッドにぶつかってしまってやりにくいところなので、うつ伏せで足関節前面に枕を入れると、刺入しやすくなります。