尾骶骨(びていこつ)とは

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 尾骶骨は、俗称で、人によって尾骨のことだったり、尾骨と仙骨だったりしますが、何故、俗称が付いたのか、気になったので調べてみたところ、昔に使われていた用語がそのまま残っていることが分かりました。

 解剖学的には、尾っぽのようになっている尾骨と、その上は仙骨(せんこつ)という骨になっています。尾骨と仙骨は、もともとは背骨の骨のようにバラバラ(仙椎:せんつい、尾椎:びつい)だったものが、年齢とともにくっついて一つの骨になります。ほとんどの人が一つにくっついてしまうので、仙骨・尾骨という名前になっています。座ろうとしてぶつけてしまう、出産などで痛みが生じてしまうと、あまりの痛さで椅子に座ることもできないので、ケガをすると辛い場所の一つですね。

 

 尾骶骨という名前がどこからきたのか疑問に思って調べていると、どうやら尾骨は昔から尾骨で、人にも尾っぽが付いているというのが昔から続く考え方ですね。現在、仙骨と呼ばれているのは、骶骨(ていこつ)と言われていたようです。

 

 確認のために、東洋医学の解剖学書とも言える『釈骨』沈彤(1688~1752年)を見てみたところ、やはり尾骨はありますが、仙骨は骶骨になっています。ということは、中国、日本では骶骨という名前ですね。確認のために、中国語で調べてみると、日本で言う仙骨・仙椎は骶骨・骶椎になっています。日本では、骶骨から仙骨に名前が変わったということですが、これは西洋の解剖学書を日本語に翻訳したときに名前が変わったのではないでしょうか。

 

 この疑問を調べると、仙骨は英語でsacrumであり、意味は「聖なる」になります。仙骨が重要視された理由としては、いろいろな理由が考えられるということで、以下の書籍に書かれているようです。

『造語方式による医学英和辞典』

 

 ということで、尾骶骨は、現在で言えば尾骨・仙骨になりますが、痛みで感じやすいのが、尾骨・仙骨が付着した部分なので、昔の呼び方で言えば、尾骶部になるのでしょうね。この場所は、座ったときにぶつけたりしてケガをしてしまいやすいところですが、古代の人も多くの人がぶつけてケガをしてしまうので、尾骶部をぶつけることが、「尾骶骨をうった」という表現として普及したのではないでしょうか。

 

 ちなみに、私も一度、激しくぶつけてしまったことがありますが、まともに歩けないし、座れないし、で辛い思い出がある場所ですね。その時は鍼灸をやっていなかったときなので、我慢するしかありませんでしたが、痛みがなくなるまで時間がかかりましたね。

 

 今は、鍼灸が自分で出来るので、自分が尾骶骨を打ったとしたら、鍼灸で対処しますね。もちろん、経絡を使ったりして痛みの軽減を図るので、一般の人が出来ることではありませんが、個人で対処していくのであれば、お灸は効果が出やすいものになります。

 

 ぶつけたすぐの状態であれば、「ズキズキ」と痛みが激しいので、冷やした方がいいのですが、場所的に冷やすのも大変なところですね。ぶつけて痛みが激しいときは、鍼灸師が専門的に扱うお灸であれば痛みの軽減を図ることもできるのですが、場所的に微妙なところですし、火傷をするリスクがあるので、アイシングで何とか過ごすのが一番ですね。

 

 激しい痛みが少し落ち着いた後も、痛みが続き、座るのが大変な状態が続きますが、このときに、殿部(仙骨)のところにお灸で温める刺激をすると痛みが軽減していきます。頭部も経絡が繋がっているところなので、頭の上に温かいホットタオルを置くのもいいですね。ただ、のぼせやすい人は頭の上にホットタオルを置くとのぼせが生じてしまうので、のぼせにくい人限定ですね。

 

 頭、眼の疲労も軽減するので、頭部のホットタオルはオススメですね。

 

 殿部(仙骨)のところは腰から続く背骨がなくなって骨盤になるあたりが平らでやりやすいし、効果的な場所なので、行うときは痛みを感じるところから拳一つ分ぐらい上にやるといいですよ。火を使うお灸は見えないと、火傷をしてしまうリスクも高くなるので、火を使わないタイプの物がオススメです。

 

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