築賓(ちくひん)

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 築賓は足少陰腎経の経穴であり、奇經八脈の陰維脈の郄穴になります。腎経としては要穴がありませんが、奇經八脈に関わる要穴の一つになります。場所的には、下腿にあるので、下腿の症状があるときに使いたいところですね。

1.築賓の名前の由来

 築賓は、経穴名の説明としては、「築」が「きずく」という意味があり、「賓」が「ふくらはぎ」という意味があるので、下腿三頭筋のふくらみが出来る場所ということになります。

 

 ただ、「賓」が「ふくらはぎ」?という疑問があったので、どういうことなのか調べてみたら、「賓」はもともと「臏」という漢字だったみたいで、「膝蓋骨、あわたこ(和名)」という意味みたいです。

 

 経穴の名前などを調べていくと、「賓」は「臏」であり、「膝やふくらはぎ」という意味であり、「下腿」とも書かれているので、もともとの意味から広がったのか、それとも自然発生的に、意味が決まっているのか、考えてしまいました。調べれば調べる程、疑問が湧いて、終わらない状態になることがありますが、まさにそれですね。

 

 ふくらはぎには、下腿三頭筋があり、筋肉が盛り上がっていくので、そのすぐ下というような意味と考えられそうですが、自分や患者さんの足を触ってみると、かなり下だなという感覚になってしまいますね。現代人よりも、昔の人の方が、筋力が発達していて、ふくらみ方も少し違うのかなとも思うし、身長が現代と違うからなのかなと、また疑問が膨らみます。

 

2.築賓の位置

 築賓の位置は、内果尖の上方5寸で、ヒラメ筋とアキレス腱の間と言われたり、太渓と陰谷を結ぶ線の3分の1のところになります。簡単そうなのですが、筋をしっかり触り分けできるというのもポイントになりますが、思ったよりも触りにくい経穴の一つだと思います。

 

 太渓は内果尖の後ろでアキレス腱の前なので、場所としては非常に分かりやすいのですが、太渓は足で言えば側面ですが、陰谷が膝裏になるので、後面になってしまうので、太渓と陰谷を結ぼうとすると、直線なのですが、後方に向かう線になるので、太渓から触れていくときに、膝裏の方を意識していかないと場所が前側にずれてしまうので、間違ってしまうことが多いです。

 

 私自身も太渓の上ということで取穴をしていたのですが、陰谷と結び線で考えていくときに、場所がずれていることに気が付いて変えるようにしました。5寸だと同身寸の手だけで取穴しやすそうと思って使っていくことがありますが、ずれやすいので注意が必要な経穴の一つです。

 

3.築賓の穴性

 築賓は陰維脈の郄穴になるので、陰維脈の病である胸痛に対しても効果的な場所になります。陰維脈は陰の脈を束ねるという役割があるので、身体の内側の症状とも関わり深いので、胸痛だけではなく、息苦しさ、気持ち悪さなどにも利用することができます。

 

 陰に関わるので、内側に対してという意味合いも含まれてくるので、身体の中に停滞して悪さをしていく毒に対しても効果的なので、解毒の特効穴とも言われていきます。現在は、薬もあるので治療できりょうになりましたが、梅毒などのような疾患にも用いられていたようです。

 

 例えば、現代では様々な食品の中に添加物という毒が含まれているという考え方をするのであれば、築賓は常用すべき経穴の一つになるのではないでしょうか。添加物が毒かどうかという話しは、健康系だとかなり好きな話しの部類に入りますが、本当かどうかは個人の考え方にもよるのではないでしょうか。

 

 ちなみに、邪と毒という言葉と内容は何が違うかについては過去のブログに書いてあるので参考にしてみて下さい。

邪と毒の違い

 

4.築賓の使い方

 築賓に限らず、腎経というか下腿は足の張りもあるからか、切皮をした後に、その下に引っかかるような感じがあるような気がしています。よくある、皮を切った後に、筋膜がある感覚なのかは分かりませんが、何なのでしょうね。

 

 築賓は、その引っかかる感じのところに鍼が止められると、下腿や他も含め一気に緩む感じがあるので、大切にしています。深く刺していく場合は、鍼通電療法を利用する場合が多いですね。

 

 水平刺を使っていくこともできるので、アキレス腱に向かうか、太渓に向かって行うことが多いです。築賓にお灸を行うと、下腿全体も温まり、すっきりしやすいので、局所の治療としてもいい場所ですね。

 

 もちろん、全身的な問題が生じている場合でも、面白いという反応が生じてる場所なので、築賓にはまってみてはいかがでしょうか。

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