東洋医学で考える加齢―陰虚

Pocket

 年を取ると言うことは生命力の欠如になるので気が不足することだと言えば、それで正解になるのですが、詳細に考えていくと間違いにもなります。

 人が生まれて死ぬということを考えていくときに、誰でも意識をしやすいのは、加齢による潤いの低下です。小さな子どもは皮膚が瑞々しくて張りがありますが、加齢とともに、皮膚の潤いが減り、乾燥しやすくなります。

 

 身体を潤す働きは、陰は水、陽は火と分類できるので陰陽では陰の働きと考えことができます。このことから、年を取ると陰分・陰液の不足と表現をすることができるので、加齢とともに陰虚になると言えます。

 

 もちろん、加齢によって気の消耗が起きるのは事実なのですが、気と考えられる体力は誰でも低下をしてしまうものなので、年を取った人の身体は潤いと栄養が十分ではないということで、陰の方を重視することになります。

 

 他に陰に該当すると考えら得るのは、血になります。血は脈の中を通過し、身体を潤す働きがあるので、陰の作用が強いと言えます。血の不足が生じると皮膚を栄養することが出来ないので、かさつきが生じるといえます。

 

 皮膚のかさつきは、津液・血の不足から生じると言えますね。血の問題は血余の髪にも影響を与えるので、髪のかさつきは血の問題と考えることができます。加齢によって、髪はかさつき、抜け落ちますよね?

 

 血が不足すると一般的に老化と関係するような、脱毛、肌のかさつき、血色の悪さなどが生じてしまいます。血は精が不足を補う関係があり、精血同源と言う話があるので、血の不足は精の不足が生じることになるので、精も陰と関係が深いと言えます。

 

 加齢は、生命力である気の働きの低下と表現することも可能なのですが、身体を陰陽論で考えるのが、東洋医学の基本になるので、加齢は陰気の不足である陰虚と考えられることが多いです。

 

 陰気だけではなく、陽気も不足をしてしまった状態は陰陽両虚と呼ばれ、暑がりで寒がりという寒熱バランスの調整がうまくいかなくなります。高齢な方や陰陽が不十分な新生児は温度管理が大切だと言われるのは、陰気・陽気が十分ではないからですね。

 

 小児に関しては、身体が成熟していないということを稚陰稚陽(ちいんちよう)と表現し、陰気・陽気が未成熟だとしています。

 

 陰気の不足でもある加齢は、陰陽の根本でもある腎の働きを強めることが大切になるので、年を取ると腎の治療を必ず考えるというのは、陰気が不足をしていくからという考え方か、生命力の低下は精の低下と同じだから腎を治療するという考え方のどちらかになります。

 

 身体の持つ陰気・陽気の生成は脾の後天の働きを使うことも大切になるので、腎だけではなく、脾の働きに注意を払う必要があります。

Pocket