直刺は出来るようになったけど、斜刺と水平刺が上手くいなかいというのが多いのではないかと思います。私も斜刺・水平刺が出来るようになるまで時間がかかりました。
斜刺と水平刺を行うときは、最初から斜めや水平に置くという方法と、直刺で切皮をして、刺入の時に斜めや水平にするという方法があります。どちらの場合も注意をしないといけない本質は同じになります。
1.斜刺・水平刺は押手の使い方が重要
鍼を刺入していくときには押手を置くことが基本的だと思いますが、押手を意識するのが斜刺と水平刺が上手くなるコツだと言えます。斜めや水平に刺そうとする場合は、鍼を押す力に押手が対抗をしないと上手くいかないです。
例えば、鍼を刺そうとして押すと、皮膚・筋は鍼を刺す方向に押されてしまいます。この押されてしまわないようにするのが押手の役割です。鍼の方向と皮膚の動かされる方向を下の矢印にしてあります。
- 鍼:→
- 皮膚:→
そこで皮膚が鍼の刺入方向に動いてしまうと、刺入することができなくなってしまうので、皮膚を押さえる必要があります。極端に言えば、皮膚を反対に動かすとも言えます。
- 鍼:→
- 皮膚:→
- 押手:←
刺入しているときに押手を使うのも大切なのですが、刺入を始める前に皮膚が押されてしまわないようにしっかりと抑えるのが斜刺・水平刺が上手くいくコツだと思います。
私も最初は刺鍼転向を使ったりして、目的の方向や深さに合わすのを行っていたのですが、時間がかかってしまうので、どうすればいいかというので基本に戻るために、皮膚と鍼の動きに気を付けるようになりました。
背部の刺入では、胸膈もあるので、斜刺・水平刺が上手く使えないと危険性が高くなってしまうので、斜刺・水平刺の技術は高くしておくといいと思います。
筋肉を緩めるのにも直刺や斜刺もいいのですが、筋繊維走行にそって水平刺をするだけでもかなり緩みます。もちろん、経絡の走行を考えて、水平刺を行うのもいいですよ。
どちらがいいのかというのは、その人の治療方針にもよるので、決めることはできないです。局所治療として使う場合や経絡を意識して使う場合もあるので、出来るようになると治療の幅が広がりますね。皮膚の張りが強いところには、水平刺を用いていくと、その場所以外にも効果が出ることが多いので、斜刺・水平刺は上手くできるようになるといいですよ。
学校を卒業すると、やり方を教えてもらえることがないですし、自分で気付かない限り、どうやっていいのか分からないので、思考錯誤を繰り返していくことになりますね。私も試行錯誤を繰り返しながら、数年かけて出来るようになってきました。
2.鍼の刺入している方向を確認する
せっかく押手を上手く使っていても、鍼が最初から違う方向に入っている場合は、斜刺も水平刺も出来なくなってしまうので、切皮が終わり、鍼が立っている状態で、鍼がどの方向に刺さったのかを確認しておくことが必要になります。
鍼を切皮して少し刺入できたところで、刺入をしたい方向に鍼が入っている場合は、鍼に圧をかけると勝手に入っていきますが、刺入している方向が違う場合は、鍼が入っていかないので、どの方向に鍼が入っているのか一度、確認をした方がいいです。
刺入した方向と違う方向に鍼が入っている場合は、刺鍼転向をしないといけないですし、一度、鍼を皮下まで引き上げてから目的の方向に鍼を変える必要があります。
3.水平刺の刺入の仕方
斜刺の場合は、鍼が入っていけばそのまま刺入をしていけばいいのですが、水平刺の場合は、押手を使ってくことで刺入の深さを変えていくことも可能になります。
例えば、鍼が皮膚に入っていくところを押して圧をかけると刺入部位が下がるので鍼をU字型にしていくことになるので、刺入をしていくと鍼が表面に浮いてくることになるので、深く入っていきそうなときは、刺入部位を圧迫します。
鍼が皮下に上手く入った状態だと、鍼柄を押さえた状態で皮膚を刺入と反対側に牽引します。牽引した皮膚を話すと戻る性質があるので、鍼柄を押さえたままにしておくと、皮膚の戻る性質で鍼が刺入されていくので、皮膚の弾力を使って刺入していくことも可能になります。
4.まとめ
斜刺と水平刺が出来るようになると治療の幅が広がるだけではなく、深く入るというリスクも軽減するので、リスク管理の点からも出来るようになっておくのがいいと思います。
斜刺用鍼管というのも販売されていて、切皮から刺入方向を決定していくことが出来るのですが、鍼管を使える鍼も限られますし、鍼管の圧のかけ方によっては斜刺に上手く入らないこともあるので、通常のディスポ鍼で自由に扱えるようになるように練習しておくといいですよ。
斜刺と水平刺は治療効果が高いものになりますが、詳細に関しては以下の記事で書いていますので、参考にしてください。
「斜刺の治療効果」