斜刺の治療効果

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 直刺、斜刺、水平刺は治療効果が違うとしたら、何が違うのでしょうか。

 直刺は、狙ったところに入れていくものなので、経穴を使う上では基本の使い方になります。あえて斜刺を行うのであれば、構造として直刺を出来ない場所に対して行うことが考えられます。

 

 教科書的な斜刺の使い方は迎随の補瀉と関係をすると言えます。経絡の走行に沿って行う斜刺が補法で、経絡の走行と逆に行う斜刺が瀉法になるので、経絡に補瀉を用いる上で斜刺を行うことができます。

 

 他には、身体には隅々までツボが存在していて、経絡も走行しているので、違う経絡にも働かせたいと思った場合には斜刺を行うことができます。例えば、太淵を直刺ではなく斜刺で使おうとすれば、陽渓の方に刺していけば大腸経に対しても治療を行っていることになります。

 

 こういった違う他の経絡や経穴を狙って刺入する方法は透刺法とも言われ、治療効果を高める効果があると言われているので、普段、行っている刺し方を覚えておくと治療効果が高い方向がある場合は、透刺法になっている可能性があります。

 

 透刺法を行うのに簡単にイメージしやすいのは、例えば外関に鍼を刺入していけば5㎝以上刺入したら内関の辺りに鍼を触れ、そのまま刺入をすれば内関から鍼が出てくることになります。

 

 注意をして頂きたいのは、余程、鍼の響きが好きな方でない限り、その刺し方をすれば、手に力が入らなくなり、場合によっては数日だるくなってしまうことがあるので、普段の治療として行うのはあまりお勧めしません。特に前腕の中央には正中神経も走行しているので、鍼の違和感が生じやすいところになります。

 

 水平刺も同じように考えることが出来るので、例えば、肺兪から長めの鍼を水平刺で下方に向けて刺入をしていけば、心兪まで到達することが可能になるので、肺・心の2臓に対して治療を行えると言えます。

 

 直刺をしても透刺法を行っていると言えるのですが、斜刺の方が付近になる経脈へ到達することが可能なので、複数の経絡を使う刺入方法としても使えます。

 

 現代医学的に考えた場合は、筋肉を多く傷つけて修復を促すという方法として捉えることもできるでしょうが、私が好きなのは筋膜の間をイメージして、はがすように刺入するときに斜刺の場合が多いです。

 

 例えば梁丘や血海から鍼を直刺で刺入をすれば内・外側広筋に対して刺入をしていると言えるのですが、梁丘・血海のやや内方から鍼を入れて行けば内・外側広筋の下方筋膜を狙っていけると考えて、斜刺で刺入をすることがあります。

 

 本当に筋膜間に入っているかは確認することが出来ないので分かりませんが、直刺とどちらの方が緩みやすいかを見て行きながら、その人の硬結などを確認して使うことがあります。

 

 こういった場合は、「これだ」という決定事項はないのですが、自分の中で決めて行うのがいいと思います。

 

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斜刺と水平刺のやり方

水平刺の治療効果と注意点

 

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