口渇と口乾の違い

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 かなり細かいことなので、あまり意識をすることがないのですが、口渇と口は口のかわきということでは同じなのですが違いがあります。

 口渇は津液の損傷が強い場合のことを言い、口乾は津液の損傷が強くない状態になります。例えば、暑くて汗を沢山かいたときには非常に喉が渇いて飲みたがりますが、これが口渇になります。

 

 夏の暑いときや運動をしたときに喉が渇くのは汗として大量の津液が損傷してしまっているので、口渇と言われますが、普段から喉が渇いて仕方なく、水を沢山取るようだったら、汗として出ていないのにおかしいので、症状として捉えます。

 

 その場合は、普段はどのぐらいを飲みますかという質問をすることによって、飲んでいる水分量を把握することになるのですが、水分として摂取していなくても、食事の中にも水分は含まれるので、摂取している量が少ないと思っても実は結構な量を摂取していることがあります。

 

 どのぐらいの水分量を摂取するのがいいかという基準は難しいところなので、口渇が非常に出やすいのかを確認するのが一番早いのではないかと思います。例えば、身体の大きさや排出量によっても違いが出てしまうはずですよね。

 

 美容の中だと摂取する水分量は2リットル以上と言われることがありますが、人間の身体は歴史的に満足なまでに摂取できるという状況がすくなかったので、そこまで取る必要があるのかはいつも疑問になります。

 

 水分として摂取していなくても、食事でも摂取できるので、水分はそこまで必要ではないし、害になってしまうことがあるのではないかと思います。昔に言われていたことで、水毒という表現がありますが、もちろん悪い水分を取ってしまえば身体が壊れてしまうのもあると思いますが、大量に水分を摂取しすぎてしまうと身体が重だるくなってしまいます。

 

 口渇が関係するのは、熱が身体に停滞していることを示す情報になるので、暑くもないし、運動もしていないのに、口渇が強く出るようであれば、身体のどこかに熱があることが考えられます。

 

 口乾は口が乾くということなので、水分摂取をするという意味が含まれていませんが、口が乾いた感じは、熱があるときにも出るので、口乾と口渇は同時に発現することがあります。

 

 それ以外のときだと、身体の代謝が悪く、流れが悪いときにも口乾が発生をしていきます。他の表現では「口渇をするけど飲みたがらない」と言われることがありますが、津液が不足した訳ではないけど、流れが悪いので水分を取ることによって、流してしまいたいという身体の声です。

 

 瘀血や痰湿が停滞しているときに発生しやすい物の一つなので、口が乾くという話があって、熱の症状や所見が他に見られなければ、瘀血や痰湿の停滞を考えることになります。

 

 もちろん、津液が不足してしまった状態や陰液の不足のときにも現れることがあるのですが、これは不足が強くなれば口渇になることもありますが、水自体が多く不足しない限りは飲みたがあることがないので、先ほどに説明したような「口渇するが飲みたがらない」というのが出ることがあります。

 

 例えば、水を飲みたくて飲み物を買ってみたけど、飲みきれなくて捨ててしまったというのは口乾と考えることが出来ます。

 

 瘀血や痰湿の状態と関係をしやすく、痰湿は食事と関わりやすいです。痰湿と同様の食事は、油もの・甘い物・濃い味・飲酒が含まれるので、こういった食事をすると、水を飲みたくなるのは、痰湿が身体に停滞するので、水を飲むことによって流したいという気分が生じるからになります。

 

 かなり細かいところなのですが、身体の声を聞くということでは口渇と口乾、そして生活の状態を聞いておくことは東洋医学の考えの中では大切になります。理解を深めていくのには、自分の生活の中でどういったときに水分を欲しがるかを考えていくが大切だと思います。

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