小児の治療と言えば、身柱(しんちゅう)と言われるぐらい代表的なツボになるので、ほとんどの鍼灸師が覚え続けている経穴の一つではないかと思います。
小児は成人と比べて体力も弱いので、治療の刺激は注意が必要になります。基本的には「小児鍼」でも書いたように、接触鍼や摩擦鍼を行うことが多いです。
身柱は散気(ちりげ)とも言われ、小児疳の虫の治療ではちりげの灸とも言われています。小児にお灸をする場合は、成人に行うお灸よりは弱い刺激にしないといけないので、お灸をコントロールする力が重要になります。お灸に関するブログはこちらを参考にしてみて下さい。
散気は気を散らすと書かれているので、気を散らす働きが強いことが分かります。ストレスがかかった場合や調子が悪いと気の巡りが悪くなりますが、小児は背部に気が阻滞しやすいということになるのだと思います。
身柱と命門にお灸を行うのは、小児の治療として大切なもので、身柱で上焦に対して治療を行い、命門で下焦に対して治療を行うという方法です。上焦は外邪が侵入しやすいので、身柱で外邪を取り除き、下焦は生命力と関わるので、生命力を強めるのに命門を用いると言えます。
身柱の外方1寸5分には、肺兪があるので、肺の働きとも関係をしやすいです。身柱を治療することによって肺の働きを改善させる効果が期待できます。肺は外邪と関係しやすい臓でもあるので、外邪によって生じる喉の違和感の治療にも身柱は適した場所になります。外邪については「気候変化と身体の関係」を参考にしてください。
構造的には、左右の肩甲棘を結んだ線の中央に身柱があるので、肩甲骨を支えているとも言えるので、肩甲骨付近の問題に対しても治療効果が期待できます。
身柱は棘突起の上にあるので、刺入をしようとしても、鍼が入らない場所になるので、やはりお灸が使われることが多い場所です。
鍼を用いる場合は、直刺では刺入していくのが難しいので、切皮程度で使うか、上下に向けて水平刺になると思います。水平刺を行う場合は、棘突起があるので、刺入するのが難しいですが、刺入できる程度から行うのがいいですよ。
上背部のつまるような感じがあるときに、身柱で治療を行うと、上背部全体がすっきりする感じが出ます。肩甲骨付近は上肢とも関係が深いところになるので、両上肢にしびれが生じているときに身柱が効果を発揮するときがあります。
身柱の高さの夾脊を使うと、左の夾脊は左上肢にも効果がはっきすることがありますし、右の夾脊は右上肢にも効果がはっきりすることがあります。
寝違いのときにも効果があるところなので、身柱の高さの夾脊に鍼をして、身柱にお灸を加えると寝違えの痛みも大きく軽減することが多いです。寝違えの治療に関してはこちらも参考にしてみて下さい。
肺と関係する経穴でもあることから、呼吸器疾患にも効果があるところなので、咳嗽が続いているときに、圧痛が強く出ていることがあるので、症状があるときには確認をしてみると肺との関わりを実感できますね。