中府

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 中府は手太陰肺経の最初の経穴なので、経穴の勉強をするときには何度も見ること多く、卒業してからも何となく場所を覚えている経穴なのではないでしょうか。

 国家試験だと、ライトテスト陽性に対する経穴が中府と言われるので、卒業してからも覚えている人も多いのではないでしょうか。私もライトテスト陽性は中府というのは覚えていますが、実際の臨床の中でライトテストを使うことがほとんどないので、ライトテストがどういうやりかただったのか不安が残ります。

 

 何故、理学検査を使わないかと言えば、ほとんどの患者さんは自分の症状を伝えるときに、どういう動作で痛みやしびれが生じるのかを話すことが多いので、理学検査を行わなくても何となくここだろうなというのが分かるからですね。もちろん、正確に判断するためには理学検査をする方がいいのでしょうが、患者さんと治療者に取って大切なのは理学検査ではなく、治療効果をあげることなので、経絡を使う場合だと症状が出るか出ないかの確認をするだけですし、酷い時には悪化をしてしまうので、使わないという方針です。

 

 話しが反れてしまいましたが、中府は胸膈上に存在する経穴なので、直刺で刺入を使用としたら、胸膈の中に鍼が入っていってしまうので、気胸のリスクがあるので、治療としてはあまり使われないと思います。

 

 男性治療者が女性患者を治療しようとしたときに、胸の所に位置する中府はいらぬ誤解を招いてしまうリスクがあるので、やはり使いにくい経穴だと思います。

 

 中府の中という感じは中焦を意味し、府というのは集まるという意味があるので、中焦から始まった肺経が始まるところなので、中焦の気が集まる場所とも言えます。そう考えると、中府はお腹の治療に対しても使うと考えることが出来ますね。

 

 中焦から作られた気血が全身を循環することによって、身体の健康状態を保つことが出来るので、健康維持や増進にも欠かせない経穴と言えると思います。ちなみに、中府は手太陰だけではなく、足太陰も交わる交会穴になるので、やはりお腹の治療として使うことは可能ですね。臓腑としては肺と脾に関係をしていきますが、肺脾に関してはこちらのブログを参考にしてみて下さい。

「肺の働き」

「脾の働き」

 

 肩こりが本当にひどくなってしまった方や腕のだるさや痛みとしびれがある方は、中府の辺りを自分で揉む場合があるので、上肢の治療としても有効な場所になります。

 

 日常の姿勢を考えてみると、多くの人は肩を前に出した状態で生活をしているので、中府の付近は縮められてしまった状態が長くなります。仕事でパソコン作業をしていると、腕が前に出てきてしまうので、やはり中府は圧迫を受けたままの状態になります。

 

 パソコン作業が多い人は眼精疲労、肩こり、首こりを発生しやすくなりますが、姿勢ということから考えると、中府の縮まってしまった状態を解消するだけでも症状が緩解することが多いので、多くの方に有効な経穴の一つだと思います。

 

 手技療法でも効果がある部位になるので、手技でも使うことがありますが、その時には、中府の位置から肋骨の方に向けて圧迫する方が効果的だと思います。肋骨に向けて押していくので、高齢な方や骨粗鬆症がある人の治療では不可能になりますが、治療効果が高いので、そういった方では、中府のところにある筋肉を丁寧に揉むのがお勧めです。

 

 鍼で刺入を行っていく場合は、皮膚面から直刺で刺入をすると、胸膈に向ってしまうので、中府から外側に向けて刺入する方が安全なことが多いです。

 

 個人的に好きなのは中府から下方に向けての刺入と中府から上方に向けての刺入です。中府から下方に向けて刺入をする場合は上肢の疾患に対して使うことが多く、上方に向けての刺入は首・肩こりの治療の場合が多いです。

 

 お灸は比較的、熱さを感じやすいというのと、火傷をしてしまうと目で見えて気になってしまうことが多いので、使えないですね。自分には出来るので行ってみたことがあるのですが、前面胸部のお灸は呼吸が非常に楽になることが多いです。

 

 普段、呼吸が苦しいという認識は全くないのですが、胸膈前面にお灸をすると、普段が息をしっかりと吸えていなかったのだなと感じましたね。

 

 中府では直刺だけではなく、斜視や水平刺が使えると治療の幅が広がると思いますよ。鍼の刺入に関するブログはこちらを参考にしてみて下さい。

「鍼の治療は直刺が基本です」

「斜刺と水平刺のやり方」

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