鍼を刺入するときは、直刺が基本になるので、どの部位でも直刺で行うことになりますが、必要とあれば、斜刺や水平刺を使うことになりますが、刺入角度はどうやって決めるのでしょうか。
鍼の治療では直視が基本になりますし、直刺を思う通りに出来るようになってから斜刺や水平刺を練習して治療に使っていくのが基本です。学校の授業でも最初は直刺から練習をして斜刺、水平刺を練習したと思うので、治療でも同じことだと思っています。こういった話に関しては過去のブログで書いていますので、参考にしてみて下さい。
直刺で自由自在に鍼を扱えるようになったら、斜刺と水平刺も出来るようになってくるので、斜刺と水平刺に関しても練習を行うことが必要になります。私は卒業してから斜刺・水平刺と使っていたのですが、自由自在にスムーズに扱えるようになったのは最近かなと思っています。数年前もそう思っていたのですが、今から考えると、あの時は下手だったなと思っています。数年後に再度、振り返ってみたら、今も下手だったと思うかもしれないですね。斜刺と水平刺の刺入の仕方に関してはこちらのブログを参考にしてみて下さい。
斜刺と水平刺を扱えるようになったのであれば、治療の中で刺入深度だけではなく、刺入角度を考えるようになりますが、どうやって刺入角度を決定するかと言えば、自分が刺入をしたいのがどこにあるのかというのが重要になります。
身体は筋肉が何層にもなっている状態であり、筋層をかきわけて狙うときであれば、斜刺の技術は重要になってくると思います。
例えば、三角筋をはがすようにした方が治療効果は高いと考えるのであれば、臂臑から少しだけ離れたところから角度をつけて鍼を刺入していけば、三角筋の内側に鍼を入れていけるとイメージするのであれば、斜刺が適していると言えます。
そんな面倒なことをせずに直刺で刺入をしてしまえばいいのではないかと考える人もいるでしょうが、どれぐらいの深さに刺入したら三角筋の裏側に到達するのか分からないですし、鍼先の感覚がよく分からないとこういった治療は出来ないと思います。
私個人の考えになってしまいますが、肩を動かすときに、肩周りが少し引っかかるような場合に、三角筋と他の筋肉がこすれてしまっているのではないかとイメージすれば、裏側に斜刺で刺入をして、他の筋肉との軋轢を解消するという治療ですね。
他には、他の経絡を考えて刺入をしていくときなどにも斜刺や水平刺は効果的だと思います。例えば、陽渓から大淵の方に刺入をしていくのであれば、陽渓への刺入は斜刺になっていきます。もちろん、普段から使っている訳ではないですが、その他の部位で必要に応じてつかっていきます。
他の経絡をつなぐように鍼を刺入していく場合には、筋も貫くことが多いので、響きも生じやすいので、相手の好みや必要に応じてのみ使うようにしています。こうやって考えると、身体の治療をしていくときに、どうやって刺入をしていくのかという空間的なイメージがないと、刺入角度を決めるのは難しいのではないかと思います。
空間的なイメージが出来るということは、治療の経験が必要なので、使いこなすのが難しいと感じる人もいるかもしれませんが、筋肉を大きく傷つけた方が大きく回復するのではないかという現代医学的な考え方をすれば、どこの部位にでも斜刺を使うのは簡単になると思います。
例えば、腰部の痛みが強くて、治療の刺激を上げたいのであれば、腰部の筋肉を大きく刺激をしていくのに斜刺が効果的ではないかと考えることができます。これであれば、どんなところに対しても斜刺を使ってみようかという考え方にもなるので、斜刺という技術が上手くなるのも早いですし、空間的なイメージがついてきたときにすぐに実行に移すことが出来ると思います。
他には、斜刺と水平刺は深さを使わなくて済むので、直刺で刺入をすると危険なところに使うことが出来ます。例えば、背部兪穴であれば、筋層は厚いですが直刺で刺入していくと危険になってしまうところなので、斜刺にします。前胸部や側胸部であれば筋層が薄くて斜刺でも危険になると考えれば、その部位には水平刺を使っていくことになります。
鍼の刺入はこちらの治療イメージだけではなく、身体の状態によっても変えていかないといけないので、斜刺・水平刺は是非、身につけておきたい技術だと思います。
最近の私は、腱鞘炎があった場合には、痛みのある局所、問題を生じている筋腱に対して水平刺を用いることが多くなっています。遠隔から治療をするときもありますが、水平刺はかなり効果が高いなと感じることが多いですね。痛みが残っていれば円皮鍼を使って仕上げもしてしまうことが多いですね。円皮鍼に関してはこちらのブログを参考にしてみて下さい。
斜刺と水平刺の治療効果に関しては、それぞれでブログを書いているので、こちらのブログも参考にしてみて下さい。