血虚で肌トラブルが生じる理由

Pocket

 肌トラブルが生じているときには、血虚や血瘀・瘀血を疑うことがありますが、何故、血の問題で肌トラブルが生じるのでしょうか。

 血は東洋医学では重要な概念であり、現代医学の血液とは違うものになります。この血が不足した状態を血虚といい、流れが停滞した場合を血瘀といいます。血瘀などによって、血の停滞が強くなり、塊が生じたというイメージが瘀血になります。これらの内容は過去のブログに書いているので参考にしてください。

東洋医学の血と現代医学の血液の違いは?

気血津液弁証

 

 

 血の基本的な働きは営気と強調をしながら、脈内を走行して、全身をめぐっているものであり、身体の栄養をする働きがあります。営気は気の種類の一つでもあり、血を生成しめぐらせる働きがあるのですが、詳細は過去のブログに書いていますので、参考にしてください。

気には分類がある

 

 血の不足や流れが悪くなると、栄養することが出来ないので、肌の栄養不足も生じてしまうので、肌のかさつきが生じてきてしまいます。肌のかさつきが出ると、潤いが足らないと言われますが、肌のかさつきには水の不足も関係をしています。

 

 血という基本を考えてみると、血は津液という水分と水穀の精微という栄養素から成り立っているので、血の問題が生じてしまうと水分である津液にも異常が生じてしまいます。例えば、血の不足が生じてくると、血をどんどんと生成しなければいけないので、血の構成要素の津液を多く使ってしまうので、津液の不足が生じてしまいます。津液に関しては過去のブログにあるので参考にしてください。

身体の中の水分―津液

 

 

 血と津液はお互いに協調する関係があるので、肌のうるおいという状態を作るのは津液と栄養する血によって成り立っているので、肌のかさつきが生じている場合は、血の不足か津液の不足、または両方に問題が生じている可能性があります。

 

 血の不足と津液の不足は身体の中の陰液(陰分)と考えられるので、血や津液の不足が続いてしまうと、陰液不足に状態になってしまいます。陰液不足という状態は陰虚と考えることができるので、陰虚が生じてしまうと熱が発生してしまうことになります。

 

 身体の構成を陰陽で捉えていくのは東洋医学の考え方の基本でもあり、陰は冷やす力、陽は温める力になるので、陰液が不足をしてしまうと、冷やす力を失ってしまうので、熱が生じるということですね。陰虚について詳細は過去のブログで書いていますので参考にしてみてください。

東洋医学で考える暑がりと寒がり―陰虚と陽虚

陰虚は寒がり陽虚は暑がりは正解?

 

 

 陰虚の状態では身体は熱が強くなってしまい、熱があると、身体の水分である津液の不足が生じてしまうことになります。津液が不足をすると、津液から作られる血の生成もできなくなってしまうので、血にも影響が出てしまいます。

 

 一つの症状が他にも症状が出てくるという東洋医学の考えは、こういった、気血津液陰陽がどうやって身体に影響をしているのかを考えていくからなのですよね。ですから、肌のかさつきは、津液、血、陰虚(熱)の場合に発生をしておくと考えておくことが大切になりますね。

 

 かさつきを生じやすいのは津液と血の問題であるのですが、陰虚という熱の病変が隠れていることがあるので注意をしないといけないところですね。

 

 血は全身を栄養している働きがあるので、正常な状態では血色がいいと表現をされるように若干の赤みを帯びた状態になっています。血の不足が生じてくると、赤みが消えてしまうので、肌の色がよく見えるので、蒼白や萎黄という言葉で表現をされていきます。

 

 現代医学でも血行が悪くなる状態としてレイノー現象がありますが、色が白色になるという特徴があるので、同じようなイメージだと想像してもらえればいいですね。

 

 血の流れが悪くなるのが続くと、皮膚の栄養が出来なくなるので、組織としては元気がなくなってしまうので、その場合は、肌の色の変色が現れてくるので、黒っぽい色になっていってしまいます。

 

 血瘀や瘀血のときには、顔色が紫暗という状態になりますが、これは血の不足や流れが阻滞することによって、その部分の栄養が長く失われてしまっている状態を表しています。はっきりとわかるようになってきたものは、黒子(ほくろ)と考えていくことができるので、望診でも使うことができるというブログも過去に書いています。

黒子を見よう―望診の簡単な方法

 

  五行の分類で考えていくときには、肌は五主・五体で肺に属しているので、肺の症状として考えることが多いですが、肌のトラブルは血や津液、熱で考えることもできます。

 

 東洋医学の治療で大切になるのは、肌のトラブルが起きているから肺や血、津液の問題だと考えるだけではなく、他の症状や状態をしっかりと確認をして身体の状態を見極めることが大切になっていきます。

 

 肺や五主・五体に関しては過去のブログに書いてありますし、血虚とあれば肝虚と関係をすることも多いので、過去のブログを参考にしてみてください。 

身体の構造と東洋医学―五主・五体」、「肺の働き」

「肝の働き」「肝虚は血虚」

Pocket