気の話に関しては過去にも多く触れていますが、書籍でも蔵象などの方が重視されていく傾向が多いので、気の言葉だけで説明することは少ないので、今回は、気という言葉だけで身体を理解するということについて書いてみたいと思います。
気に関しては、過去のブログにも書いていますが、気の種類(「気には分類がある」)、気の作用(「生命現象と気」)、気の昇降出入(「気の運動」)という3つがあり、人が生きているという状態を考えるときに、“何が”、“どういう働き”、“運動方向”で説明をしていくために用語が分かれています。
具体的な単語や意味については過去のブログを参考にしながら覚えて理解するしかないのですが、これらの3つを総合していくと、身体の理解を気という単語だけで説明をしてくことができます。
例えば、人は呼吸をしていなければ生きてはいけないので、気の種類で言えば、宗気が関係をしていきます。気の作用で言えば、呼吸を正確の行わせるというのは生命の働きでもあり、気血の運行が正常であるということから推動作用を発揮していると言えますし、吸いこんだ気を身体に必要な宗気に生成することは気化作用と言えます。吸い込んだ息が肺から漏れてしまえば、生きてはいけないので固摂作用があると考えることもできます。
気の昇降出入(運動)で考えていくときには、吐きだすことは昇と出、吸いこむことは粛と入で考えていくことができます。こうやって人が生きている状態を気の種類・作用・昇降出入だけで考えていくことが可能になるので、それぞれの問題を分類することによってさらに細分化をしていくことが可能になります。
では呼吸が出来ないということに関して、気の種類・作用・昇降出入で考えていきます。
呼吸が出来ないということは、宗気の問題が生じていると考えられるので、治療としては宗気に対して治療を施せばいいだろうという話になるので、宗気と関係をする肺・脾で治療を行うことが可能になります。
作用で考えていくときには、呼吸ができないということだと推動作用の低下になりますが、呼吸が浅くなって身体が冷えているようであれば温煦作用の低下とできますし、呼吸が出てきていないことによって身体の栄養不足のような状態になっているのであれば気化作用の問題が生じているのではないかと考えていくことができます。吸い込んだ息が使いきれずに漏れてしまうようであれば固摂の異常とも言えますね。
気の種類で言えば、非常にシンプルに物事を分類することができますが、気の作用では、病態も含めてかなり細かく考えていくことができますよね。これが種類と作用を分ける利点になるので、病態を考える上では参考になることが多いです。
気の昇降出入では運動方向についての話なので、呼吸ならば呼は昇・出、吸は降・入と考えることができるので、呼の異常であれば、昇・出という働きが低下をしてしまっているのか、降・入という働きが強すぎることによって、呼が出来ないと考えることができます。
気の作用では、人の活動について、どうやって作用しているのかを考えることなので、どんどんと身体の活動を細分化して考えていくことによって用いる用語を変えていくことができますが、気の昇降出入ではシンプルに運動方向だけで説明をしていくことができます。
気の昇降出入では、一つの運動方向は他にも関係をすると考えることが出来るので、治療では反対の運動を考えることが出来るので、治療として考える場合は、治療方針の幅を広げることができます。さらに、昇降出入では臓腑の働きと関係をしてくると考えることが出来るので、呼が出来ないのであれば肺、吸が出来ないのであれば腎と考えて治療をすることが可能になります。
さらに呼をさらに高めたいけど、肺の治療だけでは足らないというときには、昇・出という機能を持つ臓に対して治療を加えると効果があがるのと考えられるので、脾・肝を治療で足してもいいのではないかという考え方をすることができます。
こういった考え方をするため必要なのは、気についての理解をすると同時に蔵象や五行に足しての理解が出てくると組み合わせて考えることが出来るようになるので、基本用語の理解は大切ですね。
患者さんの症状や体調を尋ねて、何の問題かということで気血津液弁証を考え、どこが問題かということで臓腑弁証を考えるというのは大切なことなのですが、気の話で考えられるようになると、弁証を分けにくいときや、病態を把握しにくいときに打開策になることがあります。
偉そうなことを書いていますが、ブログを書いていて気付いたことなので、私も最近、考えて使うようになっているだけなのですけどね。考えるようになったら、臓腑の働きに関しても理解が進みましたし、身体というものを少しはイメージ出来るようになってきたかなというところです。
今回は、呼吸しか書いていないですが、食事だったら?この症状は?というように自分で一度は考えてみると面白いと思いますよ。そのうち、ブログでもそういったことを書いていくかもしれませんが、未定です。