昼間は何ともないのに、夜になると調子が悪くなってしまうことがありますが、こういった場合は東洋医学で考えると陰虚のことが多いです。
何故、陰虚のときは夜になると症状が悪化をするのかというのは、陰陽の概念と陰陽の働きを理解しておくことが必要になります。陰陽の考え方では夜は暗いので陰、昼間は明るいので陽になります。
生体は自然と一体となっている物になるので、世界が陽であれば身体は陽になりやすく、世界が陰であれば身体は陰になりやすいという前提があります。
東洋医学では陰が不足をした状態を陰虚、陽が不足をした状態を陽虚と言っていきますが、陰の時間では陰がしっかりと働き、陽の時間では陽がしっかりと働くことが重要になり、陰虚のときには、陰が働けない状態になっているので、陰の時間である夜に力を発揮することが出来ないので、症状が悪化する傾向にあると考えていきます。
夜に痛みが強くなる、夜になると咳が出るというような状態のときには、陰虚の可能性があると考えることが大切になります。陰虚は身体の陰液(陰分)の不足になってくるので、身体の陰液である血・津液に問題があるときにも陰液の不足ということになるので、陰虚と同様に夜の症状が増悪する傾向があります。
血は身体を栄養する働きがありますが、身体には皮膚も含まれてくるので、肌を整えるのは血の働きになっていきますが、血という陰液が不足をしてしまっていると、夜に肌の調子が悪くなり、痒くなってしまうことがあります。
陰虚・陽虚というと、東洋医学の勉強をしている人からとってみれば、陰虚はのぼせ、陽虚は冷えと考えるのが当たり前ですね。陰虚・陽虚については過去にもブログで書いているので参考にしてみてください。
人の体温リズムを考えたときに、起きているときには身体が熱くなり、眠るときには身体が冷えていくのが正常になります。過去から考えられていたのは、夜に寝るのが普通だったので、夜は陰の時間であり、身体も陰の働きが強くなっていくことで、身体の熱を冷ましていくことで睡眠に入っていくと考えられます。
朝になると、陽の時間になり、自然の陽気を身体に取り入れ、陽気を強めていくことで、身体を温めて活動を出来る状態になっていきます。
陰虚の状態になってしまっている人は、身体を冷やすことができないので、夕方から夜にかけて段々と熱感を感じてきてしまい、身体がほてるような状態になってしまうことになります。
夜に症状が悪化するだけではなく、少しのぼせるような状態が発生をして、なかなか寝付けない場合には、陰液という血・津液が不足しているだけではなく、重大な陰気の不足が生じていると考えていくことができるので、陰虚と呼ばれていきます。
夜に身体が熱の状態になってしまうので、熱を冷まそうとすることで発汗をしていくので、一般的には寝汗、東洋医学的には夜に朝が盗まれるということで盗汗(とうかん)と言われていきます。
陰虚の代表的な症状として両手足・胸がほてる五心煩熱(ごしんはんねつ)、盗汗がありますが、夜に症状が悪化するのは、陰虚の代表的な症状として考えていくことができます。
例えば、夜に空咳がひどくて眠れないのであれば、咳は呼吸系の疾患なので、臓の働きから考えると、肺と腎の可能性が高い中で、最初に疑わないといけないのは肺なので、肺の問題なのではないかと考えると同時に、陰虚があるのではないかと考えていくことが大切になりますね。
風邪が悪化をしてくる場合は、身体の陽の障害から陰の障害に移行をしてきた可能性があります。通常の風邪では悪寒・発熱をして、とにかく眠くて寝てしまう状態になっていくので、夜だろうが昼だろうがぐっすりと寝てしまうことがありますが、症状が変化をしてしまうと、身体の陰側への働きかけが強くなってくるので、夜になると症状が悪化をしていくことがあります。
花粉症だって、花粉と関係をするのが当然なので、外にいるときにはひどく、室内にいるときには楽になり、特に夜になって寝る状態になれば、部屋の中での活動が低下をしていくので、ほこりが舞うことも少ないので、症状が楽になると考えられますが、逆に悪化をしてしまうのであれば、陰への障害が発生をしてきていると考えることができるので、病状としてはあまりよくない傾向があるなということが分かります。
書籍や国家試験では、五心煩熱・盗汗が大切になってくるというのは当然なのですが、臨床の中で、全員が明確に五心煩熱・盗汗を訴えてくるわけではないですし、患者さんに取っては、自分の身体の感覚は他人と比較をすることがないので、手足がほてるのが当たり前であれば、手足がほてるとは言わないので、昼・夜のどちらで症状が悪化をしやすいかを考えていくことで陰虚ではないかと考えていくことができます。