チックの治療

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 まぶたや顔などの一部の筋肉がピクピクと動いてしまうのをチックと言いますが、首ふり、顔しかめ、口すぼみ、肩上げなども現れてしまいます。

 子どもの頃に発症してしまうことがあり、小さい子どもだと、3歳頃から始まり、7~8歳にピークに達します。成人でも疲労が続いたりすると、まぶたのケイレン(眼瞼痙攣)が生じて、気になって仕方がない人もいると思います。

 

 子どものチックは、親からすれば気になって仕方がないでしょうし、どうにかしてあげたい気持ちも強くなると思います。基本的には、精神・神経発達の途上で発生することが多いので、いずれなくなることが多いので、親や周囲が悪いということではありません。チックが生じているときに止めなさいと言っても自分では止められない不随意運動と呼ばれるものなので、指摘すると逆効果になります。

 

 成人のチックは、子どもの頃から続いていることもありますが、いつの間にか発生をしていたということが多いのではないでしょうか。私も疲労が貯まったりすると、眼瞼痙攣がたまに発生することがあるので、出てきたら、身体を出来るだけ休めろというサインだと思っています。

 

 数日から数週間続くこともありますが、今のところは、いつの間にかなくなっていることが多いですね。成人の場合は、仕事などで人に会うことが出てくるので、人に会いたくなくなってしまうこともあるでしょうが、その場合は、「最近、疲れが貯まっているからか、まぶたがケイレンしているのだよね」と先に言ってしまった方が、気持ちもすっきりするので、話しをしているときに、相手に見られているという緊張から強くなってしまうことがなくなります。

 

 チックを東洋医学で考えると、ケイレンは筋の問題や風邪(ふうじゃ)によって発生してしまうことが多いと言われています。風邪には外風と内風があり、外風は風にあたることで発生することもあるのですが、内風として身体の中で風が出来てしまう状態もあり、原因としては、血虚生風・陰虚生風・熱極生風があります。東洋医学の基本用語は、過去のブログを参考にしてください。

身体の構造と東洋医学―五主・五態」筋のこと

気候変化と身体の関係」風邪のこと

 

 筋の問題として考えるときには、筋を栄養するのは血の働きが重要になってくるので、血の異常を考えることが出来ます。筋の働きは肝の働きとも関係をするので、肝の異常によっても発生をしてしまうことがありますが、多くは肝血の不足によって生じることが多いです。基本用語はこちらのブログを参考にしてください。

東洋医学の血と現代医学の血液の違いは」血のこと

肝の働き」、「肝虚は血虚

 

 血は身体を栄養する働きがあるので、成長途中では血を多く使用していくので、成長途中で血虚によってチックが発生していると考えることもできますね。成人だと、疲れによって血の消耗が強くなってしまうと、筋を滋養する血の働きの不足によってチックが発生してしまうと言えるので、血虚の状態がないかを確認していくことが大切ですね。血虚は気血津液弁証の用語の一つで血が不足をしてしまったという状態で、症状は、筋のつり、ふるえ、けいれん、眼精疲労、不眠、顔色が悪い、肌や髪のかさつきという症状が発生することが多いです。気血津液弁証に関してはこちらを参考にしてください。

気血津液弁証

 

 血の不足によって生じている場合であれば、血に対する治療をすることになりますが、食生活での改善を考えるのであれば、血を補う薬膳の知識も役に立ちます。

補血

小麦、黒豆、キャベツ、人参、ほうれん草、ナツメ、イカ、貝柱、牡蠣、ナマコ、牛肉、ウズラの卵、レバー、経乱、鶏肉、枸杞子

 

 枸杞子(くこし)はクコの実になるので、おやつとしても食べることが可能ですし、紅茶にクコ飲みを入れるのもいいですね。ヨーグルトに入れても食べやすい物なので、小さい子どもから大人まで食べやすい物だと思いますよ。

 

 鍼灸で対処をするのであれば、八会穴である膈兪を使うことができますし、三陰交も血に対する治療でも効果的ですね。風が原因で起こっている場合でも血を補い、巡りをよくすることで風が消えると考えられるので、共通して使うことができますね。

 

 血を補っていくためには、脾の働きを強めていくことで、血の生成を促すことができます。成長途上や極度の疲労であれば、精が不足をして血が補うことで血不足が生じていることがあるので、その場合は、腎の治療も加えることが必要になりますね。

脾の働き」、「腎の働き」、「生殖能力と東洋医学―精と気

 

 血が不足をすると、風が生み出されてしまうと考えられているのが血虚生風という状態ですが、血が不足すると、脈内に何もなくなってしまうので、その空白には何かがあるという考えが血虚生風なのかもしれないですね。血は陰陽で言えば、陰液・陰分と言われるものなので、血が不足をしてしまうと、陰血の不足とも言われ、陰虚が発生をしてしまうので、血の不足は様々な疾患を生じてしまうことになりますね。

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