鍼灸をして、身体がすっきりしたところで、入浴や食事などをしてゆっくりしたいと思う人は多いのではないでしょうか。刺激もしっかりと入ってぐったりしてしまう人もいるかもしれませんが、それほど感じない人もいますし、身体がすっきりした感じになっているので、運動や入浴をしたいと思う人も多いのではないでしょうか。
しかし、鍼灸の後は、運動も入浴も注意した方がいいものになるので、その理由についてまとめてみます。鍼灸後の運動についてはこちらのブログにもまとめてあります。
１．鍼灸の効果と効能
鍼は髪の毛のようは細い物を使い、お灸は米粒の半分程度の小さい物を使うことが多く、体表から刺激を加えていくので、一つ一つで考えていくと、非常に弱い刺激になります。もちろん、お灸は火傷する可能性が高い物ですし、熱さも感じるので、やり方によっては、非常に強い刺激にもなります。
鍼灸の刺激は身体では神経が受け止め、その刺激は全身に作用することになるので、自律神経に作用すると考えられています。自律神経は、様々な影響を受けながら、自分で身体を調整しているものですが、生活リズム、ストレスなどで変わってしまい、戻すのにも時間がかかると考えられています。
２．鍼灸を受けた後の身体と入浴
鍼灸を受けると、現代医学的には、自律神経に働きかけ、血流に変化を起こすことで、様々な変化が生じると言えます。東洋医学の考え方では、身体の中に気血水が流れていて、これらの停滞、不足によって問題が生じているのが改善していくことになります。
通常の生活では、自律神経に働きかけ、血流を変化させることは少なく、運動や入浴が、血流の変化を生じやすいものです。鍼灸を行うと、自律神経に働きかけることになるので、血流がよくなり、身体が温まったり、血色がよくなったりすることが多いです。
血流がよくなるということは、血液を送り出す心臓の働きが活発になっている状態ともいえるので、入浴をすると、さらに心臓に負担がかかってしまいます。鍼灸では、身体の状態が変わるように狙って行うことも多いですが、入浴だと、全身への血流がよくなってしまうので、狙ったところへの血流の増加を狙えない可能性もあります。
心臓の働きが活発と言っても、心拍数が上がるということではなく、拍出量が多くなっているイメージですね。心臓の拍出量が多くなっていると書きましたが、実際に心臓の拍出量を計測するのは大変なので、行っていないので確実ではないですが、鍼灸では脈診も行うことが多く、治療前後での脈の状態が変化をしているので、若干の変化が生じているというのが理由です。
もともと運動も沢山していて、血流が活発な人であれば、身体への負担が少ないでしょうが、身体の状態を改善させるためには、やはり、治療後は入浴などをせずに、出来るだけ大人しくしている方がよいですね。
初めて施術を受けた方は、施術後に強い倦怠感を生じる人がいますが、慣れてくると、倦怠感を生じずに、すっきり感が出ることが多いです。人によっては、身体も温まるので、温泉にのんびりと入った後のようだと表現されることもありますね。
治療の慣れや身体の状態によって、変わってきますが、鍼灸を受けた日は本人が感じているよりも、身体には負担がかかっているので、シャワー程度で済ませてくださいと伝えることが多いですね。
運動をよくしている人、身体をしっかりとケアしている人は、鍼灸をすると変化が生じるのが早い傾向がありますね。
３．まとめ
鍼灸の後は、症状の変化、身体の変化を生じることが多く、すっきりしたり、だるくなったりと人によって効果の出方に違いがあります。すっきりしたときは、運動もしたくなるでしょうし、気分もよくなっているので、ゆっくり入浴でもしたいと思うでしょうが、身体のケアに取って重要な時間になるので、出来るだけ大人しくしていた方がいいですね。
だるくなった場合は、何もしたくなくなるでしょうが、お風呂でも入ってすっきりさせたいとしても、そのまま横になってゆっくりしていく方が、身体にとっては負担にならないので、治療中・後はできるだけゆっくりと過ごすことを勧めていくことが多いです。
入浴は入った後にすっきり感も出るし、気分もよくなるので、リラックス、メンテナンスの日ということで、鍼灸とセットにしたいという気持ちもあるでしょうが、どちらも見えない効果として身体には負担が出ているので、出来れば曜日を分けた方がいいですね。
ちょっと入る程度、温まる程度であれば、あまり気にする必要はないことも多いので、実際は、入浴の習慣がある人に対しては、短めの時間にするようにお伝えすることが多いです。
これは、私自身が、普段の習慣は崩すと、リズムも崩れて、精神的な部分も含めて影響がでてしまう可能性もあるでしょうし、落ち着かなくなるので、勧めていますが、治療内容や身体の状態によって違うので、信頼できる鍼灸師に相談して、アドバイスしてもらう方がいいでしょうね。