ぎっくり背中の治療

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 寝違え、ぎっくり腰は痛みが強く身動きが出来ない状態になってしまいますが、ぎっくり背中も身動きが出来ない状態になってしまって辛い疾患の一つです。

 私は背中に疲労がたまりやすいようで、ぎっくり背中は何度か体験をしています。寝違えはしたことがないので、どういう状況になるのかが分かりませんが、ぎっくり背中も寝違えと同様に頚部の回旋・前後屈が出来なくなるので昔のロボットのような動きになってしまうことが多いです。

 

 初めてやったときは確か、後ろを振り返ろうとした瞬間に、背中にバキッと音が鳴って、激痛が走り、頚部を動かすこともできないし、歩いた振動も響くぐらいの痛みで生活するのが大変でした。

 

 その時は、何をやったらよくなるのかと考えていて、背部は陽経だし、膀胱経が走行をしているから、膀胱経から治療か、手の陽経からの治療かを考えました。最初は、寝違えのようなものかと思って治療をしようとしたのですが、痛みの部位が背中だし、ぎっくり背中があるから背部で考えないといけないと思いました。

 

 膀胱経を使って治療しようとしても、痛みが酷くて、身体を前後に倒すことができないので、手を使って治療しようとしたのですが、背部は肩関節の補助にも関係をしているので、腕をあげようとすると背中に激痛が走るので、痛みがある側の手を痛みがない側の手で引寄せて治療を始めました。

 

 合谷や後渓を使っていくのは基本なのでしょうけど、私はあまりすっきりと改善をしなかったので、外関を使っていきました。外関は前腕の背側(日焼けをしやすい方)で手関節から上2寸(約5㎝)にありますが、そこを強く圧迫をして手関節を動かしました。手関節を動かしていくと、前腕の筋肉が動くことになるので、外関を圧迫した指でその部分を揉むような状態になるので、刺激を入れやすいのですよね。

 

 外関は、奇経の陽維脈の八脈交会穴になり、陽維脈は陽経を束ねていく性質があるので、背部の治療にも使っていくことができます。しばらくすると、激痛から動作時痛に変化をするので、そこから違う治療を試していくことになります。

 

 身体が動かせるようであれば、胸や肩甲骨の外側にある筋肉をつまむように揉んだり、大胸筋のストレッチをしたりします。これぐらいを行っていくと、動作時に痛みがあるところが限られてくるので、膀胱経を緩ませるために、足関節を回していって、膀胱経を緩めることもあります。

 

 ただ、これだけの治療をしても完全には痛みが消失しないので、やっぱり人にやってもらうのが効果的ですね。私の場合は、動けるようになってきたら、痛みが出ているところに円皮鍼を貼っていくのですが、手が微妙に届かない位置だと、何も出来なくなってしまいますね。

 

 患者さんがぎっくり背中で来た場合の治療はやりやすいのですけど、自分の治療となると痛みがある場所の治療をすることができないので、鍼による鎮痛効果を発揮しにくくなるので、深部の痛みが残るように感じることが多いですね。

 

 自分であれば、手当り次第に動きが悪いところに鍼をして、少しずつ動ける状態を作っていってから、背部の円皮鍼まで辿り着くというのが、手順としてはやりやすいです。

 

 患者さんでいらした場合は、前腕を使っていくことも多いのですが、背部が異常に緊張をしていることが多いので、治療は背部を中心に行っていくことが多いです。背部は第3胸椎から第7胸椎の棘突起上から直側に圧痛が生じていることが多いので、その部分に対して治療を行っていくと痛みが軽減をしていくことが多いですね。

 

 ただ、急性症状のときには、局所に刺激を入れてしまうと悪化をしてしまうことがあるので、慣れていないうちは、円皮鍼を貼付する程度にしておくのがいいと思います。

 

 吸角を使っていくのも効果的なのですが、吸角だと深部の痛みが残ることが多いと思います。私自身の身体の場合は、痛みが強く発生している棘突起付近に1cm程度の刺入を行って、その付近で皮膚の可動性が悪いところに円皮鍼を貼付しておくと痛みが消失することが多いので、皮膚・皮下の可動性の低下に注目をすることが多いです。

「吸角の効果」

 

 直刺は悪化をしてしまう可能性も高くなるので、ぎっくり背中は痛みが生じている部位で、皮膚・皮下の可動性が悪いところに対して、水平刺を使っていくのが治療としては楽な方法だと思いますね。水平刺に関しては過去のブログを参考にしてください。

「斜刺と水平刺のやり方」

「水平刺の治療効果と注意点」

 

 個人的には、ぎっくり背中に対しては背部の痛みが生じている部位に対しては、水平刺をして、その後に円皮鍼が効果的だと思っているのですが、自分がやってしまったときには、治療するのが大変なのですよね。

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