痰熱

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 東洋医学を学習しているとよく見かけるのが、痰熱、湿熱、痰火になりますが、どれも同じようなことだと思うといいですよ。

 痰熱・湿熱・痰火は水(津液)の阻滞から熱が発生してしまうというものですが、水から熱はイメージがしにくいですよね。津液が阻滞してしまうと、粘調性を持つ物質に変わるということで、水が固形化してしまったものが痰湿になります。

 津液に関してはこちらのブログを参照してください。

身体の中の水分―津液の話し

 

 分かりやすいのが咳と共に出ることが多い痰そのもので、ゼリー状の物と考えると少しはイメージがつきやすいのではないでしょうか。あくまでもイメージになるのですが、身体の状態がよくないと、このゼリー状の物が全身や特定の部位に存在してしまうことになるので、この状態を痰湿と言います。

 

 痰湿は阻滞が長期化や量が増えてしまうと熱化をしてしまうと言われるのですが、水が熱に変わるというのは、先ほども書いたようにイメージがしにくいものになりますが、物が腐っていくのと同じイメージが適用できます。

 

 物が腐るときには、発酵と同じで温度が必要になり、熱くもなってくるので、痰湿の阻滞の長期化や量が増えると発酵が進むと考えらえるので、熱性を帯びてくると考えます。

 

 痰湿自体の元々の性質は、水になるので、五行で水は潤下の働きがあるとされていますが、痰湿は潤す働きがないのですが、下に落ちる性質はあるので、下肢の浮腫みが発生しやすくなります。

 潤下は五行の性質と関係するので五行についてはこちらを参照してください。

東洋医学のおける相性―五行

風水と東洋医学―五行

 

 

 痰湿が多い状態は、水のゴミが貯まっている状態になるので、例えるなら、荷物を絶えず持ち続けているのと同じなので、身体が重く感じてしまうことが多いです。

 

 下るという力が強いので、便も押し出してしまうこと考えられるので、軟便や下痢を生じやすい状態にもなります。そのため、下肢の浮腫み、軟便、下痢、身体や頭が重いという状態は痰湿の停滞と考えて治療をすることが多いです。

 

 痰湿の状態をイメージしやすいのは二日酔いのときの身体の状態が痰湿の状態になります。お酒は東洋医学では湿熱と考える物なので、二日酔いは湿熱を取り過ぎた状態になるので、お酒で二日酔いになったことがある人にはイメージがしやすいものではないでしょうかね。

 

 痰湿は病理産物として考えられるものなので、身体の中で水が停滞してしまったときに現れるものだと考えていきます。痰熱の話しの前に痰湿についての説明が多くなってしまいましたが、痰熱になるには痰湿が必要なので説明しました。

 

 痰湿の停滞は、外から生じる場合と身体の中から生じる場合の二つに分けて考えることができます。

 

 外からと言う場合は、湿度が高い状態が続くと、身体に水がたまりやすくなってしまうので、痰湿が発生してしまうことがあります。それ以外には、飲食と関係することが多いので、甘い物や脂っこい物、味の濃い物は痰湿の性質を持つものなので、身体の中に痰湿を停滞させやすくなります。

気候変化と身体の関係

 

 例えば、油っこい物を多く食べるとお腹を壊してしまう人がいますが、お腹が弱いと考えることもできるのですが、痰湿を摂取したので、下に落ちる性質によって下痢が生じてしまうと考えていきます。

 

 身体の中から生じる場合は、脾の働きが悪いと痰湿を発生させてしまうことがあるので、脾は生痰の源とも言われているので、胃腸が弱い人、食生活がよくない人は脾の働きを低下させてしまい、痰湿を発生させてしまうことになります。

 脾については「脾の働き」を参照にしてください。

 

 痰湿が阻滞してしまうと、痰湿の熱化になってしまうことがあるので、熱化をしてしまった状態が痰熱・湿熱・痰火になります。

 

 痰湿の問題だけではなく、熱の問題も生じるので痰湿だけの病態よりは症状もいろいろと出てくることになります。

 

 例えば、熱は上にのぼってしまう性質があり、心に影響を及ぼしやすいので、心と関係する症状である不眠が生じます。お酒は湿熱ということで説明をしましたが、お酒を飲みすぎると寝た気がしなくなるのは、熱によって心に問題が波及してしまうためになります。

 心については「心の働き」を参照してください。

 

 痰は停滞すると貯炭の器と言われる肺に貯まりやすいので、痰が多く出ますが、熱が加わっていると、黄色の痰が出やすくなります。肺については「肺の働き」を参照にしてください。

 

 熱は上に昇る性質があるので、口臭や舌のしびれやもつれが生じることがあります。お酒を飲むとロレツが回らなくなるのは、湿熱(痰火・痰熱)によって生じる症状になります。

 

 他には、湿疹、サメ肌、かゆみ、にきびも生じてしまうことがあるので痰熱の影響は上と下だけではなく、全身に影響が及んでしまいます。痰湿が阻滞してしまうと、気血の上昇する働きが低下してしまうので、めまい、頭痛、吐き気、顔のむくみが生じます。

 

 熱があるので喉が渇くのですが、津液の不足ではないので、喉が渇いた感じがするけど飲みたがらないという特徴があります。下に降りてしまった湿熱はもとが水で下に降りる性質があるので、大小便への異常が生じます。大便は先程から出てきている軟便や下痢になり、小便の異常は尿が濁ったり、濃くなったりすると考えます。

 

 食生活を調えることが大切なのは、脾の働きも健康にするというのが前提なのですが、痰湿の阻滞を防ぐことにもなります。

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