東洋医学を正しく理解するために必要なこと

Pocket

 東洋医学を正しく理解するためには、必ず押さえておくべきポイントがあります。そのポイントをはずしてしまうと、どうやって勉強をしていいのか分からなくなってしまうので、注意が必要になります。

1.理解するために押さえるポイント1(考え方の違い)

 東洋医学を正しく理解するためには、東洋医学の考え方を正しく理解しておかないといけないのですが、根底にある考え方が大きく違います。例えば、現代医学はウイルスや細菌に対しての研究と構造に対して治療を行うことが中心です。

 

 感染症は現代医学の得意とするところなので、どういった感染症なのかを判断します。構造と言うと分かりにくいですが、例えば、肩に痛みがあった場合は、骨や関節の状態はどうなっているのかという構造に注目をする医学になります。もちろん、現代医学も発展をしていっているので、見ていく項目は増えていっていますが、増えて行った分だけ原因を特定するまで、検査などで長い時間がかかりやすくなります。

 

 東洋医学は古い時代から行われているので現代医学のように検査器具がなかった時代から行われているものなので、治療者が身体の状態を観察して病能を把握していきます。その際に身体は自然と同じように年月が経てば変化をするのが当然なので、環境や体調によっても変化をするのが当然だと考えていくので、症状を起こしてくる体調に焦点を当てて治療方法を考えていく特徴があります。

 

 例えば、カゼを引いたときは、ぞくぞく寒気がする状態から、発熱が強くなり、下痢や鼻水が出たりしますが、現代医学ではウイルスが侵入したことによって発熱が生じ、ウイルスが他に侵入をしたら鼻水になったりすると考えるので治療方針はウイルスの除去になります(ウイルス性ではない場合もあるのですが、複雑化するので省きます)。後は身体の免疫機能が低下していたらカゼをひくと考えます。

 

 東洋医学では、まずカゼを引きやすいか引きにくいかというのは身体の力と考えるので、何度もカゼを引くようであれば体調を強める治療を行います。この体調を強める治療というのは養生という考えにもなり、「治療」として出来るのは東洋医学の特徴になります。

 

 カゼをひいた後も、ぞくぞく寒気がするときには、身体の温める力を強めることを考えて治療を行って、熱が強くなっていくようであれば、それは必要な免疫機能なので、熱をあげつつ、体内から熱を排泄させるということを考えます。

 

 根底として違うのは、現代医学がウイルスという視点から治療をしていくことに対し、東洋医学では身体の機能に着目して治療を考えていくところになります。

 

 どちらの方が優れているかではなく、考え方の根底が違うので、それは治療全体に渡って影響をしていきます。

 

 例えば、肩に痛みがあった場合は、現代医学では感染か構造の問題がないかという1点に集中して原因を特定しようとしますが、東洋医学では1点の問題も確かにあるけれども、そこに関係する臓腑や経絡という身体全体のメカニズムの異常として捉えていきます。

 

 この根底にある考え方が違うので、東洋医学を正しく理解するためには、何が違うのかをしっかりと捉えておくことが大切になります。同じような内容ですが、違う形の説明で過去にブログを書いています。

現代医学と東洋医学の違いは

 

2.理解するために押さえるポイント2(東洋医学思想)

 病気の分類などを行っていくために、現代医学では検査を中心にしますが、東洋医学は治療者の感覚をもとに分類をしていくのですが、その分類の仕方として陰陽・五行という考え方を使って行っていきます。

 

 陰陽は物事を二つに分ける方法で、五行は物事を5つに分ける考え方なので、病気を2分類、5分類にしてくことができます。この陰陽五行は、陰陽・五行同士でそれぞれの関係もあるので、分類だけではなく、病能の変化などの説明にも使われます。

 

 最初はそんなことを言われても分からなくなるので、分類があるという程度で頭に入れておくのがいいと思います。陰陽五行に関しては以下のブログも参考にしてください。

東洋医学の陰陽って何?

五行1

五行2

 

 

3.理解するために押さえるポイント3(気血津液)

 東洋医学では現在と同じ用語を用いていくのではなく、身体の中には何かが流れていると考え、有名な「気」という言葉で説明をしてくのですが、気以外にも血・津液・精などがあるので、身体の中にある生理物質と言われる気血津液についての理解を深めていくのが重要なポイントになります。

 

 津液だけではなく、陰気と陽気があり、このバランスが崩れてしまったときには陰虚・陽虚という寒熱が加わる病能に変化をしてしまうので、身体の中で何が起きているのかを考えていくためには必要になっていきます。

 

4.理解するために押さえるポイント4(臓腑経絡)

 臓腑経絡という考えは身体の中に臓腑があり、体表部の経絡とつながっているという考えで、内臓の機能と体表部が密接に関係をしているというのは特徴的な考え方で、この臓腑経絡が働くことによって、気血津液精陰陽の調整が行われているので、東洋医学の理解する上では重要なポイントになっていきます。臓腑と経絡のついての話しは以前のブログも参考にしてください。特に臓器と臓腑については東洋医学を学習し始めたときには混乱するポイントになるので、落ち着いて理解していく方がいいです。

経絡とは何か?

臓器と臓腑の違い

 

 とにかく、臓腑と臓器の違いでつまずくことが多いですし、臓腑の働きと気血津液がリンクをしていくので、このところで脱落していく人も多いのではないかと思いますが、臓腑の働きである蔵象というのを理解するのが大切です。

 蔵象は奇恒の腑で分けていきます。

 

5.理解するために押さえるポイント5(証)

 この証という概念も理解するために押さえておきたいポイントの一つになります。難しいことは言っていないのですが、「これだ!!」というので理解するのが難しいので、そんなものかと思っておくことが大切になります。

 

 例えば、発熱をしたと言えばカゼではないかと考えますが、東洋医学では発熱だけでは情報が少ないので何も決定しないです。では発熱に関しては考えないかというと、そういう訳ではなく、「悪寒、発熱、関節痛や違和感」があったら初めて表証として証を決定します。もちろん、発熱があると表証っぽいと考えることがあるのですが、決定するためには他の症状が必要になります。発熱があっても他の症状が組み合わさってくる場合は、証が変化をしていきます。

 

 この文章を読んでも分からないというのがあるでしょうが、読みながら身体の状態を考えていくと理解するための助けになるのではないかと思います。

Pocket